働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
会議番号:3173 開催期間 2012年06月08日- 06月15日
前向きなご意見がたくさん寄せられて、とても嬉しく思います! 国・政府レベルでないとできないことももちろんありますが、皆さんのご投稿から、実は、個人、会社、団体、地域レベルでできることって、本当にたくさんあるのだと気づかされますね。 ひるねさんがWin-Win対談を読んで知ってくださったように、私は難民キャンプや援助の最前線で仕事をし、国連機関の本部で政策をつくるというようなことも手がけました。でも、「国や政府レベルだけでは社会の意識は変わらない。むしろ、個人・企業・団体といった民間部門にこそ物事を変えられるチカラと可能性がある」と思い、民間部門との連携をとりまとめ、活動資金を調達するポジションにシフトしました。今は、国連機関という大きな官僚組織を離れて、ジャーナリストとして皆さんに働きかけることで、少しでも難民たちが生きやすい社会にすることを目指しています。 日々の暮らしのなかで、お互いにリスペクトし合いながら外国のことや異なる文化に興味を持つ「多文化共生」(mayupyonさん、kemkemさん)の姿勢は、とても大切かつ楽しいことだと思います。その気になって探せば、楽しみながら学べる機会が世の中にはたくさんありますね。音楽、スポーツ、料理、ファッションなど、目を向ける・知るきっかけは様々です。 たとえば、6月20日の「世界難民の日」に関連するものだけでも、難民問題について考えるインターカレッジのサークル「J-FUNユース」が、「世界難民の日コレクション」というファッションコンテストを東京・原宿で開催します。難民問題に関係する国や地域をモチーフにした洋服を学生たちがデザインして、ショーとコンテストを行うという企画。 また、じっくり考えたい人向けには、難民の方々が陥りがちな「無国籍の問題」に目を向けるセミナー(6月16日)や、第三国定住について、政府関係者、国連機関、NGO(非政府組織)、受け入れ側自治体、そして難民当事者が一緒に議論するシンポジウム(6月20日)もあります。難民たちでつくる自助組織「難民連携委員会」が、オンラインで生中継するトークショー(6月20日)まであり、ネットでご覧になれますよ! 秋には、映画を通じて難民たちのドラマに触れてもらうという趣旨で始まった「UNHCR難民映画祭」(東京)、「ヒューマン・シネマ・フェスティバル」(全国各地)が開催されます。今年上映する作品が選考されているところですが、ふるさとを追われた人たちを描いた名画は数知れず、毎年国際的な映画賞を受賞したような力作がそろいます。 7月14日からは、今年の米アカデミー賞外国語作品賞にノミネートされた「ぼくたちのムッシュ・ラザール」というカナダ映画が劇場公開になります。この映画、難民が登場することから、日本語字幕の制作をお手伝いした経緯があります。小学校が舞台になっているだけに、観る人なりに、いろいろな入口から味わえる作品です。親子での鑑賞もおすすめですよ! また、日本に逃れてきたクルド難民の女性たちのために、クルドに伝わるレース編みの「オヤ」をつくりながら情報交換して日本語も学ぶというエンパワーメント事業がNGO「難民支援協会」によって行われています。彼女たちが遠い故郷を想いながらつくる「オヤ」の魅力に注目したアパレルメーカー「シアタープロダクツ」が、素朴な風合いのオヤを取り入れた商品を発表しました! ファッションを通じて、クルド難民の現状を知ってもらう機会になることでしょう。 スポーツで言うと、アメリカ・ジョージア州で難民の少年たちがサッカーを心の支えにして成長していく軌跡を追った『フージーズ』(英治出版)という本があります。この英治出版の原田英治社長と、海外での緊急援助の経験を日本の震災救援活動に活かしているNGOジェンの木山啓子事務局長とは、国際女性ビジネス会議の分科会でグローバル・イッシューについて語り合うことになっています! こうした「知る」「関心を持つ」「意識する」ことに加えて、民間でできる具体的な支援策としては、日本語指導をボランティアでやるなどといったサービスによる援助、ものを通じた物資提供(A6M2さん)、そして寄付(mayupyonさん)という金銭面での支援の3つに大きく分かれます。この中でも、「寄付」は、人間に例えてみれば、「血液」のようなものです。NGOなどは活動資金の多くを寄付に頼っているわけで、それが集まらなければ、必要な活動が行えず、しわ寄せが助けを必要としている人びとに行ってしまいます。 企業によっては、日本でも、社員からの寄付と同額をマッチングさせて寄付するという「マッチング寄付」の動きが拡がりつつあります。また、ものを買うことで、その売り上げの一部が「教育」や「女性支援」などのために寄付される「コーズ・リレーテッド・マーケティング(CRM)」も、コーズに敏感な客層を対象に日本でも定着しつつあります。 また、若い方々を前にお話しする機会には必ず、「あなたの100円で世界を変えられる」、「寄付は、地球規模の課題に一票を投じるようなもの」とお伝えしています。というのは、100円あれば、途上国で援助活動として行われている「学校給食」を5人分提供することができるのです。学校に行けば、栄養のバランスのとれた給食を食べることができ、親も子どもを学校に通わせるようになるのです。また、私が働いたネパールの難民キャンプでは、一人当たり100円で下着セットを子どもに支給することができ、下着がないために学校に行けない子どもをなくすことができました。 寄付文化の定着は、社会の成熟度の指標になると私は思っています。ただ、もちろん、寄付を募る側は、その寄付がどのように使われ、どのようなインパクトを持ったのか、きちんと目に見える形で説明する責任を負うことは言うまでもありません。 そして、難民問題や紛争を起こさない社会にシフトさせるには、つきつめて言うと、教育のすそ野を拡げて、雇用の機会をつくる 、それが一番有効ではないかと、経験値から感じています。そんな活動を行っている援助機関はたくさんありますので、少額でもマンスリー・プログラムなどで応援し続けることで、きっと大きな成果を上げることができるでしょう。 難民問題をはじめとする地球規模の課題について、あなたに合った関わり方を見つけていただいて、ラクに楽しく、長く続けていただけたら嬉しいです!おおぜいの方々の一歩一歩が長い間にわたって積み上げられて、社会が、世界が変わるのだと思います。 皆様からの投稿を読ませていただき、励まされました。そして、私の心の中に残ったのは、大きな「希望」の2文字です。 1週間お付き合いいただき、本当にありがとうございます!
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