働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
会議番号:3121 開催期間 2011年10月10日- 10月17日
前回「私たちがエネルギーについて考え、発言し、変えていくためには、どのような情報が必要でしょうか? 少なくともどんなことがわかれば、一歩でも先へ進めるのでしょうか?」と問いかけました。いろいろなご意見を寄せていただき、ありがとうございます。 「いろんな人の情報や意見を整理・発信することが必要」とのこと、本当にそう思います。コメントにもありましたが、原発をはじめ、再生可能エネルギーも、化石エネルギーも、それぞれメリットとデメリットがありますよね。一切問題はなく、すべてがパーフェクト!というエネルギーは残念ながらないのです。 正確な科学的データが大事であることは言うまでもありませんが、そのようなデータをもとに、「どのメリット・デメリットの組み合わせが、現状では最適な選択か?」を選ぶのは、私たち一人ひとりを含む社会になります。科学者が選ぶわけでもなく、データを入れれば自動的に答えが出てくるわけでもありません。 また、単なるコスト計算などによるメリット・デメリットだけではなく、「私たちはどのようなエネルギーシステムを未来世代に手渡すのか?」といった倫理的な問いかけも含めて、考えていかなくてはいけないのだと思います。3月の福島第一原発事故を受け、ドイツのメルケル首相は「安全なエネルギー供給のための倫理委員会」を結成しました。17人の委員には原子力(技術)の専門家はおらず、原発推進派や脱原発派が約半々です。 委員会では、「原子力が必要かどうかの決断は原子力の技術専門家が決めることではなく、社会が決めるべき」との考えにもとづき、2ヶ月にわたって、委員による集中的な議論とともに、200~300名に及ぶ一般参加者との対話の場を設け、11時間に及ぶ討議の模様をテレビ局で生中継しました。 「ドイツ国民にとってどういった社会が望ましいのか、どういった価値観で意思決定を行うべきか」といった根本的な議論とともに、自然エネルギー政策のメリットやデメリット、原発を止めた場合の温室効果ガス増大のリスク、テロに対する脆弱性等について幅広く議論し、最終的にはこの委員会の報告書をもとに、脱原発を決めたのでした。 私たち日本の社会も、「エネルギー・デモクラシー」に向かって進んでいきたいと思いませんか? 「いますぐに」は難しい面がいろいろあるのもそのとおりです。歴史的な背景もありますし、現状の教育にはそういったことが含まれていないこと、政治に民意が反映されるという信頼もないこと、信頼できる意見集約機関としての政党もないことなど、みなさんのコメントにあるように、「課題」はたくさんありますよね。 でも私たちは現状からスタートするしかありません。「状況が整ったら」を待っていたら、いつまでたっても進めないでしょうから。 私たちの現状――「よくわからないことも多いし、難しそうにも思えるけど、でも、自分たちでも考えていきたい、問うていきたい」から、少しずつ進んでいきましょう。「何を知りたいのか」「何がわからないのか」「どう思っているのか」を、まずは自分に明らかにすること。そして、そのような思いや声を伝えていくこと。みなさんの考えや思いを集め、広め、政治にも伝えていく場として、「みんなのエネルギー・環境会議」が少しずつ活動を進めていますので、ぜひリアルでもバーチャルでも、コメント投稿でもよいので、参加して下さい。エネルギーの基本をわかりやすく紹介したコラムコーナーもあります。私が委員を務めている経済産業省の総合資源エネルギー調査会「基本問題委員会」も、すべての審議をインターネット中継しますし、これから「国民との対話」を進めていくはずです。機会があったらぜひのぞいてみて下さい。 そうやって、一つ一つ小さな一歩を重ねていくこと、そのプロセス自体が今の日本にとって大事なのではないかと思うのです。 1週間、ご一緒いただき、ありがとうございました。
イー・ウーマン
表参道カレッジ
eshop
©2014 ewoman, Inc.