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会議番号:3491 開催期間 2018年04月13日- 04月20日
緊急事態条項について、賛成、反対の多くのご意見をいただき、大変有難うございます。他の条項についても議論したいのですが、緊急事態条項についての議論を深めたいと思います。 (tulipさん)の「国民を守るために役に立った例も多数あるのでは」との問いに直接答えるものではありませんが、他国の同種の法について触れておきたいと思います。2012年自民改憲草案は、他国の同種の法に比べて、総理大臣が緊急事態宣言を発するための要件が非常に甘いことが指摘されています。(なお、ここでは字数の制限がありますので、より詳しい情報は文末の書籍などをご参照いただければと思います。) 例えば、 ドイツ憲法には、緊急事態宣言の規定があります。ドイツでは、緊急事態の認定は連邦議会に留保され(連邦議会が議決不能な時は、両院選出の48人の合同委員会〔非常議会〕がその3分の2で認定)、緊急事態下でも司法は機能するとされています。 他方、日本の場合、総理大臣一人が緊急事態を認定し、閣議にかけて緊急事態宣言を発令するとなっています。しかし、総理大臣一人が内閣のメンバー(大臣)の任命権を有するので、実際のところ、閣議決定が、総理大臣の緊急事態宣言の発令を抑制する力を持ち得ません。 フランスでは、2015年のパリ同時多発テロを受けて緊急事態法により緊急事態宣言が発令されました。緊急事態法に基づく緊急事態宣言はその後6回延長され、昨年10月に2年ぶりに解除されたと報じられています。この間、緊急事態法は大幅に改正されましたが、他方で、オランド仏大統領は、緊急事態宣言を明記した憲法改正案を議会に提出しましたが、憲法改正は実現しませんでした。 米国連邦憲法には、緊急事態宣言の規定はありません。非常時の対処として、わずかに侵略等の場合における人身保護令状の停止や非常時の大統領による議会招集についての定めがあるのみです。 2012年の自民草案では、『武力攻撃・内乱などの社会秩序の混乱や大規模な自然災害、その他法律で定める緊急事態』と定義されています。 現時点では自民党内でも大規模災害に限定すべきだとの意見もあるようですが、最終的な条文案は決まっていません。条文の文言を、「大規模災害などの緊急事態」とすれば、いくらでも拡大解釈は可能になります。 緊急事態宣言で怖いことの一つは、言論統制です。 民主主義で何より守らなければならないのは、「言論の自由」と「1人1票等価値の投票」の保障です。なぜなら、民主主義は、十分に議論し、説得し合い、最終的には投票で決める。そして、国民(主権者)の多数の意見が支配するのが、民主主義国家の統治のルールだからです。議論の過程では、個別の政策の批判が出てきます。その際に必須なのが言論の自由です。 この円卓会議も言論の自由があるからこそ開催できています。 今回の憲法改正で国民の一番の関心は9条かもしれません。 しかし、例えば、軍隊をもつ民主主義国家は多く存在する一方、言論の自由がない民主主義国家は存在しません。 上記を踏まえ、緊急事態条項の創設の賛否について再度ご検討の上、「憲法改正案の4つの項目、ご存じですか?」にYES、NOでお答えいただき、言論の自由についてなど、気づいた点を投稿してください。 参考書 長谷部恭男・石田勇治共著『ナチスの「手口」と緊急事態条項』(集英社新書2017/8)(書評はこちら)*イー・ウーマン編集担当より 円卓会議の投稿のルール「I statement(「〜べき」は使わない、など)」を守り、 「国民は〜」などではなく、自分の考えに限定して投稿してください。 掲載する投稿には編集にて 「私は」を入れさせていただく場合もありますのでご了承ください。 「I statement」とは、こちらをお読みください。★升永議長の過去の円卓会議より・憲法改正の手続き、理解していますか?・「違憲・無効」判決。憲法で一票の平等(人口比例選挙)が保障されていること、ご存じですか?・一人一票のニュース、理解していますか?
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