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会議番号:3347 開催期間 2015年06月05日- 06月12日
日本が、今回の「平和安全法」によって集団的自衛権の行使ができるようになることは、既に日本をターゲットにすると言っている「イスラム国」のようなテロに対する抑止力になるかどうか。この質問に対して、最初の投票の「集団的自衛権の行使、必要ですか?」にYes/Noにかかわらず、「抑止力にはならない」もしくは「むしろリスクが高まる」というご意見をいただきました。僕も、それに同意いたします。 僕の理由は簡単です。それは、昨年2014年は、アメリカそしてNATOという世界最強の軍事同盟による「テロとの戦い」が、2001年9.11の同時多発テロ以来13年余(この時点で、アメリカ建国史上最長の戦争)戦って「テロリスト」を殲滅できず撤退した年なのです。 つまり、世界最強の通常戦力をもってしても軍事的な勝利を挙げられず、そのテロリストの一つである「タリバン」と和解をして、かろうじて政治的な勝利を挙げようと現在鋭意努力中ですが、勢いに乗っている相手はそれに応じる気配はありません。つまり、「我々」は、この戦いにおいて、大変に分が悪いのです。 日本がやろうとしている集団的自衛権の行使とは通常戦力の提供でしょうから、それが意味をなすとしたら、アメリカとNATOにそれが不足している時だけです。不足しているでしょうか。今回の平和安全法では、”後方支援”、いわゆる兵站を想定しているため、そりゃ役に立つでしょうが、あまり大した”戦力”の提供にはならなそうです。ていうか、アメリカ軍自身が、あまり戦力は要らない、としているのです。それは、この戦いにおいて、開戦当初より戦況がだいぶ思わしくないと感じ始めた2006年、アメリカ軍は、20年ぶりに軍事教義を大変換したのです。アメリカ軍はバカではありません。思わしくない戦況に一番慌てて、なんとかしなきゃならないと試行錯誤するのは当然なのです。 それは、一言で言うと、人心掌握です。テロリストが巣食うのは、常に、破綻した社会です。そういうところは、国家が提供すべき「法と秩序」が浸透していない。それどころか、中央から疎外され、圧倒的な差別と被害者意識が根付いている。そんな時に、地元社会、特に若者の屈折した心を取り込んでしまうのが、過激思想なのです。 こういう状況を武力だけに頼って正そうとすると、逆効果。じゃあ、どうするか。米兵がチョコレートを配りますか。これも逆効果です。結局、我々と同じ価値観を持つ、まともな政権をつくり、それを通して社会の隅々まで、国家による保護と恩恵を行き渡らせるしかないのです。つまり、まともな”傀儡政権”をつくることですね。 ここで問題があります。まともになれよ、君と君の国民のためなのだから、と傀儡政権にとって耳の痛いことでも敢えて言い続けなければならないのですが、これが難しい。傀儡政権は、常に、”占領者”の足元を見るのです。つまり、ただでさえ嫌われる外国の軍隊に占領させてやっているのは俺のお陰だ、と。 その結果、第二次世界大戦後、国連ができて、「国際援助」という概念が生まれて70年余経つのですが、たぶん、アフガニスタンとイラクの傀儡政権は、国際援助史上、最も援助を受けた存在なのですが、同時に、”腐敗度”がトップランキングという。これでは、どんなに援助しても、恩恵は、末端に届きません。人心掌握は、絵に描いた餅です。だから、アメリカは、武力に頼らない軍事教義をもってしても、未だ成功していないのです。占領者である限り。そして、NATO、つまりアメリカ寄り先進国のほとんどすべて、占領者なのです。 だから、僕は、アメリカのお仲間に、あえて占領者とならずに、果敢に傀儡政権の懐に入り込み、援助をしながら内政を是正してゆく存在が必要だと思います。なぜ、日本は、日本が既に持つ国民性のブランドを活かし、ここに、アメリカを補完する道を見出すことをしないのでしょう? なぜ、集団的自衛権の行使を”非武装”でやる道を探さないのでしょう? 日本が本当にターゲットになる前に。★伊勢崎議長の過去の円卓会議より・日本国憲法第9条の「改正」に賛成ですか?・自衛隊の“対テロ”協力、支持しますか?・アフガン支援「50億ドル」、支持しますか?★伊勢崎議長と佐々木かをりの「ウィンウィン対談」も、ぜひお読みください!「紛争解決のために、日本ができること 〜平和外交は、まず相手を理解する事から始まります」
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