佐々木かをりのwin-win 素敵な人に会いました、聞きました

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Marina Mahathir
(マリナ・マハティール)
さん

ライター・マハティール元首相長女


娘は、多分世の中で一番偏見のない人に育ったんじゃないかしら!

佐々木

ご自身の子育てで、一番難しかったことは何ですか?

マハティール

そうですね、娘が2人いますが、2人は12歳離れているんです。26歳と14歳。世代が全く違うので、長女が育ってきた時と次女が育ってきた時は全く違った、ということでしょうか。

長女の時、私は娘を公立学校に通わせました。とてもいい学校でした。娘は12年間、その学校に通い、問題ありませんでした。次女も長女と同じ学校に通わせたいと思い、学校に申し込みました。その時、学校がかなり変わっていたことに気が付きました。

佐々木

学校自体が?

マハティール

学校の環境、姿勢、長女が通っていた時とかなり変わっていました。例えば、娘に体育の授業用の短パンを渡しましたが、娘は今は長ズボンをはくのだと言いました。以前は、体育の授業ではいつも袖なしで、短パンをはいていたのに。

佐々木

それは宗教上の理由からですか?

マハティール

そうです。以前より保守的になったんですね。様々な点で、次女の時は学校生活で心配がありました。小学校入学前は、幼稚園で問題なく、たくさんの友達もでき、地域にもなじんでいました。しかし次女が初等学校に入ってから、話し方が変わりました。 娘は他人の宗教、人種を知りたがるようになりました。テレビを見ている時ですら、娘は映画スターの宗教は何なのかを知りたがりました。それで私は少し心配になったのです。

学校で授業は全員同じように教えるのですが、イスラム教徒の子どもは宗教の授業、他の多くの子どもは道徳の授業を受けるなど、別れての学習もありました。ですから、子どもたちは宗教によってクラス分かれるのを知ったのです。子どもたちはまだ幼いですし、誰が娘にそういう話をしたのかは分かりませんが、私たちはその方法が好きではありませんでした。

佐々木

互いに違いがあることを知り、敬意を払うことは大切ですが、違いや宗教を気にしすぎると別の課題がでてきますね。

マハティール

本来、人間の基本である、いい人か悪い人で人を判断しなくなってしまいます。だから数カ月後、その学校を退学させて、娘を私立のインターナショナルスクールに入れました。それ以来、娘はその学校に通っています。

転校を決め、学校の先生方にお伝えした時、とても悲しかったのを覚えています。本当に悲しかったです。私は政府の教育制度で、長女も初等学校に通いましたし。でも次女をこれ以上通わせるわけにはいきませんでした。とても悲しかったです。一方で、私立学校には別の問題があります。学校の生徒も限られますし。そういう環境の中で娘を育てたくありませんでした。

佐々木

娘さんをさまざまで、幅広い家族や背景を持つ人の中で育てたかったのですね。しかし私立学校には限られた生徒しか通いませんからね。

マハティール

限られています。しかもインターナショナルスクールですから、外国人も多くて、かなりこれまでとは異なります。

佐々木

でも、道徳、宗教、偏見などの教育の方がもっと大事だと思ったのですね? 大きな決断をしましたね。

マハティール

大きな決断でした。特に夫はとても心配していました。彼はインドネシア人でイスラム教徒。でも他に選択肢がなかったのです。娘の考え方や話し方がとても心配でならなかったんです。彼女が身につけ始めた考え方や態度をやめさせるのには時間を要しました。

佐々木

でも今は問題なくなった?

マハティール

今はまったく問題ありません。というか、娘は、今、多分世の中で一番偏見のない人に育ったんじゃないかしら!

佐々木

良かったですね。あなたも安心したのではないですか?

マハティール

今はとても安心しています。娘は14歳でいまマレーシアで勉強をしています。娘は今や熱心な活動家タイプ、フェミニストタイプになりました(笑)。時々、こっちが「ちょっと」と思うくらい(笑)。

佐々木

指導者としての資質がお父様から、あなた、娘さんへと受け継がれていますね。

マハティール

意図してないですよ、学校のおかげだと思っています

佐々木

インターナショナルスクールなので、ストレートに話すようになったのかもしれませんね。

マハティール

そうですね。それに学校は地域活動を推奨していますし、旅行や、修学旅行など、インターナショナルスクールでは、公立学校では行っていない、さまざまな活動を行っています。娘はたくさんのことを吸収しています。


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