働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
会議番号:3431 開催期間 2017年03月17日- 03月24日
「踏絵」みたいな設問になりましたね。放射能の影響が気になる産品を買わないと答えると、「東北の人達を見捨てているような後ろめたさもあります」(nekosaurusさん)という気持ちになる人もいたからです。しかし、こうした気持ちも含めて、議論をしなければ、上滑りできれいごとの議論になってしまいます。 「東北産だからやめておこう、ではなくあえて選んでいます。風評被害に負けないよう応援するため」(えこりんさん)、「被災された地で生産することの大変さを想うと、信じて食べる、それが自分の出来ること」(ma kiさん)、という意見は、仙台在住の私としては、被災地の生産者になり代わって、感謝したくなります。 「東北と熊本にふるさと納税をし、新鮮でおいしいお米や野菜をいただいて、安全でおいしい農産物を作ろうとしている人のことを実感」(ゆいゆいさん)という意見もありました。私も被災地のいくつかにふるさと納税をして、おみやげを受け取りましたが、宮城県東松島市から届いた海苔は絶品で、それまで我が家にあった海苔をお払い箱にしたほどです。おいしさは「風評」を吹き飛ばす力があります。 とはいえ、消費者庁の今年3月のアンケート調査によると、放射性物質を理由に東北・北関東の産品の購入をためらう人の比率は、少しずつ減っていますが、それでも福島県産については15%の人が「ためらう」と回答しています。まだまだ産品についての風評被害はあるということでしょう。 「現状の放射能レベルが危険だとは全く思わない。未だに東北産の産品を避ける人がいることが驚き」(いまいくん)というのは、安全・安心に確信をもてるという意見ですね。「怪しいものは食べずに自己防衛する考え方もあると思いますが、なんとなくの基準で判断して、不当に差別すること(されること)のほうが私は怖い」(おれんじ78さん)という意見は、大切な考え方だと思います。 「あえて東北のものを選ぶこともありませんし、無意味に避けることもありません」(zunさん)というのは、いわば自然体でということでしょう。「東北だから敬遠している訳では無い。地元の無農薬、無肥料で頑張っている生産者さんを応援したい」(tokoさん)という意見も、結果的には東北の産品にノーですが、これも自然体でしょう。 「店頭に並んでいる農産物は基準をクリアしているのだからと思い、あまり気にしないようになりました」(留加さん)という意見もありました。「風評」もまた「風化」している部分があると思います。 とはいえ、いくら「安全」というデータを示されても、「安心」の確信が持てない、という人もいます。「子どもには『積極的に食べさせ』たくはない、やはりまだ不安があります」(cheetanさん)、「子どもに食べさせるかとなると躊躇するかもしれません」(れみいさん)という意見もあります。私も、首都圏に住む孫に「福島産」と表示された産品を食べさせるには抵抗感があります。子どもたちに自分の安全・安心基準を押し付けるほどの確信がないうえに、「孫の健康に無頓着なおじいさん」と、孫の親に思われたくないという気持ちもあります。 これまで、「風評」という前提で、議論をしてきましたが、そもそも「風評」なのか、という見方もあります。「原発事故は未だに収束しておらず、もう安全とは言えないのが現状」(ナナマクヘンリーさん)という意見もそうでしょう。こうした見方を否定する自信は、私にはありません。いまだに汚染された地下水を完全に制御しているとは言えないのが現状です。 私は、水俣病を取材した経験から、公害のような健康被害を考えるときに、ピラミッドのようなイメージを思い浮かべます。被害が明確で症状が重い人たちが上部にいて、だんだんはっきりわからないグレーゾーンの人たちが広がっていて、底辺は健康被害のほとんどない人たちという構図です。放射能による健康被害については、いまのところ上部の人たちはいませんが、これからグレーゾーンの人たちが出てくるかもしれません。 チェルノブイリで診療・治療にあたった日本人医師のひとりにうかがった話ですが、健康被害は白血病や甲状腺ガンだけでなく、風邪をひきやすいとか、からだがだるいとか、さまざまだといいます。空気中からの外部被曝、食物からの内部被曝について、グレーゾーンを含めての十分な知見を私たちが持っているとは思えません。だから、こうした問題は、風評被害ということで、片付く問題ではない、という意識も持っていたほうがいいと思うのです。 ということで、議論したいテーマは、多岐にわたるのですが、まず「安心」の条件とは何か、考えてみましょう。「安全」だとは思うが、「安心」できない、という人が多いからです。 「東北産の農林水産物。食べていますか?」にYES、NOで答えていただき、あなたにとっての「安心」の条件を教えてください。★高成田議長の過去の円卓会議より・原発差し止め、支持しますか?・東日本大震災から4年。風化したのでしょうか?・東北の復興支援、続けていますか?
イー・ウーマン
表参道カレッジ
eshop
©2014 ewoman, Inc.