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会議番号:3231 開催期間 2013年04月26日- 05月03日
議論のテーブルに多くの人が加わって頂いたことに感謝します。 議長を引き受けた時、「大丈夫かな」と思いました。というのは、TPPの論議は「群盲、ゾウを撫ぜる」という現状だからです。 TPP交渉の成果に期待を寄せる人が多いようですが、先日まとまった米国との事前交渉の結果をどう見たらいいのでしょうか? 日本では農業が大問題です。「聖域なき関税撤廃」になったら、日本の農業は壊滅する、という不安が吹き出ています。 政府の試算では関税が撤廃されると農業生産は3兆円減る、ということですから農家は大変です。kemkemさんがいうように「TPPに入らなくても10年後には壊滅している」かもしれないし、壊滅の中から新しい農業が生まれる、と指摘する人もいます。 私も、農業はTPPがあってもなくても大問題だと思います。後継者難で先細る農業をどうするか。日本の針路に関わる大問題はこの際おおいに論議されていいと思いまが、農業のことばかりに目が向いてはTPPの全体像を見誤ります。 aukuka0921さんは「保険、医療、金融などアメリカ企業に支配される」と指摘しました。TPP交渉は、21分野で行われています。その中で農業を含む貿易・関税が絡むのは2分野だけで、残りの19分野は、非関税障壁、知的所有権、政府調達、投資環境、紛争処理などです。項目名を聞いてもそれが何のことやら理解することさえ困難な専門的な交渉が行われていますが、こうした分野が国の経済制度やビジネスの動向を左右する重要課題につながります。それをいっぺんにやろうというのがTPPです。 なぜこんなに複雑な交渉をするのか。分野を増やせば妥協の余地が広がるからです。例えばコメの関税をどうするか。単一テーマなら「下げろ」と「下げるわけにはいかない」と対立し、交渉にならない。他の分野と組み合わせれば「コメでは譲りましょう。では自動車の関税ではこちらの要望を聞いてね」という取引が可能になります。 関税だけでなく「非関税障壁」を始めとする多くの分野に広げれば、妥協もしやすくなる。問題は、何と何がどう取引されたのか、妥結の裏でどんな密約が交わされたのか、交渉の外にいる人たちに分りにくいことです。交渉担当者や政権の実力者は知っていても、主権者は、よく分らない。交渉責任者である甘利経財相は「TPP交渉には厳しい守秘義務が課せられている」と中身が分りにくいことを認めています。不透明な交渉、というのがTPPの特徴です。 優太のママのあきさんが言うように「首相と関係大臣、官僚のタフな交渉に期待したい」ところですが、大丈夫でしょうか。 気になるのは交渉参加を認めてもらう事前協議の成果です。米国との交渉は「日本車への輸入関税は当分継続」「日本が輸入する米国車への特別な配慮」を日本は受け入れました。明らかにされてはいませんが、オーストラリアやカナダへの、同様の約束がなされたようです。 通商交渉は、強い産業を全面に出し相手国を攻め、弱い産業を守り、国益を追求する、というゲームみたいなものです。ところが、日本は交渉でスペードのエースのような「自動車」を、交渉参加の「入場料」のような形で切ってしまった。見返りに農産品の関税を「聖域化」することはできませんでした。 日本は有力な武器を封じられてTPP交渉に入ります。重要項目とする「コメ、麦、砂糖、乳製品、牛豚」の農産品5項目は「全てを守りきるのは難しい」という声がもう政府内部から出てきます。こんな調子で「期待できる成果」が果たして得られるのか。皆さんどう思いますか?★こちらもご覧ください〜山田議長の過去の円卓会議より・TPP協議に参加することに、賛成ですか反対ですか?(2011.10月)・沖縄問題。あなたの考え、まとまっていますか?
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