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講演の最後を締めくくるのは、衆議院議員の野田聖子さんです。
「日本が抱えている妊娠・出産・育児などの課題について客観的に話そうと準備していたんですが、佐々木(かをり)さんから個人的なことを話してほしいというご使命を受け、やや動揺しております(笑)。普通、会議っていうのは個人的な話はするなというのが多いのですが、本当に希少な会議に出てしまったなと……」
野田さんの言葉に、会場から笑い声が起こります。リラックスした雰囲気の中で、スピーチが始まりました。
52歳になる野田さんには、1歳のお子様がいらっしゃいます。40歳から不妊治療を続けた経緯を振り返り、「出産適齢期を過ぎることによる不妊」という、日本ならではの現状について言及。キャリアアップしながら結婚し、子どもを産むことが難しくなっている要因には、男性が結婚に踏み切らなくなっていること、未婚で母となることが受け入れられにくいなど、日本の土壌もあるといいます。また、「不妊治療についても、女性の心身への負担について再考してほしい」とも。「卵子提供、代理母など欧米で当たり前になっている制度が日本でも認められれば、女性の選択肢が広がる」と提言しました。
そんな中でも、女性の出産をサポートする気運が高まっている例をあげ、「若い世代に、自分を反面教師としてほしい」という野田さん。
「息子は障害がありますが、それでも、こんなに愛しい存在はない。一人でも多くの女性にこの喜びを噛みしめて欲しい。皆さんが産むことに対して考えすぎない人生を送れること、そして産むこと以外の方法でも誰もが母になれる時代をつくることが、日本のこれからの喜びにつながってくるんじゃないかと思います」
冒頭の言葉通り、ご自身の体験を豊富に語りながら、母になる喜びを伝えてくださった野田さん。いつまでも鳴り止まない拍手が、大きな勇気を与えられた女性たちの気持ちを表しているかのようでした。
注)出演者の肩書きは開催当時のものです。