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進化目覚ましいITの世界。その技術を活用して、個人は社会はどう動いていくのでしょうか。現在の最先端IT事情、未来に対してできることなど、MITで最先端のIT技術に触れ世界のリーダーを育てている石井裕教授と、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科で若手を育成している古川教授が、このお二人ならではの弁舌鋭いトークで新たな地平を提示します。
開口一番、某氏がIT革命を「イット革命」と呼んだエピソードで、大爆笑を巻き起こした古川教授。スライドショーを軽やかに駆使しながら、IT技術が今どうなっているかを様々な事例で示し、会場を沸かせます。コンピュータのOSがどうという事はもはや関係なく、面白いのは多様なデバイスがそれぞれ有機的につながってカオスになっていること。そして、米国の「Kickstarter」のような仕組みであると、その意義を語ります。
トークは古川教授が主導権を握りつつ、最新の調理法のためのIT技術に話が及ぶと、「料理教室みたいになってきた!」と石井教授が混ぜっ返すなど、元々親しい関係のお二人のコンビネーションが絶妙で、会場は終始笑いが絶えません。
「ITのパワーというのは、競争に勝つための武器でなく、人間がより豊かな生活をおくるためにどこまでやさしくなれるか、人のために何が出来るかというところで発揮されるもの。その上で今は、自分の力を波及し、みんなの力を結集して支えるという形がつくられて来た。」と古川教授。そして、「人間が生きていたエネルギーを未来に伝える」「苦しみや喜びがやわらかく伝わってくるのが素敵」と、お二人が深く共感。会場の多くの人がうなずきます。
そして、話題は、時折お二人のプライベートなエピソードもまじえながら、マイクロファイナンス、マクルーハンのメディア論、Twitterで永代供養、中原中也のbot、空間に時間を布置することなど。ジャンルを超えて縦横無尽に、そしてどこまでも刺激的に展開していきました。
後半のインタラクティブディスカッションでも、「出資したお金のトレーサビリティは出来てきたが、税金の使途がわかるような地球規模での制度の変更に目を向けたい」、「子ども達の未来はどうあるべきか」「記憶のデバイスとしてのITにインテグリティを掛け合わせたいが、それを具現化する方法は?」など、高度な質問や意見が会場から矢継ぎ早に飛び出し、あっと言う間に90分が経過しました。
ITの最先端をも軽々と飛び越え、未来から今を見ているお二人の慧眼と、人間に対する温かいまなざし……。貴重な言葉が濃縮された、実にインスパイアブルなセッションとなりました。
注)出演者の肩書きは開催当時のものです。
tracyさん
この円卓会議に参加したのは、かなりの冒険でした。ITを使いこなしている人間ではないからです。ただ、MITの石井裕先生がこのビジネス会議に来られることを知り、お目にかかりたいと思いました。石井先生と古川先生、少年のように感じる二人の紳士が知的格闘技をしているような、とても楽しくエキサイティングな時間でした。「IT技術は志のある何かを実現するためのものに過ぎない。大切なのは、志をもつ人間が、ビジョンがあり正直で誠実であること」と、伝えてくださったと思います。普遍的なことを学べ、この場にいられることをとてもうれしく感じました。また、会場からの質問のレベルの高さに驚きました。私的満足度120%の円卓会議でした。
しろえちゃんさん
とにかくテンポがいい!古川先生の話に、石井氏がチャチャを入れるように意見をはさむ。息のあった漫才の様なトークで、私のようにITに疎い者をも魅了し、テンションもおのずとアップしました。新製品などを紹介してくださったプレゼンテーションは、「この商品欲しい!
と思わせてしまう面白さが。でも、その中にはIT最前線に携わる方ならではのコメントがふんだんに取り入れられていました。途中、ごくプライベートなお話や、お二人が親しいからこその発言も絶妙でした。そして、お互いの良い顔・表情をファインダーに収め合う姿には、会場から思わず大きな笑いが!こんな講義なら一生学生として聞いていたいと思わせるセッションでした。