働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
会議番号:3473 開催期間 2017年12月01日- 12月15日
ひるねさんの「日本大手企業の不祥事は、もともと根付いていた体質が表出してきただけ」というのは厳しいご指摘ですね。私も同じような感覚を持っています。かつてこんなことを聞きました。ある外資系のコンサルタントで東京の中小企業の立て直しに入っていた方にインタビューしたときでした。「取引先の東証一部上場企業と交渉していたら、無理難題を言ってきた。それはコンプライアンス違反ですと指摘したら、相手はコンプライアンスなんてわれわれ大企業には関係ない。お前ら中小企業が守ればいいんだと言った」というのです。 こうした大企業の傲慢さは、経済記者として企業を取材していたときも感じていたことでした(もちろんすべての大企業がそうだというのではありません)。右肩上がりの時代でしたら、多少の傷があっても成長の陰に隠れてしまいますが、右肩下がりの時代にはそれらが表に出てきてしまいます。残念ながら、これからもいろんなところで同じような事件が顔を出すと思っています。 企業でもうひとつ気になるのは内部留保の多さです。これは1990年代に借金を減らすことに努め、さらに2008年のリーマンショックでまた「財務体質の改善」に努めた結果ということができます。しかし、企業が内部留保を貯め込むのは必ずしもいいこととは言えません。企業は資金をため、さらなる成長を目指して投資をしていくものだからです。新しい市場を切り開くことは、企業が資金を運用して利得を上げることとはまったく違います。資金運用では次の世代の成長にはつながりません。その意味で日本のGDPに匹敵しようかという企業の内部留保は、日本企業のダイナミズムが薄れていることを示すものだということも言えます。 そしてやはり大きな問題は財政でしょう。安倍総理は、消費税を8%から10%にするのを2度延期しました。金額にして年間5兆円ぐらいの話です。本来、2014年10月に上げる予定だったものを2019年10月にしたのですから、5年ということになります。5年間延ばしたことによる税収減はざっと25兆円(軽減税率がない場合)になります。加えて、5年間ずらしたので、これから先の消費税引き上げも、数年間は後ろにずれざるをえません。その累計額はさらに大きなものになります。1000兆円を超える借金を抱えているときに、しかも右肩上がりではない経済の中で、何十兆円もの税収を敢えて見過ごしてしまうことが将来世代に何をもたらすのか、政治家は(そして私たち自身も)本気で考えているのでしょうか。 それに次回の増税に軽減税率を導入した(軽減税率導入によるマイナス分は年間1兆円と言われています)ことも、将来に禍根を残す失政と言わざるをえません。世界にも軽減税率を導入した国があるということをよく言いますが、それは昔の話です。つまり効率よく必要な人々の負担を減らすことができなかった時代の話であります。いま日本はマイナンバーを導入しましたから、所得が低い人を把握し、効率的に税金を還付することができます。商品をあいまいな線引きで分け、軽減税率を適用するより、はるかに支援が必要な人々に届く支援ができるようになっているのです。にもかかわらず「痛税感の緩和」などという論理で軽減税率を通してしまいました。権力を維持する政党にとって、増税はいつも避けたい選択ですが、いまの日本にはそれだけの余裕がないと思っています。 さて皆さんにお聞きします。日本経済の先行きが明るくないのは、人口が減少するということが一つの理由です。皆さんは、人口減少によって社会にどんな問題が起こるというようにお考えでしょう。身近なところで気がついておられれば是非それを教えてください。★藤田議長の過去の円卓会議より・総選挙、投票先は決めましたか?・経済記事、読んでますか?・アベノミクス、まだ期待できますか?(2013年6月)
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