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会議番号:3370 開催期間 2015年11月20日- 11月27日
台湾に行くと、どうしても入りたくなるのが台北市にある国立故宮博物院です。パリのルーブル博物館やロンドンの大英博物館のように、故宮に収められた中国の美術品を中心とする歴史遺産を見るには、1日の観光ではとても無理ですから、何度でも訪れたくなります。台湾が大好きという「ayaPa」さんも故宮博物院の“常連”ではないでしょうか。故宮とは、北京の紫禁城の別名で、大部分の収蔵品は、もともとは紫禁城にあったもの。中華民国(台湾)の正統性を象徴する「国立博物館」ですが、「一つの中国」の矛盾というか苦悩を象徴する施設にも思えます。 さて、先ごろシンガポールで行われた中国・習近平国家主席と台湾の馬英九総統との「習馬会」(台湾では「馬習会」と呼ぶそうです)をどう評価するか。まず、何と言っても「歴史的な会談」ということでしょう。毛沢東の率いた中華人民共和国と蒋介石が統治した中華民国との間で長く敵対関係にあった双方が、何代かの代替わりを経て、「一つの中国」という“合言葉”で、現在の指導者同士が握手をして会談、食事を共にしたのですから、歴史的大事件です。双方の指導者の思惑もそこにあったと思います。その意味では、「ayaPa」さんの言うように、この会談は政治的なパフォーマンスであり、その裏に何があるのか、双方の狙いや事情を考える必要があると思います。 台湾の企業は流通や不動産などのサービス業から製造業まで中国大陸に進出する一方、中国本土からの観光客も急増し、台湾経済を底支えしています。台湾にとって、こうした現状を維持、発展させていくためには、本土との握手は不可欠だと言えます。しかし、この関係をさらに深めて、香港のように中華人民共和国に統合されて「一国二制度」として台湾が存続していくか、となると、台湾の多くの人は反対だろうと思います。 中国側の狙いは、「いまいくん」さんが言及した「中国包囲網」の一角にある台湾の切り崩しでしょう。すでに韓国とは密接な関係を築きつつあり、もともとの同盟国である北朝鮮を焦らせていますが、今回の「習馬会」は、国家としては中国を承認しながら、安全保障では台湾を支えてきた米国や、それに追随する日本にとっては、歓迎とは言えない事態だと思います。「まうやん」さんが言う「複雑な気持ち」というのがぴったりの表現でしょう。 安倍政権は、第1次内閣のときから「自由と繁栄の弧」という概念で、自由主義という価値観で中国やロシアをけん制していこうという考え方があり、その弧に台湾が入るとは決して言及していませんが、「言わずもがな」という気持ちはあったと思います。東シナ海や南シナ海での海洋進出を進める中国にとって、台湾との接近は、より動きやすい環境を整えることになると考えているでしょう。これも日本やフィリピン、ベトナムなどにとっては、ありがたくない動きです。「習馬会」の会席の料理は中国料理で、台湾料理は入らなかったそうですが、「真打ち」さんが指摘したように、これが「一つの中国」の現実で、安全保障も「一つの中国料理」になりかねません。 そこで、日本の戦略として議論したいのは、TPPです。「blueberry53」さんが指摘したように、今回の会談が台湾と米国との連携の切り崩しであるならば、TPPに台湾を引き入れるという戦略も考える必要もあるでしょう。今回の会談で、馬総統は台湾のTPP加入を示唆したが、習主席は無視、という報道もありました。日本は積極的に台湾のTPP参加を促す必要があるかどうか、みなさんはどう考えますか。 日中台の関係が気になる「YES」の方はもちろん、今は気になっていない「NO」の方も、ぜひこれを機に考えてみてください。★高成田議長の過去の円卓会議より・東日本大震災から4年。風化したのでしょうか?・東北の復興支援、続けていますか?・最近の世界経済、気にしていますか?
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