イー・ウーマン（ewoman）

今回の決断については信頼する（TAKA0309・東京都・41）

消費税増税延期は苦渋の決断だったと思う。アベノミクスが成果を上げていない今、増税をおこなえば、少なくとも私は食費以外の出費を大幅に控える。同様の意見が全国民の3割程度いるならば、税収面だけではなく外食産業、小売業等、景気の面で陰りが出るのではないだろうか。また、一部の企業で、預り金とはいえ、消費税の納入が困難になっているのも事実であり、アベノミクス効果のある一部の企業だけではなく、日本全体が少しでも効果を得られてから実施するほうが良いと考える。

そうは言っても（kko・海外・その他・51）

今の日本や世界の経済はそんなに簡単に立て直すことはできないと思います。できれば増税した方がいいでしょうが、前回の消費税増税時の、日本国民の消費の落ち込みはひどいものでした。「爆買い」に頼りすぎるのは危険。やっと景気が少しだけ上向いた今、再び増税するには早いと思います。最初から増税しないと決めてしまうことなく、ギリギリまで様子を見て延期を決めた決断は悪くなかったと私は思います。動向を見極めながら決断を下すことも政治家の大切な役割だと思います。

焦点を逸らそうとする態度が不信（レッズ・埼玉県・35）

公約を破って増税延期を決めたことよりも、本当は憲法改正をやりたいのに選挙の焦点から逸らそうとしている態度が信頼できません。前回の選挙の時はアベノミクス解散と言ったのに、選挙後に突然安保法案成立に動き始めました。今回も同じ戦法でやろうとしているのが透けて見えます。信の問い方もおかしいと思います。増税したいけれど、それでもいいですか？という問い掛け方なら理解できますが、増税しないけれど、それでもいいですか？という問い掛け方には釈然としません。

政権にしがみつきたいのか（abbyi・神奈川県・38）

消費税増税の背景は、国の赤字を減らすことだったはずです。増税を先伸ばしにすることで、安倍政権の延命はできるかもしれませんが、国家としては自らの首を絞めることになります。安倍氏(敢えて首相とは書きません)は、政権にしがみつきたいだけのように私には思えます。

安倍総理と選挙制度への不信感（violet-m・神奈川県・45）

高度成長期もバブルも知りません。増税を先延ばしにすれば、投票率も人口比率も高めの、年金を入手する頃の方は大喜びで支持するでしょう。では、若い世代は？ 社会保障費の安定化だけでなく、環境問題や老朽化したインフラなどの課題は、なんでも次の世代に先送りです。一票の格差は地域だけでなく年齢層にもあると思うのです。豊かな時代に生きた方の豊かな老後のため、厳しい時代を生きている世代がより苦しい思いをする、二極化に不信感を抱いています。

問題の先送りでしかない（あきんぼ・東京都・49）

社会保障や福祉が問題になっていて、対策するとは言っているが、財源の話をしないまま時が過ぎています。そんな中で消費税を先送りにすれば、財源がないからできないという、子どもの言い訳のようなことを言い出すような気がして心配です。個人的には税金は安いほうがいいけれど、必要なところに使うために徴収してくれないと、社会が不安定になると思います。

責任感がある行動とは思えません（シンゴパパ・静岡県・49）

選挙に負けたら議員は終わり、なんでしょうね。私には、選挙からの逆算だけを考えた「消費増税延期」にしか見えません。アベノミクスは成功→増税、アベノミクスは失敗→増税延期が普通だと思いますが、アベノミクスは成功、だけど、増税延期？？？「女性の社会進出」も「子ども・子育て支援」も絵に描いた餅。日本そのものが財政破綻するか、スーパーインフレで借金をないことにするか、責任感がある行動とは到底思えません。

失敗を認めない（佳華・広島県・54）

アベノミクスの失敗をどうやっても認めない首相に失望しました。経済は最もグローバル化しており、どうやっても1国で解決できる規模の問題ではありません。増税してもしなくても、批判にはされされますが、先送りは熊本地震もあって妥当だと思います。しかし、無理やりこじつけても謝らない、サミットで茶番を演じて他の国の失笑を買ったり、必死でメンツを保とうとする安倍首相は信用できません。

