働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
会議番号:3288 開催期間 2014年04月11日- 04月18日
いったいなぜそんなことができるのか? 国際社会が手をこまねいているように見えるのはどうして? それが多くの方に共通する疑問のように思えます。 ロシアがなぜウクライナのクリミア自治共和国を併合したのか、その理由を知るにはまずロシアという国の地政学をある程度知る必要があります。帝政ロシアの時代から、ロシアは西側の防衛にとても神経質でした。首都だったサンクトペテルブルグも、革命後に首都となったモスクワも西側から攻められやすい地形だったからです。とりわけモスクワはヨーロッパからほぼ平原が続いていて、そのためにソ連はヨーロッパ東部に衛星国(ポーランドや東ドイツ、ルーマニアやチェコスロバキア、ハンガリーなど)を配置していました。これらの国がソ連から離れようとすると、武力介入も辞さなかったのです(1956年のハンガリー動乱、1968年のプラハの春事件)。 1991年にソ連が崩壊すると、こうしたソ連時代の衛星諸国では共産党政権が倒れました。そしてEU(欧州連合)に加盟し、軍事的にはそれまでのワルシャワ条約機構からNATO(北大西洋条約機構)という西側の軍事同盟に参加しました。それはロシアにとっては軍事上「丸裸」になるのと同じでした。 そうした背景があって、ウクライナに親西欧政権ができるのか、それとも親ロシア政権ができるのか、という綱引きが21世紀になってから繰り広げられています。綱引きの要因は経済的な問題です。誤解を恐れず単純化すれば、ロシアについているほうが得か、それとも西欧についていたほうが得かという話です。ただウクライナにはロシア系住民も多く、どちらかが圧倒的に強いわけではありません。そうした中で、今年、親ロシアだったヤヌコビッチ政権が打倒されました。選挙ではなく暴動などで打倒されたため、ロシアは現在の暫定政権は「正統」ではないと主張しています。 クリミア自治共和国は、ロシア系住民が全体の6割と多いこと、さらにロシア黒海艦隊の重要な基地であるセバストポリがあることから、ここを絶対に確保するという行動に出ました。その正統性を確保するために「住民投票」を実施したわけです。投票の結果、90%以上の賛成でロシアへの帰属ということになりましたが、この投票に反対の住民はほとんど投票していないことや、「ロシア軍」が民兵を装ってクリミアを「制圧」していたことから、欧米は住民投票の無効を主張しています。 そしてロシアのプーチン大統領は、クリミアの編入を強行し、欧米諸国はいっせいにロシアへの「制裁」に踏み切りました。とはいえ、制裁の内容は非常に腰の引けたものであり、実質的な効果はとても期待できないものです。それはアメリカはとても武力を行使できる状態にないこと、ヨーロッパ諸国は微妙に立場が違うこと、またドイツをはじめロシアからの天然ガスに3割ほど依存していることなど、いくつもの理由があります。 欧米側に有効な手立てがないままに、クリミア編入は既成事実化しているのが現状です。ただこれだけで終わりそうにありません。ロシア系住民の多いウクライナ東部での混乱が続いており、ドネツクなどで政府庁舎や警察署が占拠されています。ウクライナ暫定政権は、強制排除をちらつかせていますが、これに対してロシアは力を行使すればロシア系住民を守るためにロシアが介入するともにおわせています。現に、ロシアとウクライナの国境には4万のロシア軍が集結しているといいます。これはまさに現在進行形の話なので今後どう展開するのかはまったく予断が許されない状況です。 これが大まかな解説ですが、力を背景とした国境線の変更に関して、なぜ国連が機能しないのか、これについてどうお考えになりますか。 ★藤田議長の過去の円卓会議より・次の都知事に期待すること、ありますか?・特定秘密保護法案、興味ありますか?・東京五輪、日本のプレゼンスは上がりますか?
イー・ウーマン
表参道カレッジ
eshop
©2014 ewoman, Inc.