働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
会議番号:3318 開催期間 2014年11月14日- 11月21日
予想していたよりNOの答えが多かったのは、驚きました。DiamondBarさんやMANAMINさんのように、社会保障の将来を案じての反対論が多くありました。世論では7割、8割が先送り論ですから、イー・ウーマンの投稿者は、世論の平均的な考え方とは異なっているということでしょうか。 2日目の今回は、引きのばし論の根拠を考えていきたいと思います。根拠としては、「進みつつあるデフレ脱却を確実にしたい」という一点だと思います。消費税率8%への引き上げが、思わぬ経済停滞を招いたことへの反応です。背景には、消費税増税を先延ばしても、「経済が回復すれば税収が伸びるので財政健全化は大丈夫」という考え方もあります。 消費税率8%への引き上げは、国民所得を8兆円程度奪うことになるので、これがもとの経済成長に戻るためには、われわれの給与が上がる必要があり、それには相当の時間がかかります。経営者が賃上げを認めるのは、経済が本当によくなってきたという実感を得てからでしょう。従って、消費税率引き上げの経済効果の判断は、引き上げ直後の7-9月QE(GDP速報)で考えるよりもっと長い期間で考えるべきではないのか、ということではないでしょうか。 そもそも社会保障・税一体改革は、社会保障の受益と負担を、高齢世帯から若年子育て世帯(あるいは将来世代)にシフトさせるという政策ですから、短期的な経済動向だけで判断することは問題があるのではないか、ということもできます。 もう一つ、消費税率引上げ以外の、今起きている経済停滞の原因を考えてみましょう。アベノミクスの第1の矢(異次元の金融緩和)により円安になっても、経済構造の変化から輸出が伸びないことが上げられます。これはすでに多くの企業がアジアなどに生産拠点を移してしまっているというわが国の産業構造の問題です。 最後に、第2の矢(機動的な財政政策)である公共事業を追加しても資材や労働者不足から事業が進まないということがあげられます。 このように、わが国経済の問題点が、需要不足ではなく供給側に問題があることを示しています。従って必要なのは、経済構造に手をつける改革を行う、です。 これを解決するのが第3の矢(成長戦略)ですが、これは自民党内の抵抗もあって、ほとんど飛んでいません。私がこの円卓会議で幾度となく議論し(具体案まで提示し)てきた「配偶者控除」の問題も、全く手がつけられていません。これらの政策を行うことを急ぐ必要があります。 もう一つ、経済成長が起きれば財政再建は大丈夫という考え方についてです。この議論は、税収という歳入側しか議論していません。経済が成長すれば、金利も上がります。ターゲットである2%のインフレが生じれば、金利は今より2-3%上がるでしょう。国・地方で1000兆円の借金を抱えているので、金利が1%上がれば1.5兆円程度利払いが生じます(国債の残存期間を7年と仮定して計算)。3%上がれば5兆円程度の利払いが発生し、加えて償還するための費用も必要になります。こうなれば、経済が良くなって税収が増えたとしても、ネットの財政赤字は解消されません。 このように考えると、7-9月のQEで判断するという安倍総理の考え方自体が問題だということになるのではないでしょうか。 次回3日目は、社会保障・税一体改革の意義、受益と負担について改めて考えてみたいと思います。社会保障・税一体改革について思うことや、社会保障の受益と負担を高齢世帯から将来世代にシフトする考え方についてなど、みなさんの投稿をお待ちしています。★森信議長の過去の円卓会議より・消費税8%。価格は、総額表示がいいですか?・女性の社会進出のために配偶者控除を廃止し、財源を子育てに使うことに賛成ですか?・消費税の「軽減税率」導入、賛成ですか?
イー・ウーマン
表参道カレッジ
eshop
©2014 ewoman, Inc.