第17回国際女性ビジネス会議リポート

円卓会議レポート

【104】世界に貢献する子どもを育てよう

伊藤 麻美さん

日本電鍍工業株式会社 代表取締役

進藤 奈邦子さん

WHO(世界保健機構)流行性・伝染性疾病部門インフルエンザ及び呼吸器系疾患 チームリーダー

馬越 恵美子 さん(ファシリテーター)

桜美林大学経済経営学系教授
ピアのリポートを読む

これからの日本を、世界をリードする子どもたちを育てるには、どんな発想でどんな教育が必要なのか。この円卓会議では、3人のワーキングマザーを講師に迎え、海外での子育て、日本国内での教育のあり方などについて、様々な視点から意見を交わしました。

伊藤 麻美さん

現在6歳のお子さんがいて「遠距離結婚中」という伊藤さんは、「子育ては毎日が失敗の連続だった。でも子どもは、パパもママも僕のために頑張ってくれていると理解がある」と、笑顔のトーク。

進藤 奈邦子さん

一方、スイス在住でご夫婦揃って医師の進藤さんは、「親が二人とも忙し過ぎて何も出来ないと、子どもは、自分の事は自分で出来るようになる。生活能力がついた」と力強く語り、「子どもの生活能力がつく前に先回りして何でもやってしまった」という馬越さんと好対照の発言です。

馬越 恵美子さん

ファシリテーターの馬越さんは、「とにかく子どもを愛し抜く、見捨てない。子育てに終わりはない」と、ご自分が苦労された体験や、貫き通した子育てのポリシーをユーモアたっぷりに語り、会場には温かく和やかな空気が流れます。

インターナショナルスクールで育った伊藤さんは、亡くなったお父様の遺したメッキ会社を立て直す際、「自分の受けた教育や友人との関係がとても役立った。子どもは、コンペティティブな環境で、出過ぎた杭に育てよう」と、世界をリードする子育てに明快な視点を与え、会場にも共感のうなずきが数多く見受けられました。

後半のインタラクティブディスカッションでは、多くの参加者が手をあげ、韓国から参加された男性の「小学生になる子どもを日本に呼ぶべきか、そのまま韓国で学校に通わせるべきか」との質問に、講師よりも先に会場の日本語教師の方がアドバイスするという一場面も……。まさに会場全体がインタラクティブで、活発なディスカッションの場となりました。






生活能力をつける、愛し抜く、理不尽を乗り越えて生きる、子どもにはモノでなく教育を残す、ママのハッピーが家族のハッピーなどなど。3人の講師が語るキーワードはどれも、自分流の子育てを全うし幸せに生きている方の言葉だからこそ、圧倒的な説得力をもって参加者のみなさんの胸に深く刻まれたのではないでしょうか。

注)出演者の肩書きは開催当時のものです。

【ピアからのリポート】ピアとは?

ことみつきさん
12歳と15歳の娘がいるので、自分の子どもをグローバル人材にするヒントを頂けたらいいなぁと考えて参加しました。今回学んだことは、英語力よりも生活力、つまり自分のことは自分でできる能力の方が重要ということ。でも、子どもには愛情たっぷり注ぐこと!一緒にいる時間の長さよりも密度の濃い時間を過ごすことが重要とはよく言われることですが、スピーカーの3人は全員それを実践し、自分が幸せであることを証明している。すばらしく説得力のあるお話でした。そして、世の中、理不尽なことだらけだから、早いうちに家庭で理不尽を教えるのが良いという。新たな発想で目からウロコ!ダイバーシティの重要性も再認識した内容の濃いセッションでした。

ぴろこさん
生きていく上で理不尽なことは、できるなら避けて通りたいと誰もが思う。一方、親は子どもにとって人生最初の理不尽であり、そこから学んでいくのだと言われ、納得だった。子どもたちがたくさんの理不尽を経験して、社会で生き抜いていく力をつけていくことこそ大切なのだ。時には「こんなにたいへんなのは自分だけでは?」という悲観論を持つことがある。でも考え方を変えると、理不尽こそが大切な試練。乗り越えていくことが成長の原点になっていくのだ。そう考えたら、心がちょっとだけ、軽くなった。教育現場にいる身として、親の立場ではないが、彼らのためを思い、愛情を持って、子どもたちに理不尽と言われようと思う。

fuguさん
参加して感動しました。伊藤さん、進藤さん、馬越さんが、それぞれの家庭において大変な状況も経験しつつ、社会的に活躍され、しっかり子育てをしてこられたこと。また、「食事は極力手作りで一緒に」「家を賑やかに。シッターも利用」「子どもを愛し抜く、嘘をつかない、自然体でいる」等のお話も。世界に貢献する子どもを育てるうえで大事な「生活能力」が日本の子どもには欠けているとの話から、「社会に出て理不尽な状況に耐えられるか心配」と質問が出ると、「母親が家庭で自分の好きなことをしていると子どもは理不尽と感じるので、それが訓練になる」との答え。先輩の温かい激励に元気づけられ、人間はまだまだ頑張れると再確認しました。


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