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会議番号:3513 開催期間 2018年09月28日- 10月05日
こんにちは。電通ダイバーシティ・ラボの阿佐見綾香です。 みなさんは「アンコンシャス・バイアス」という言葉を聞いたことがありますか。日本語では一般的に「無意識の偏見」と訳される言葉で、米国シリコンバレーで2000年頃に生まれた概念だと言われています。 「アンコンシャス・バイアス」を持っていると、さまざまな弊害があると言われています。例えば「小さな子どもがいる女性には、大きなプロジェクトを任せるのは難しい」、「男なのに、育休を1年もとるなんてことあるわけない」などの偏見があると、女性の活躍機会を剥奪することにつながったり、男性が家事・育児に参加する機会が阻害されたりするかもしれません。あるいは、「日本人だから真面目」「若者は発想が新鮮」などの凝り固まった考えがあると、イノベーションが阻害されたり、グローバル化が遅れたりすることもあるかもしれません。 今、世界的にも「アンコンシャス・バイアス」への関心が高まっており、2018年5月にはスターバックスが全米8000以上の店舗を閉店し、アンコンシャス・バイアス研修を行ったというニュースも話題になりました。 日本でも近年、「アンコンシャス・バイアス」に関する研修を行う企業が増えており「アンコンシャス・バイアスに気づこう」という動きが活発になってきています。 私たちのチームでは当初、「アンコンシャス・バイアスはダメなものだから、気づいてやめてもらうためのトレーニングキットを作ろう」と必死で議論を交わしていました。でも、具体的な事例を挙げて話すうちに、「あれ?そもそもアンコンシャス・バイアスは、無くさなければならない『悪』だと言い切れるのだろうか?」という疑問がわいてきました。 例えば、先述の「小さな子どもがいる女性には、大きなプロジェクトを任せるのは難しい」という「アンコンシャス・バイアス」。プロジェクトを他の人に任された場合に、がっかりする人もいれば、「助かった!」と思う人もいるかもしれません。 また、人が蛇を見ると「怖い」と危険を察知するように、そもそもアンコンシャス・バイアスは、誰しもが本能的に持っている、生きるために必要なものという考え方もあるようです。 そして、一般的な「無意識の偏見」という日本語訳ですが、「偏見」はニュアンスが違うのではないか?ということにも気がつきました。 「偏見」の意味を調べてみると、「偏った見解。中正でない意見。」。一方で、「バイアス」という言葉の意味は「深く信じこむこと」であり、その根拠となるのが、先入観や固定概念、思い込み。 「偏見」と言われると、直感的にネガティブなことという印象でとらえてしまうかもしれませんが、「アンコンシャス・バイアス」=「思い込み」、の方が近いかも?と考えると、フラットな言葉のように見えてきませんか? 「アンコンシャス・バイアス」を無くせば、世界はもっと生きやすくなるというのは本当なのでしょうか。 「アンコンシャス・バイアス」を「悪」として排除しようとすると、思い込みから生まれる「思いやり」もなくなってしまうかもしれません。 あるいは、職場で障害者の方が困っているのを見かけたときに「障害者だから弱いと思ってしまうのは、アンコンシャス・バイアスかな?声をかけるのはやめとこう。」といったように、コミュニケーションを躊躇してしまうようになるかもしれません。 「アンコンシャス・バイアス」によって、行き違いが起こり、苦しい思いをすることがあるのも事実でしょう。ただ、その気づきが、コミュニケーションの妨げになってしまうこともあるかもしれません。 みなさんは、「アンコンシャス・バイアス」は、悪いことだと思いますか? ご自身の職場でのできごと、身近なできごとや見聞きしたことなどを思い浮かべながら、どんなことでも構いませんので、思った事をご自由にお寄せください。みなさんの投稿をお待ちしています!★阿佐見議長の過去の円卓会議より・LGBTの課題への取り組み。企業の事例、知っていますか?・LGBTの今後の課題、知っていますか?
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