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会議番号:3287 開催期間 2014年04月11日- 04月18日
さて、本テーマで最後の会議となりました。初日から本日まで、少しずつYESの投票が増えました。 特別養子縁組は、国際的には国連こどもの権利条約が推進する「特に3歳以下の幼児が家庭で育つことが好ましい」という方針を受け、施設養護ではなく家庭養護で育ち、家族を持つ権利を守るためにと、理解が広がっています。赤ちゃんの脳の発達のためには、特定の保護者のもとで育ち、「アタッチメント形成」が必要であることが科学的にも証明されているからです。 現在、乳児の施設養護は「アタッチメント障がい」の可能性を高め、子どものQOLを下げ、社会的ネグレクトになるという理由から、先進国には乳幼児の養護施設はありません。虐待は「子どもにしてはならないことをすること」、ネグレクトは「子どもにするべきことをしないこと」という定義です。 「制度があることを知ってもらうこと」(noripyさん) 「いろいろなイベントが開催され、もっとタブー視されずにさまざまな親子のかたちを容認する社会をつくっていくこと」(かっこーさん) 「偏見をなくすような取り組み。第2のスタートによる幸せにもっとフォーカスを」(Zonnetjeさん) というように、情報を積極的に発信して社会全体の理解を深めるという提案が増え、心強い限りです。 一般市民に「特別養子縁組」の情報普及が始まったばかりともいえる日本では、リテラシー不足による誤解が、まだまだ多いのが現状です。特別養子縁組は「赤ちゃんが授からない夫婦のために子どもを」という不妊救済策ではないという理解も急がれます。 「跡継ぎとして男子が欲しい」「高齢で体力不足なので女子がいい」「病気がない子にしてほしい」といった通常の妊娠出産でも叶わないことは望めません。 「子どもを育てるには働かないと」と養子縁組で迎えた子どもを深夜まで保育園に預ける前提で里親登録すると「子どもの心身の成長に適切な状態」を用意できないと判断されます。 通常の育児休業を取得する親と同様の期間、またはそれ以上の期間を、「子どものアタッチメント形成のために育児できる」が養親としての第一条件なのかもしれません。 「迎えた後のサポート体制」(サヨリさん) 「養子となった親、実親、そして子ども、全員が精神的にフォローされる仕組み」(まちじょさん)という、サポート体制の充実を求める声も多く届きました。 育児は飼育ではなく人間性育てであり、25年間ほど続く社会人育てでもありますから、子育て支援はあらゆる多様な親子に必要ですね。 養子縁組された方からのご意見 「一般社会的にはマイノリティなので、小学校を卒業するまでは学校生活などに気を使いました」(めみよさん) というお声をいただきました。 特別養子縁組の親子さんの日常は、そうではない親子さんとまったく変わりません。各機関によりサポート体制があるのですが、社会全体がリテラシーを向上し、愛情深く育てる決意を体現している養子縁組の親子さんへ、あたたかい理解を深める時期が来ているのでしょう。 最後に貴重なNOの方のご意見をご紹介しましょう。 「やはり可能な限り自然な形で」(blueberry53さん) おっしゃるとおり、特別養子縁組が親子の形の1つでありますが、少数派であり続けるでしょう。本来、すべての命が「生まれてきてくれてありがとう」と迎えられ、育てられることが理想です。しかし、現在の日本では年間約103万人の出生がある一方、約20万件の人工妊娠中絶があります。5:1の割合で予定外妊娠後の産まない選択がなされている中、妊娠22週以後に相手が失踪した等、育児困難状況に陥る妊婦もいるのが現状です。妊娠22週以後は、出産すること以外に選択肢はありません。第1回でもお伝えしたとおり、虐待による子どもの死亡で、一番多いのは生後0日、つまり出産した当日。2012年に発見された新生児の遺体は13人です。 30年前から、行政機関である児童相談所でも開始された「特別養子縁組」は、親権放棄前提の境遇にある妊産婦が、赤ちゃんの生命を犠牲にしないで済むようにと始まった「虐待予防策」。 みなさんは「赤ちゃんの遺体があがらない社会」「すべての赤ちゃんがあたたかい家庭で育つことができる社会」のためには、何が今後の課題と感じたでしょうか。 川上と川下の問題があるとすれば、「特別養子縁組」は川下の問題といえるかもしれません。 次世代が、育児が可能な状況で妊娠を迎え、支えられながら育児できる社会とするために。 一人ひとりに何ができるでしょうか。 今後もみなさまと一緒に検討していければと存じます。 会議3日目でもお知らせしましたが、4月26日の日本財団での「養子縁組団体フォーラム」でもご相談ができるようですので、興味のある方はぜひ足を運んでみてください。 ありがとうございました。
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