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会議番号:3173 開催期間 2012年06月08日- 06月15日
「『難民』について、意識したことありますか?」のテーマに7割ほどの方々が「Yes」とお答えくださっていますが、Yesの方でも「より多くの難民の受け入れ」にはややブレーキを踏み気味のようですね。もしかしたら、このところの税と社会保障の一体改革の議論(ゆきななさん)などで、社会全般に「負担感」が拡がっているのかもしれません。 1日目のコメントに対しても投稿してくださった福島県のポーチュラカさん、被災された方々は、大震災から1年3ヶ月経った今も、まさに現在進行形で「避難」が続いていますね。 自然災害と紛争などの人災とを単純比較することはできませんが、国境を越えて逃げざるを得なかった難民たちの避難生活は、平均で17年に及びます。まさに「長期戦」です。慣れない土地で、土地に根差したセーフティーネットがなくなり、思わぬところに落とし穴のようなリスクがあります。その間、ふるさとを追われた人びとの「生き抜くチカラ」のみならず、支える側も「忘れることなく」「支え続ける覚悟」が必要だと思います。 先月、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)が6年ぶりに「世界難民白書2012年度版」を発行しました。白書で描かれているのは、難民問題が気候変動・洪水・干ばつ・資源争奪・食糧不足・人口増加・都市化の問題などとも複雑に絡み合って拡がっているということ。そして、援助活動にあたるスタッフを取り巻く安全が大幅に悪くなり、UNHCRとして創設以来60年の歴史のなかで、最も多くの紛争地域で援助活動にあたっている、という何とも暗澹たる気持ちになるものでした。 難民申請者の出身国のトップ・スリーは、アフガニスタン、イラク、そしてソマリアと、いずれも長期にわたって治安が安定しない国々。そして、和平が訪れて本国に帰るという「祖国への帰還」がここ20年で最低の水準に落ち込んでしまった、というのです。 これが何を意味するかと言うと、わずかずつでも、多くの国々で支え合うしかない、ということです。世界が一度に平和になるというバラ色の処方箋などありません。難民問題がなくなるというミラクルも起こりません。また、一つの国や地域ですべてを担うということでもありません。みんなで分かち合いながら支え合う、ということでしょう。 サバイバルについてプロ中のプロである難民を、「負担」と見るか、「人生経験の宝庫」「人財」と見るか。全く接触せずに(Lindenさん)無関心で過ごすか、「違い」に目を向けるか(DiamondBarさん)、私たちとの共通点や共感できる面に注目するかで、随分と評価が変わってくるのではないでしょうか。異文化交流(mayupyonさん)という付加価値、ありますね。才覚のある難民が飲食店や中古車販売業などを起業するのを、融資を通じて支援するという「難民起業サポートファンド」も今年3月に公益社団法人として立ち上がったんですよ。 個人的な体験として皆さんにシェアしたいのは、私が出会った難民たちは努力家だということです。日本で大学に通うチャンスを得た難民の学生は、年齢が30代ながらハイティーンや20代前半の学生たちにまじって勉強し、ICレコーダーで講義を録音して何度も何度も聴いて復習し、就寝する前にもう一度それを聴いて必死で授業についていくような人ばかりです。 でも、いつも一生懸命全開だと、やはり疲れてしまう。平均17年もの避難生活はとても持ちません。そういう点では、気持ちの切り替えが上手です。「仕方ない」「大丈夫、何とかなる」と開き直るときは、見事に開き直ります。でも、しぶとい。そして、コミュニティーに貢献しようとする。いつもこちらが学ばされることばかりです。 こんな難民たちのたくましさを考えることは、「グローバル化」ということを足元から見つめる材料になるでしょう。難民たちを支えるだけでなく、きっと私たち自身が成長する機会になるのだと思います。難民の受け入れには、中長期的には、少なくとも、人権推進、国際貢献、多文化共生、人材確保の「一石四鳥」の意味があるとも言えます。 難民問題のような地球規模の課題を少しでも解決する・やわらげるために、私たち一人一人ができることについて、ご意見を募りたいと思います。個人、会社、学校、地域など、自分・自分たちにできることをささいなことでもいいので、考えてシェアしてみてください。Noの方も、これまでの会議の議論をご覧になって、是非ご投稿くださいね! ★根本議長と佐々木かをりの「ウィンウィン対談」 ★過去の会議「あなたの仕事やスキル、国際貢献に役立つと思いますか?」
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