イー・ウーマン（ewoman）

対策の方向転換が必要（もろりん・福岡県・48）

災害対策は国に任せるだけでなく、自助共助も重要ですが、その効果は限定的です。広く効果的な対策は国にしかできないと考えています。しかし例えば豪雨災害で決壊した堤防を嵩上げしても、次に同規模の災害があれば被害はその下流に移るだけです。奇しくも今年公開の映画のように都市が海に沈んでいくなら、早目に都市機能を高い土地に移すよう導くか、この異常気象が人間活動のせいなら、環境対策を国を挙げての防災対策と位置付けて、強く進めていく必要があると思います。

せざるを得ない（noriari・兵庫県・47）

国に期待、というよりやはり地域格差が起こらない施策は国にしかできませんのでYES。被害を最小にするためのハード面の対策は不要とは言いませんが、今回は津波対策の堤防がアダになった地域もあります。災害大国であることは事実なので、例えば避難所や避難時に必要な物資の工夫などソフトに近い対策にもう少し頭とお金を使えないものでしょうか。避難所がいつも体育館で床に雑魚寝というのはナンセンスだと思います。

初動では無理です。（なかしん・神奈川県・57）

阪神淡路以来激甚災害に関わっています。情報は基礎自治体から都道府県→国と上がっていきますが、初動段階では自治体そのものが混乱状態であり事態把握ができません。今回の台風でも被害が大きかった千葉や神奈川では常設の連絡会議がなく、急遽災害対応ボランティアが独自に連絡会議を開催し情報共有したくらいです。何でも国頼みは危険です。

情報をキャッチして行動（ぺり・37）

公共交通機関の計画運休や、台風時に無理して出社しない、臨時休業等の判断をすることが今後はもっと当たり前になってくると思います。最近は、台風時等に自治体が出す避難情報が、かなり早い段階で出されていると実感しています。情報をキャッチして避難行動に移すのは自分自身。台風、地震、火山等がある地域でなんでもハードで備えるには限界があります。

身の回りは自分たちで（mr-mama・北海道・44）

インフラ部分は国に対策を講じていただかないとどうしようもないが、自分の身の回りに関しては、災害の種類、被害の状況、自分たちへの影響それぞれに応じて求めるものが個々に異なります。昨年の北海道胆振東部地震を経験しましたが、ブラックアウトで道路1本隔てて天国と地獄でした。家庭環境、行動範囲に応じて必要なものは自分たちで対策するべきだと思います。

今までとは違う街づくりを（地球交響曲・大阪府・42）

堤防の補強や土地のかさ上げも可能ならすると良いでしょうが、メンテナンスも考えると限界があると思うので、被害を受けにくい地域に居住地を移し、被害を受ける地域はメインの道路周辺や公共施設など中心になる場を先ずはかさ上げして低コストで地域の新しい形を作り直すというのが必要だと思いました。このまま同じような街を再生すると、被災の再生産にもなり、幾ら税金や義援金を集めてもキリがないので。

まずは一人一人の意識、教育を（黒船・神奈川県・52）

自然災害で人命が奪われる度に、とても心が痛みます。この秋の洪水被害も、ほとんどはハザードマップの想定内。知って早めに避難行動していれば防げた命も多かったでしょう。日本は、昔から多くの自然災害を経験し、しかしそれを乗り越えて先祖は命を繋いできたからこそ、今の繁栄があります。近代国家として発展して行く内に、そう言った経験や知恵を忘れてしまったのでしょうか？国に頼る前に、一人一人が減災を意識して先回りし、予防するために十分な知識と知恵を身につけることが重要です。

金銭面は期待できない（本の虫・大阪府・47）

金銭面は期待できないのでNoにしました。国の制度はあっても申請方法がわからなかったり、適用の基準が細かすぎて補償対象なのかわからないものが多いと思います。手続きの簡素化、支払いまでの期間の短縮といったことをして欲しいと思います。

とても多岐にわたるご意見をありがとうございます。今回、長野県のケースでは新幹線の車両基地がハザードマップの浸水想定地域にあって話題になりました。ハザードマップは現代のものですが、昔から「危ない土地」というのはいろいろ指摘されています。古い地名には「・・崩れ」というようなものも少なくありません。もちろんそれは過去に崩れたことを意味していることが多いと言われています。そういった場所でも、人口が増えるにつれ、宅地にしていったケースがあります。またかつては田んぼや沼だった場所が埋め立てられて宅地になったケースも数多くあります。
 
一度宅地になってしまうと、今度はハザードマップがあっても「浸水想定地域」「土砂崩れ想定地域」であることを受け入れないという住民も出てきます。それを認めれば土地の価値が下がるからです。ここに災害対策の難しさの一端があります。
 
地球交響曲さんの言われるように「被害を受けにくい地域に居住地を移す」ことができればいいのでしょうが、災害が想定されるからと言って「移転しなさい」というのはかなり無理があります。まず第一に、移転するとしてその費用はどうするのか。もともと住んでいた土地を売るといっても誰か買ってくれる人がいるのでしょうか。下手をすると二重ローンに陥ってしまうこともありえます。行政が買ったケースも東日本大震災ではあったと思いますが、普通は財政事情というだけでなく、行政の公平性から難しいのが現状でしょう。コンパクトシティや休耕田の集約なども同じ問題を抱えています。「私有財産」の再編というのはかなりハードルが高いのだと思います。
 
それでは治水の場合、堤防を強化すればいいのかというと、それも財政的な負担を考えればそう簡単にイエスとは言えません。既存のインフラでさえ、人口が減り、税収が減る自治体では維持管理が難しくなっているのが現状です。ましてスーパー堤防を主だった河川に建設するのはそのコストを考えても大変です。実際、民主党政権のときには事業仕分けによってスーパー堤防は廃止という方針が決まりました（後に一部復活しています）。財政的に限界がある以上、何らかの優先順位をつけなければなりません。最近の言葉で言えば、公助でやること、自助や共助をたのまなければいけないことを分けて考える必要がありそうです。
 
さて皆さんに伺います。もしあなたのお住まいになっているところが「浸水想定地域」に入っていたら、どのように考えますか。移転することを考えますか。それとも浸水しないような徹底的な対策を要求しますか。ぜひ「わが事」として考えてみてください。





★藤田議長の過去の円卓会議より
・小泉環境大臣にして欲しいこと、ありますか？
・老後のために2000万円、驚きましたか？
・日本の人口減少、心配ですか？

• 2019.11.04
• 藤田正美 フリージャーナリスト、『ニューズウィーク日本版』元編集主幹