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「いま、Twitterのハッシュタグを“#icwb”に決めました。ツイートされる方は、ぜひこのハッシュタグで!」と、明るい声の響きと共に登壇されたのは、この会議のためにボストンから駆けつけてくださった石井裕さん。
現在はMITメディアラボ副所長であり、「人、デジタル情報、および物理環境をシームレスにつなぐヒューマン・インタラクション」の研究を長年にわたって続けられています。
また、インダストリアル・デザインやメディア・アートの研究分野でも広く知られています。
「変化に翻弄されながらも視座を見失わないためには、高い視座をもち、基軸、原点で考えることが大切」との提言から始まった石井さんのプレゼンテーションは、早いテンポで進むスライドショーを駆使し、時に刺激的に、時に美しくエモーショナルに訴えかけ、会場中が釘付け。 一瞬でも目を離すと着いていけない!と思うほどのスピード感で、しかも話題は時空を超え、境界を軽々とクリアして、縦横無尽に展開します。
宮沢賢治の詩がお好きだという話から、「永訣の朝」のエピソード、お母様が亡くなってから故人の言葉をつぶやくTwitterアカウントをつくったこと、「永遠って何だろう?」との根源的な問い……。 石井さんの言葉の一つ一つが、深く心に響きます。食い入るようにプロジェクターを見つめる人、一言も聞き漏らすまいと必死でメモをとる人、スマートフォンでつぶやく人など、参加者の向学心は思いきり前のめりです。
美しく儚いガラスボトルの中に音楽が入っている「music bottles」、The world as a palette.というコンセプトの「I/O Brush」など、斬新で型破りなご自身の作品を披露された後、話題は「独創のために大切なこと」へ。
Why?と哲学のレベルまで掘り下げること、理念にドライブされること、そして、コラボレーション。各自が芸術も科学も美学も工学もわかり、頭の中からいろいろなアイデアが出て翻訳できること、夢を描くこと、クリエイティビティ……。出る杭は打たれても「出過ぎた杭は誰も打てない、突出する力」を意味する「出杭力」、「まだ生まれていない道を一人で全力疾走する=道程力」、「登頂すべき山は自分でつくる=造山力」と、力強く鼓舞されるキーワードが次々に。
汲めども尽きぬ泉のように、英知の言葉が奔出し続けた20分間。プレゼンテーションの最後は、「2200年に生きる人々に何を残せるか、どう思い出されたいか? 死はそこで終わりでなく、その先に永遠の未来が広がっている。 未来に対して、我々は創り上げていく責任がある」と結び、会場から割れんばかりの拍手がおくられました。
注)出演者の肩書きは開催当時のものです。