増税は貫いてほしい（銀木犀・55）

今回は安倍首相に分はありません。サミットの展開を見ても「世界の皆が言っているから」という布石だということが見え透いていました。今回の増税再延期は単なるポピュリズムだと思います。個人的には税金の使い方は無駄だらけだという認識ですが、待ったなしの財政再建、社会保障の充実のために、身を投げ打って増税をやり遂げてほしかった。議長が言うとおり、選挙の争点は増税延期ではありません。私はそこを決して見誤ってはいけないと考えています。

「リーマンショックのような重大な事態が発生しない限り増税は実施する」。こう断言していた首相が増税を再延期したのですから、4分の3の回答が安倍首相を信頼できない、というのは妥当な数字かもしれません。世論調査の内閣支持率とは異なるようですが、信頼感という点に限れば、国民の気持ちを反映したものかもしれません。
 
再延期を表明したのは、参院選が目前に迫っている時期です。「選挙からの逆算だけを考えた」（シンゴパパさん）、「政権にしがみつきたいのか」（abbyiさん）といった厳しいコメントが並びました。「本当は憲法改正をやりたいのに選挙の焦点から逸らそう としている」（レッズさん）という指摘もありました。 「待ったなしの財政再建、社会保障の充実のために、身を投げ打って増税をやり遂げてほしかった」（銀木犀さん）という意見に同感する人は多いと思います。
 
首相は会見で、社会保障の給付と負担のバランスを考えれば、「引き上げた場合と同じことを全て行うことはできない」と述べ、増税延期で社会保障にしわ寄せが来ることを示唆しました。「消費税を先送りにすれば、財源がないから（社会保障や福祉の充実などが）できないという、子どもの言い訳のようなことを言い出す気がして心配です」（あきんぼさん）というコメントがありましたが、まさにその通りかもしれません。
 
首相への信頼という設問に「イエス」と答えた人のコメントを読むと、経済の実態がとても消費税を上げる状況にない、という見方が前提になっていますね。だから、「ギリギリまで様子を見て延期を決めた判断は悪くなかった」（kkoさん）という見方になるし、首相にとって「苦渋の決断」（TAKA0309さん）だったという理解になるのでしょう。
 
「ノー」と答えた人のなかにも、「アベノミクスの失敗をどうやっても認めない首相に失望」としながらも、「先送りは熊本地震もあって妥当」（佳華さん）というコメントがありました。
 
今回の安倍首相の決断に対する評価は、増税延期に賛成か反対かというX軸と、アベノミクスの効果を肯定するか否定するかというY軸との組み合わせによる4つの象限で考えると、よりはっきりするかもしれません。
つまり、
・第1象限（増税延期○、アベノミクス○）
・第2象限（増税延期×、アベノミクス○）
・第3象限（増税延期×、アベノミクス×）
・第4象限（増税延期○、アベノミクス×）
の4つです。
 
安倍首相は当然のことながら第1象限の旗振りですが、決定の過程で増税延期には疑問を呈していた麻生財務相らは第2象限でしょう。野党の多くは、アベノミクスは失敗しているし増税は延期すべきだという第4象限です。
 
みなさんのコメントをこのグラフでみると、「イエス」と答えた人も、首相は信頼しますがアベノミクスの効果には疑問を持っているようですから、第1象限と第4象限の中間あたりでしょうか。「ノー」と答えた人は、第3象限と第4象限に分かれています。
 
私は団塊の世代で、高度成長時代に育ち、バブルに浮かれた世代です。ですから、「豊かな時代に生きた方の豊かな老後のため、厳しい時代を生きている世代がより苦しい思いをする」（violet-mさん）というコメントには、胸が痛みます。
 
首相は、「アベノミクスは失敗」という野党に対して、「それなら代案を示せ」と反論しています。あらためて、Y軸であるアベノミクスをどう評価したらいいのでしょうか。増税延期というX軸も考えながら、必要なら、追加策でも代案でも加えてください。みなさんの意見をお待ちしています。





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• 2016.06.06
• 高成田享 コラムニスト、元 朝日新聞論説委員