イー・ウーマン（ewoman）

複雑ですが（マりりん・東京都）

自分の得た所得が何所得に該当するか、どの所得の損失なら通算できるのか等が複雑だと思います。ただ、給与所得者が多い現状を踏まえると、あまり構える必要はない気もします。個人事業主は確定申告している訳ですし、複雑な取引をした場合はそもそも確定申告しなければならないので。経費については、仕事で使用したもの、自分を向上させるためのものは該当すると思いますが、人それぞれで考え方が分かれると思います。

皆申告自体は賛成ですが……（CHIDURU・京都府・29）

税制自体が複雑かどうかの前に、税制を知るためのツールが少なすぎると思います。確かに財務省HPや税務署窓口などでは公開されていますが、税制に対してあまり免疫のない人が直接そのようなアプローチはしづらいと私は思います。実施プロセスではもちろん様々な策がとられると思いますが、何も知らない人であっても、何のどこを見ればいいのかが明瞭で、また情報の内容についても、素人であってもわかりやすい国民目線のものが提供されてほしいと思います。

複雑以前の問題を感じます。（millionbell・59）

具体的に何が複雑かという質問に納税者の果たしてどれぐらいの人が答えられるのかと考えてしまいます。税金に対して学ぶ機会が全くといってない中、義務として申告する人、義務を知っていて申告しない人も少なくないはずです。確定申告には賛成ですが全ての人に平等に課してほしいと思います。自ら税金対策できる人、老人や知識の少ない節税対策できない人が存在する以上、脱税者もなくならないと思うからです。まじめに納税しているが損をしない仕組みだけはしっかりと整えてほしい。

無知ゆえに漠然（mondek・神奈川県・37）

現行の税制では会社からの天引きを鵜呑みにしているため、具体的にどのように複雑なのか、そもそもこれが本当に複雑なのかすら、恥ずかしながら把握をしていません。家族構成や配偶者の有無によっても変わってくるものだと理解はしているものの、実感としては何もないというのが正直なところです。必要経費については、特に会社には申告をしないスキルアップのための書籍や業務上必要となる服装にかかる費用の申告ができれば助かるのではないかと漠然と想像しています。

書籍が経費だとありがたいです（yokomit2・東京都・37）

仕事柄、専門分野の本、お客様や関係者の関連本、話題のビジネス書、視野を広げるための本等、毎月数万円単位で本を購入しています。当初は会社に請求していましたが、面倒ですし、仕事のためだけではなく自分のスキルアップ・教養のために読んでいることもあり今は自費です。申告で控除できるようになることは知りませんでした。仕事のための書籍か線引きが難しそうです。基本的にAmazonで買うので年間の購入書籍一覧をファイルに落とせれば申告もしやすいと思います。

関心があります（tsatomi・宮城県・37）

仕事に役立てることを目的に書籍を購入したり、セミナーを受けたりしているので、その費用を経費として認めてもらえたら良いと思います。実際には、経費として申告する手間に見合うような控除を受けられるとは限らず、面倒くさがりの自分には不向きかとも思いますが、このような制度があると税金に関心が向くと思うので、賛成に投票します。

資料作成が大変（クロ豆・東京都・41）

確定申告の書類の書き方が難しいです。医療控除の用紙の書き方は、比較的簡単でしたが、その他の申請で大変苦労した記憶があります。会場は混み合うので、事前にWebで作成していくのですが、正しく作成できたかわからず、必ず会場で税務署の方に質問しています。入力ガイドをしっかり作成する、もしくは申請書類を簡単にする等、改良が必要だと思います。

税制と経費（ゆきなな・海外・その他・30）

日本の税制が複雑なのではなく、これまで会社ごとの申告をしていたものを、個人レベルに変えることが混乱を招くと思います。申告をしなかった場合、何か生活に支障をきたす程の条件を付けないと、なかなか難しいのではないでしょうか。経費については、やはり子どもの教育費や医療費です。ここを手厚くすることで少子化対策にも繋がると思います。

「皆」には無理があるかも（irukakun55・福岡県・30）

個人的には、控除してもらえる費用科目が拡大されることや、社員の年末調整の世話をしなくてよくなるのは大きなメリットです。「申告の手間＜メリット」です。しかし申告についての知識がない人や、申告に行く体力も、ネットで済ませるIT知識もないという人など、自身での申告が難しい人は大勢いると思うので、そういった「申告弱者」への対応をどうするのかな？と疑問に思います。

あいかわらず自主申告への支持は8割程度と高いですね。
今回の問いかけは、税制のどこが複雑ですか、というものでした。答をみると、CHIDURUさんなど、「どこがというよりそもそも税制を知る機会がない」という内容が多く見られました。それは、今サラリーマン（ウーマンも）は会社で申告調整をやってくれるから、知る必要がないからです。しかし年末調整は、プライバシーの問題（両親と同居、子供のアルバイトなど）や会社にかかる手間など多くの問題を引き起こしています。
 
さて、税制を知る機会がないので、それを作る必要があります。それは同時に税金の使い方を知ることにもつながります。米国では、多くのボランティア団体が手助けしてくれます。わが国でも、申告時期には税理士さんや青色申告会などが無料で助けてくれます。それから、「全員申告」と言っても、所得が少ない人は申告する必要はありません。また、概算控除と言って、一定以下の経費については、概算で計算する簡便な申告方法もあるので、それほど心配する必要はないと思います。
 
経費についての問いかけですが、皆さんからの答えは、自らの資質を高めるための書籍代を経費と認めてほしいというものが多かったですね。平成24年度改正で、給与所得の2分の1を超える会社都合交際費、勤務に必要な図書費、さらには資格取得費も控除が可能となります(概算控除を超える場合)。これをイータックスと組み合わせて、番号導入時にできるマイポータルを活用して、自宅で簡単に申告できるシステムを作る必要があります。そうすれば、手間がかからず自主申告できることになります。そのための簡単なソフトを開発する必要もあります。
 
ちなみにフランスでは、90年代半ばに出生率が低下したことから、家族政策の目的を、これまでの貧しい家族に対する支援策から、仕事と家庭の両立を支援するという考え方に変えました。子どもを持つ選択をした者が、仕事の面で払うことになる犠牲（機会費用）を小さくすることが政策目標となり、家で仕事をせずに子どもを育てるか、仕事をしながらベビーシッターなどを活用して子どもを育てるかといった選択肢に応じた支援策を講じることになりました。
 
その一つが幼年者扶養経費控除です。単身者、離婚者、共稼ぎ夫婦で、6歳未満の児童を託児所等に託している者は、その費用（児童一人当たり2.300ユーロが上限）の25％の税額控除が認められ、控除しきれない部分は給付されるものです。また、家庭内労働者控除で、自宅（別荘を含む）で、家事・育児・介護を行うものを雇用している者は、支払報酬額の50％の税額控除が認められます。ただし上限あり。このように、家庭内保育と自宅外保育の両方に対して支援税制が構築されており、ワークライフバランスを踏まえたきめ細かい制度となっています。
 
このような制度を導入するためには、ベビーシッター代が法律の要件に沿って支払われること、それを納税者が申告することが必要で、そのチェックを効率的・効果的に行うためには番号と、それを活用した申告が不可欠です。
 
さて今回の問いかけです。番号を活用してイータックスで自宅から申告できることになれば、皆さんはどうしますか。そのためには帳面を付ける手間を惜しまず、利用するかどうか、ご意見をお聞かせください。

• 2012.03.23
• 森信茂樹 東京財団政策研究所研究主幹、中央大学法科大学院特任 教授