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会議番号:3284 開催期間 2014年03月21日- 03月28日
最初に皆さんの投稿を読んで感じたことは、「世帯」ということの意味が必ずしも理解されていないということです。税制は、国民一人一人の税金のことですから、きちんと公平に執行されることが大前提です。「世帯」というのは、法律上婚姻関係にある者や生計を一(いつ)にする扶養親族のことで、法律上の概念です。従って事実婚は入りません。 では、実際に世帯単位課税を導入しているフランスのN分N乗方式を説明したいと思います。この税制の計算方式は以下のとおりです。 まず夫婦及び扶養子女の所得を合算します。次にこの合計所得を、家族の人数に応じた家族除数(N)で割った金額を算出し、ここから税率不適用所得(課税最低限のようなもの)を控除して、残りの金額に税率を適用して税額を計算します。ここで得られた税額に、家族除数Nをかけて、世帯全体で納めるべき税額を算出するのです。 夫婦子2人の場合を考えてみましょう。夫や妻の家族序数は1、第2子までの子どもの序数は0.5です。そこで、夫婦の所得を合算して、3(1+1+0.5×2)で割り、そこから一定の控除を引いて税額計算して、最後に3をかけて納税額をだすのです。 所得税は累進税率になっているので、家族の数が多いほど、適用税率が低くなります。結婚し配偶者を持ち、子どもを多く抱える世帯ほど税負担は軽減されることになります。そこで、結婚して配偶者を持つことや子どもを産むことに対して税制が支援することになり、少子化対策になるというわけです。 たしかに、家族は扶養し合い、同じ消費単位で経済活動を行っていますので、世帯単位で担税力を測り課税することは決して不自然なことではありません。むしろ実態に即しているともいえましょう。 一方で批判があります。既婚者と単身者との間に制度上の不公平を生じさせるので、婚姻の中立性に影響するという問題が指摘されています。税制は個人のプライバシーの問題に関与すべきではない、という主張です。 もっともこの点は、今わが国に必要な政策が少子化対策、税制を活用して子どもの数を増やそう、ということであるならば、それは問題とはいえないでしょう。 しかし、もう一つ大きな問題があるのです。それは、この税制(世帯単位税制)は、「高所得専業主婦世帯」に大きなメリットをもたらすという点です。共稼ぎ世帯に比べて片稼ぎ世帯が有利になる、高額所得者に税制上大きな利益を与える、という問題が生じるのです。 そしてそのような減税は、国庫に大きな減収をもたらすことになるわけです。 このように世帯単位課税への移行は、「女性が輝く社会」と整合性が取れなくなるという問題があります。 次回は、わが国などがとる個人単位税制について考えるとともに、103万円の壁を作っている配偶者控除について考えてみましょう。 皆さんは、それでも「世帯単位税制」の方がいいと思いますか?★森信議長の過去の円卓会議より・消費税8%。価格は、総額表示がいいですか?・女性の社会進出のために配偶者控除を廃止し、財源を子育てに使うことに賛成ですか?・消費税の「軽減税率」導入、賛成ですか?
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