第17回国際女性ビジネス会議リポート

円卓会議レポート

【202】Global Issues〜世界の課題を考える

木山 啓子さん

特区亭非営利活動法人ジェン(JEN) 理事・事務局長

根本 かおるさん

ジャーナリスト、国連UNHCR協会(国連難民高等弁務官事務所・日本委員会)理事

原田 英治さん

英治出版株式会社 代表取締役

大和田 瑞穂(ファシリテーター)

イー・ウーマン「働く人の円卓会議」担当、フリーランスコピーライター
ピアのリポートを読む

テレビや新聞で目にする海外のニュース、露出の多い情報には偏りがあります。たとえば、難民や貧困の実態はどれだけ報じられているでしょうか。今、世界で本当は何が起きているのか、私たちに出来ることは何なのか……。
昨年までUNHCR職員として難民援助の最前線から政策立案まで幅広く活躍され、現在はジャーナリストの根本さん。NPO法人の理事として緊急支援・自立支援など多様な国際協力活動をされている木山さん、地球規模での課題を解決する出版を実践している原田さんを講師に迎え、イー・ウーマン「働く人の円卓会議」担当の大和田がファシリテートしました。

根本 かおるさん

根本さんは、「日本は難民支援のお金の拠出では世界第2位だが、難民の受け入れについては、G7諸国との比較ではほぼ0%。真正面から訴えても関心を持ってもらえない事が多い。映画等を通じて世界の問題、難民、飢餓、紛争、人身売買などを考えるきっかけはたくさんある。難民の人々の才能、たくましさ、サバイバルする力などは、私たちの暮らしに多様性、活力をもたらしてくれる。」と、難民問題に関心をもつ事と視点を変えることの大切さを熱く訴えます。

木山 啓子さん

続いて木山さんは、支援する側の心構えとして、「難民も被災者も、心に傷を受けていると支援者に依存しやすい。依存を前提にお付き合いすることは大切だが、それだけでは復興できない。そこから自立をサポートする取り組みが大切。“誇りをサポートする”ことで、実は支援する側も誇りを持てる。」と語り、「誇りをサポートする」との言葉には会場の多くの方が頷いていました。


原田 英治さん

「誰かの夢を応援すると、自分の夢が前進する」と考える原田さんは、社会起業家、貧困問題の解決、組織や社会の変革など様々な地球規模の問題を解決する出版を行う立場から、「みんなの意識が変わることが、変革のスピードを早める一番の方法。日本の難民支援は、お金は出すけどケアがない。ケアリング・エコノミーの価値を見直そう。ケアというのは、女性が持っている美質の一つでもある」と、女性へのエールも。

大和田 瑞穂

「働く人の円卓会議」で世界の課題のWebディスカッションを担当することも多い大和田は、「国や企業・団体からの支援も重要だが、まず、ひとりひとりが自分に出来ることから行動することが大切。寄付はもちろん、それ以外にも貢献するために出来ることがたくさんあるはず。入口はさまざまだ」と述べ、3人の講師それぞれに、「私たちが出来ること、どんな入口があるか」を問いかけました。

「寄付こそ一番簡単に世界とつながることのできる方法。継続が大切」と言う根本さんは、一方で「民間企業に期待している」とも。木山さんは、「素晴らしいアイデアで実行されないより、ダメなアイデアでも実行されるほうが何百倍もインパクトがある。」そして、原田さんは、「一歩前進というより、一歩上にあがろう。10歩も上がれば景色が変わり、同じく10歩上がった同士で繋がれる」と締め括りました。

「寄付をしたことのある人?」との問いに、会場のほとんどの方の手が上がるという、志の高い参加者のみなさん。後半のインタラクティブディスカッションでも、「学生にどういう切り口で難民問題をアピールできるか」「日本のプレゼンスを国際社会でどう示せるか」「当事者意識を持つためには?」「周りを巻き込んで上手くいった例は?」など真剣な質問が次々と寄せられ、終始熱のある有意義な円卓会議となりました。

注)出演者の肩書きは開催当時のものです。

【ピアからのリポート】ピアとは?

fuguさん
ボランティアではなく人生の真ん中に支援活動を置いている人達は、深い使命感で行動し、そこには大きな自己犠牲が伴っているイメージを抱いていました。が、スピーカーの方は、「支援活動に関わったきっかけは偶然。何ができるかを考え、やり続けた」と言われ、また、「面白くて辞められない」と微笑まれた時には驚きと感動を覚えました。当事者意識を持ち支援活動を進めるには、いかに自分と直結しているかを訴えることが大切。具体的には寄付や、企業の専門性を活かしたパートナーシップも有効とのこと。支援活動はスーパーマン、スーパーウーマンのみが携わっているのではなく、普通の人々の一歩が必要で有効なのだと学習しました。

ゆみ子さん
難民問題に無関心な人が多い日本では、解決の気風も育たないことを、難民支援の第一人者の方達の言葉で自覚させられました。私はここ5年ほど発展途上国の子ども達のスポンサーをしていますが、お金を出しているだけで彼らのことを知りません。このセッションで、「すごく良いアイデアがあって実行しないより、大したことないアイデアでも実行した方がずっといい」という素晴らしい考え方を学び、支援している子ども達に歩み寄らなきゃと気づかされました。難民支援者が長期的ビジョンで行動し、彼らに誇りを持たせることに使命を感じているように、私達も世界の課題に1つでもいいから目を向けよう、小さなアイデアでも実行しようと思いました。


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