佐々木かをりのwin-win 素敵な人に会いました、聞きました

156

Marina Mahathir
(マリナ・マハティール)
さん

ライター・マハティール元首相長女


センシティブなテーマなんてありません

佐々木

あなたは今もライターとして記事をかいていらっしゃるのですよね。

マハティール

ええ、新聞にコラムを書いています。20年以上、The Star紙に書いています。隔週です。紙面用ですが、今はオンライン版にも載っています。

佐々木

本の中でも書かれていますが、女性はストレートに話すことが大切、ですか。

マハティール

誰もがだと思います。もちろん女性も同様です。特にマレー文化では、ストレートに話すことを好まない人もいます。長々と話を続けて、はっきりとモノを言いません。人を傷つけたくないとか、他人の顔を立てるためにとか。ある意味、そういうことも必要ですが、そういう態度は問題や事実を話すことを避けることにつながります。事実を伝えることが大切なこともある。あいまいな話し方をすると、世界の難しい問題の解決に取り組んでいないと受け取られてしまいます。

佐々木

確かに。ストレートに話す時に気を付けていることや方法はありますか? 私もはっきり話します。多くの場面で、それは明確に人に伝わりますが、時にはストレートに言いすぎると受け止められることもあります。娘によく、話し方を注意されます(笑い)。ストレートに言う時、またはストレートに話すことを人に勧める際に気を付けていることなどはありますか?

マハティール

マレーシアでは、センシティブ(微妙な)という言葉をよく使います。これはセンシティブなテーマだから、センシティブになる必要があるとか。でも私はセンシティブな話を、センシティブに話すくらいなら、最初から話すべきではないと思っています。

佐々木

センシティブという言葉の意味は、話をはぐらかして、言い訳をしているだけだとおっしゃるんですね?

マハティール

そうです。でも私に言わせれば、センシティブなテーマなんてありません。センシティブにアプローチしているだけです。そのテーマへの取り組み方を考えていることになりません。その場合、時にはユーモアが役立つ時もあります。テーマについて冗談を言えば、人々は話を聞きやすくなります。

例を挙げたり、自分の実体験を話すことも手段の1つです。事実を伝えるのは、テーマについて精通しているわけですから、事実に基づいて話を進めることもいい手段でしょう。私にはそういうことがとても役立ちました。ストレートに話すということは、衝突を生む、無礼な話し方だと人にとられがちですが、必ずしもそうなる必要はありません。

佐々木

あなたがおっしゃる「ストレートに話す」とは、話せないセンシティブなテーマはないという意味なんですね。どんなテーマもまずテーブルに載せて、率直に話し合い、互いの意見を交換するべきだと?

マハティール

そうです。立ち向かう必要なないのですから。

佐々木

また大事なこともおっしゃっていました。人と話をする時、話す時のマナーにはセンシティブになる必要があるけれど、テーマについてはセンシティブになる必要はないということですね。

マハティール

そうです。ただ礼儀をわきまえればいいのです。

佐々木

イー・ウーマンのウェブサイトには「働く人の円卓会議」というコーナーがあります。そこで私は参加者に発言ルールを設ています。それは「I statement」というルールです。「I statement」とは一般論ではなく、自分の体験を語ろう、というものです。たとえば「女性は普通こうだから」「最近、私の周りの人がそう言っている」というような発言はしない。こういった発言には事実がありません。しかし「私はこう感じる、私が似たような状況に直面した時、私はこうした」と発言することで、個人の体験を共有し、他人を攻撃せず、他人を批判せず、自分の意見や体験を提示することができます。イー・ウーマンではそういった議論のルールを持っているんです。

マハティール

まさに私もそれをいいたいのです。コラムの読者から、よく「これについて話してほしい」「これについて書くべきだ」といった要望を受けます。もちろんわかるのですが、私は個人的に体験したことのないことは書けません。そのテーマについての知識がないからです。

問題の背景も何も知らないで書く人にはなりたくありません。そしてそれが何かの役に立つとも思いません。だからそういう人に、「ご希望は受け取りました。とても興味深いですが、私には自分のルールがあって、自分がよく知らないことはは、よく理解するまでは書きません」と。大抵の人は受け入れてくれます。


  • 17 / 18


バックナンバー

過去の一覧

ページの先頭へ