イー・ウーマン（ewoman）

わからないことが多い（kyoko004・神奈川県・38）

この事件に関してだけで言えば、アップルはFBIに協力した方かいいと考えます。ただ、アップルは、情報を取り出すためのマスターキーとなるソフトの開発を拒んでいるということですが、なぜ今回の端末に関するソフトだけを作れないのか（そのようなソフトを作るという行為自体を禁じているのか？）、データを取り出しそのデータだけをFBIに提示するという形もとれないのか。わからないことがとても多く感じます。

ケースバイケース（@M・海外・その他・52）

セキュリティ問題も含め、個人情報は守らなければいけないと考えますが、重大犯罪における資料という点では、法を整備して端末情報すべてでなくとも、ある程度は捜査に協力したほうが良いと思います。行き過ぎた個人情報管理が促進されれば「個人が最優先」「データIT産業」（企業利益）最優先といった図式になり、既に人智の範囲を飛び出したテクノロジーに支配される人間といった50年前のSF小説もどきの展開の現代社会、人類とテクノロジーといった観点からも興味深い論争です。

人命を最優先に考えて（blueberry53・大阪府・59）

私は、FBIに協力したほうが良いと思います。人の命を守ることは何物にも代えられないと思うからです。また、今の堅固なセキュリティも突破されないという保証はないわけですから協力することで失われる損失（利益）や信頼についても無限ではないはずです。大切なのは、どのような捜査の際に、どのよう管理体制で解読のプログラムが使われるかという管理の問題ではないかと思います。そして、適切に管理されていることが保証されているならばアップルの社会的信用も落ちないと思います。

ソフトの作成はやりすぎ（kko・海外・その他・50）

私はどちらかというと、個人を犠牲にしても全体を守る必要があるという考え方を支持しています。が、今回は個人を守るという観点ではなく、テロリストに悪用されるかもしれないという点でアップルを支持します。一度そういうものを作ってしまったら、どこで漏洩するかわからないと思うのです。報道では、アップルはこの「銃の乱射事件」の捜査には協力しているということですし、ロック解除ソフトの作成はやりすぎではないかと私は思います。

個人のプライバシーと言論の自由（mayupyon・東京都・45）

私は個人のプライバシーと言論の自由を守るアップルの姿勢を支持します。今回FBIの要請に応じて端末ロック解除に協力してしまえば、それが前例となり「なし崩し」的にプライバシーの放出や言論統制につながる危険性を感じます。アメリカ国内だけの問題ではなく、私を含む全世界のiPhoneユーザーにつながる問題だと思います。さらに、FBIはアップルに断られても独自にロック解除できてしまうのではないかとも思います。

スイスの銀行にできることなら（hiro2・57）

個人のプライバシー対国家の戦略の構図はスイスの銀行について言われることと似ていますね。銀行が預かる財産が実物だったのに対して、預かっているものはデータという財産。スイスの銀行にできることがアップルにできないとは思いません。どうしても必要なら、ソフトを使って何度も情報を抜き出すのではなく、個別対応にすれば良いと思います。日本でも国家の安全のために個人のプライバシーや自由を制限できる法律の議論があるので、この対立には注目しています。

難儀（真打ち・栃木県・46）

自分なりに考えてみたが、明快な回答は存在しないように思う。特に、州によって異なる法律は 意見を分かつ大きな要因となり、統制を図る上では弊害にもなりかねない。また、プライバシーや言論の自由という観点から推そうとした場合は、尚のこと 協力の是非を問うのは難しいのではないか。生命や国家安全の危機など、ロック解除のリスクと天秤に掛けながら、慎重に精査するしか方法は無いように思う。

皆さん、こんにちは。日経の関口です。早速、たくさんのご投稿をありがとうございます。3月7月朝の段階で、「アップルはFBI捜査に協力したほうがいい」という方が39％、そうでないという方が61％と、イー・ウーマンの皆さんの間でもアップルを支持する声が多数派を占めているようです。

コメント欄の下でもご紹介いただきましたように、昨日、日経の電子版にもこのテーマについて記事を書かせていただきました。アップルはなぜFBI捜査に協力しないのか、その理由を書いた記事ですが、ツイッターなどのコメントでもアップル支持派が多かったようです。この円卓会議とあわせてご覧いただければと思います。

アップルを支持する方の理由は、mayupyonさんが指摘されているように、今回のことが前例となってしまえば、アップルユーザーのプライバシーがなし崩し的に脅かされる危険性があり、それは全世界のユーザーに影響しかねないということだと思います。hiro2さんの「スイスの銀行について言われることと似ている」というご指摘も興味深く拝見しました。確かにデータは個人の大事な財産。アップルはそれを守る責務があるというわけですね。

一方、アップルはFBIに協力したほうがいいという方の中では、blueberry53さんの「人命を最優先に考えて」というご指摘もなるほどと思いました。今回の論争は「国家安全保障vs個人のプライバシー保護」という構図でとらえられていますが、いいかえれば「国家権力はどこまで認められるのか」という問題だと思います。ただ今回の件でいえば背景には「人命を守る」ということがありますので、とらえ直せば「人命vs財産権」という構図になります。これも判断に悩ましいところがありますね。

ただ、問題を解決するには何らかの具体策を考えないとなりません。kyoko004さんが疑問を提示されているように、「今回の端末に関するソフトだけを作れないのか」という疑問は誰しも感じているところではないかと思います。アップルのティム・クック最高経営責任者（CEO）はAll-or-Nothingで反論を展開していますが、部分解決ができないのかという疑問はマイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏も提示しています。

そこで本日、皆さんにお聞きしたいのは、もしこの問題が仮に日本で起きていたとしたら、アップルや日本の政府、裁判所はいったいどう扱っていくべきだとお考えになりますか。皆さんご自身の言論の自由やプライバシーが侵されかねないという前提で考えていただければと思います。
たくさんのご投稿をお待ちしています。
 



★参考リンク：関口議長が執筆された記事「アップルはなぜＦＢＩ捜査に協力しないのか 」

★関口議長の過去の円卓会議より
・個人向けクラウドサービス、使っていますか？
・スマートフォン、活用していますか？
・情報の片付け、上手にできていますか？

• 2016.03.07
• 関口 和一 （株）ＭＭ総研代表取締役所長、元日本経済新聞社論説委員