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会議番号:3086 開催期間 2011年03月21日- 03月28日
いただいたご意見にもありますように、映像や地震速報を見た子どもの影響などの子どもへの影響も大きいと言えます。特に親子関係や対人関係の信頼関係が築かれつつある10歳ころまでの子どもは不安が強くなります。また、被災した子どもたちに、被災体験を語らせたりすると、不安が強くなります。トラウマケアとして被災体験を語らせるには、安全・安心でかつ信頼関係のおける人の前で行うなどの環境が必要です。 一方、直接被災していなくても同じ映像を繰り返して見ることでも不安が強くなります。緊急地震速報で地震に備えて身構えることはやむ終えないことですが、子どもが怯えないよう、周囲の大人が冷静に行動することを心がけてください。 防衛白書では、子ども以外にも、障害のある人、高齢者、病人、旅行者など災害時に特に援護を要する人を「災害弱者」と規定しています。災害弱者は「環境の変化に弱い」ということも出来ます。平時でも引っ越しは精神症状を発現する引き金となりうるのですが、避難所に行くことは、選択の余地のない非常時の引っ越しです。中には、2度3度の移動を余儀なくされている災害弱者もいます。環境の変化を好まず、頑なに自宅に留まろうとするのは災害弱者が多く、その家族も避難先で迷惑をかけると考えてしまいます。 私は、医療機関でさまざまなタイプの障害のある人を診察していますが、地震後に不安が強くなった人が多いことに驚いています。阪神大震災や同時多発テロの時も今回ほどではないものの同じ傾向がありました。映像からの影響も大きいようです。映像は安心出来る環境以外では見ないこと、同じ映像を繰り返してみることも避けるように説明をしていますが、報道する側の協力も必要だと思います。 もう一つ忘れてはならないのがペットや家畜です。ペットや家畜も被災しています。愛着を持って育てているペットや家畜をなくすこと、特に災害弱者は喪失感が大きいものです。逆に飼い主をなくして路頭に迷うペットもいます。動物までは支援の手が回らないという意見もあるでしょうが、ペットは家族の一員として一緒に避難することを認めて下さい。 避難先の獣医師会も動物の保護に取り組んでいます。私は、動物愛護という一面でだけでなく、人々のトラウマケアにつながる可能性があると思っています。何も語りかけない、逆境の中で健気に生きている様子は、人々の心を癒しうるのではないでしょうか。避難所生活も長期化する一方で、出来うる心のケアは限られており閉塞感が強い中で、動物に接することは新たに期待出来るトラウマケア法だと考えています。 今回はお話ししたいことが多く、皆さんのご意見に十分に答えることが出来なかっ たかもしれませんがお許し下さい。関連したいくつかのサイトを紹介いたします。・日本児童青年精神医学会:http://child-adolesc.jp/ ・仙台市の動物の愛護と福祉NPO法人:http://a-cube-sendai.com/ ・日本トラウマティックストレス学会:http://jstss.blogspot.com/ 時間が立ってもトラウマが簡単に癒えることはありません。被災した方のために出来る心のケアとは、長期的な視点に立って支援し続けていくことだと思います。
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