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会議番号:3548 開催期間 2019年06月14日- 06月21日
老後2000万円問題は、ほとんどの方が驚かれたわけではないようですね。年金で老後がすべて賄えるはずがないというのはほぼ「常識」と言ってもいいのかと思います。その意味では、自民党の「国民に不安を与えた」という言い方はそもそもが的外れということでしょう。国民はもともと不安に思っていた人が多かったと思います。GDPの6割を占める個人消費がなかなか伸びないのも、まさにその不安を抱えているからだと考えられます。 言葉を換えればこの「年金不足」問題は日本だけの問題ではありません。世界経済フォーラムに興味深い報告が載っていました。この報告によると年金生活者の保有資産と生活必要額の間には大きなギャップがあるようです。2015年時点でも、オーストラリア、カナダ、中国、インド、日本、オランダ、イギリス、アメリカの8カ国合計で70兆ドル(約7700兆円)に達しているといいます。しかもこのまま放置すれば2040年には不足額が400兆ドル(約4京4000兆円)になると言います。日本の国家予算が年間100兆円という事実と比べても、この数字がべらぼうであることは実感できるでしょう。「京」という単位を文章で使ったのは私もこれが初めてです。 年金不足が生じているのは、これは構造的な理由です。それは長寿化と高齢人口の増加です。世界でもこれだけの年金不足が起こっていることのほうが驚きですね。2040年時点で年金不足額が大きいのはアメリカ、中国、それにインドです。いずれの国も日本よりはるかに人口が多く、かつ中国では少子高齢化が止まりません。年金制度が始まったのが遅い中国やインドでは、積み立て不足という問題もあります。 ではどうしたらいいか。ほとんどの方がお答えになっているように公的年金が不足するなら自分で準備するしかありません。ただ持てる者と持たざる者の社会コストの負担のあり方はもっと議論してもいいのだろうと思います。麻生大臣はご自分が年金を貰っているのかいないのか知らないと国会で答弁しました。まあそれはそうしょうが、それならばもっと社会的コストを負担していただけるのかどうかという議論が必要でしょう。所得格差や資産の保有格差が広がり続けると(現在は世界各国でこの格差が広がっています)、大きな社会不安を呼ぶことがあります。1929年の世界大恐慌前もこの格差が非常に大きくなっていました。現在はそのころに似ていると主張する人もいます。 さて皆さんにお尋ねします。世界には「高福祉・高負担」の国と「低福祉・低負担」の国があります。かつて麻生さんが総理だったとき、日本は「中福祉・中負担」と言いました。今年秋には消費税が10%になります。北欧諸国などは25%です。皆さんは、どういった社会を望まれますか?★藤田議長の過去の円卓会議より・衆参ダブル選挙、いいと思いますか?・統計の不適切調査。再発防止策ありますか?・トランプ大統領の貿易政策、気になりますか?
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