第16回国際女性ビジネス会議リポート

分科会リポート 07

こんな楽しい毎日が。~未来をつくる発想と新技術

速水 浩平 さん

株式会社音力発電代表取締役

松井 龍哉 さん

ロボットデザイナー/フラワー・ロボティクス代表

古川 享 さん (ファシリテーター)

慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科教授

古川 享さん

ボーダーを超えた発想と技術がもたらす未来とは? 私たちのライフスタイルはどう変わる? 「こんな楽しい毎日が」という心浮き立つキャッチフレーズを掲げた分科会「未来をつくる発想と新技術」に登壇されたのは、音力発電代表の速水浩平さんと、フラワー・ロボティクス代表でロボットデザイナーの松井龍哉さん。ファシリテーターは、元日本法人マイクロソフト・初代代表取締役社長で、現在は慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授、イー・ウーマン取締役の古川享さんです。

速水 浩平さん

まずは、パネリストのお二人の経歴が紹介されました。幼い頃からオリジナルの発想や物づくりが大好きだったという速水さん。大学院卒業後に起業、現在は音や振動で発電する研究・開発を行い、メーカーに発電床なども設置しています。
「人がいれば振動エネルギーがあります。これまでは迷惑なものとされていた振動や音を有効に活用できないかという研究です」

松井 龍哉さん

続いて、ボタンを押し続けることで発電できる小さな装置を使って、振動力発電のデモンストレーション。ライトが点く装置を見て、古川さんが思わず身を乗り出します。
「これ、電池が入ってないのに光ってるの?」
会場の皆さんからも、速水さんの手元に熱い視線が注がれています。

一方、松井さんは、小学校6年生の時には既にデザイナーになることを考えていらしたそう。その後進学したデザイン系の高校で企業から依頼されたデザインを手がけたことから、デザインは個人のものでも単なるクリエイションでもなく、社会と密接に関係しているということに気づき、様々な職場環境を経験後、ご自身の会社を設立されました。

国際女性ビジネス会議当日は、少女をモチーフにデザインしたロボットがコンサートホールでパフォーマンスをしていた日。「今日の午後、私の娘が舞台デビューします」と、松井さんは心から嬉しそうな口調で語ります。自律したロボットが、人と融合することで芸術をも生み出すことができるという夢のあるお話に、皆さんも笑顔で聞き入っていました。

また、航空会社スターフライヤーの仕事については、機体のカラーからCAのユニフォーム、座席シート、コーヒー豆に至るまでトータルなイメージをつくることで、乗客にとって一連の物語を完成させる「イメージアビリティ」という発想のお話も。既成概念に縛られない松井さんならではのビジネスモデルやビジョンに、速水さんと古川さんからさまざまな質問が投げかけられ、議論が深められていきます。

古川さんからの「女性のエンパワーも含めて、お二人の夢を実現するためのビジョンを」という問いに、速水さんは最近話題になっている節電やエネルギーについてコメントしました。
「今後、人がその場で発電することが普及すればライフスタイルにも影響があり、自ら開発している技術が文化にも影響を与えられます。そこまでいったら本物かなというイメージです」

さらに、開発の現場には女性からの発想・視点が必要不可欠とのこと。技術者でなくても、私たち一人ひとりが未来をつくる力になっていけることを実感させてくださいました。
松井さんは、ご自身の会社であるフラワー・ロボティクスを「世界一、みんなに愛される会社に育てたい」と信念を語りました。

「いまを生きるだけでなく、未来への大切なメッセージを残すために、開発者のイメージや技術がある。未来を予測するのではなく、自ら実践して形づくることを考えていきたい」という力強い言葉で締めくくった古川さん。皆さんからの拍手で分科会が終了すると、「これ、定期的にやりたいね」と微笑み、講師陣でうなずき合っていらっしゃる姿が印象的でした。

注)出演者の肩書きは開催当時のものです。

 

 


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