働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
会議番号:3064 開催期間 2010年11月15日- 11月29日
先週の土曜日、11月20日に、私が監督している映画「レオニー」が公開され、今全国を飛び回っています。今日は札幌、明日は高松です。この映画製作で、ここ数年、私はアメリカの人々と一緒に仕事をしてきました。その仕事での私のポジションはプロデューサーであり監督でしたから、アメリカ人を使う立場、異国から来たリーダーの立場でもありました。 そこで絶えず求められたものが、「自信」であり、すぐれた「説明能力」であり、「偏見からの脱却」だったように思います。 まず、私が乗り込んだのは、映画ビジネスの世界ではその中心と言われるハリウッド。 そして使う人々は、皆さんが世界の第一線で活躍する、一流のスタッフや俳優さんたちだったのです。 はじめは「自分に彼らのリーダーの役目が務まるかしら?」と不安でしたが、その不安は絶対見せてはならない。私の映画なのだから、自信を持って彼らと向き合おうと心に決め、疑いや偏見を持たないようにしながら、自分のビジョンを胸張って伝えることに努めました。 その日々の中で痛感したことは、日本の、特に女性は、リーダーが必要とされる「自信」を培う機会が極めて少ないことが、この社会の大きな問題、ということでした。 また、「日本人は欧米人に比べプレゼンテーション能力が劣る」とはよく言われることですが、日本の教育の中に、「プレゼンテーション」のカリキュラムを積極的に取り入れ、子どもの頃から「説明能力」を培う場が必要、とも思いました。 そして、異国での映画作りを通じて、特に強く感じたことが「通じ合いたいという思いが強力なツール」であり、「個々の意識のありようこそ重要」ということでした。 ある日本人ジャーナリストが、今回私と一緒に仕事をした米国のプロデューサーに、「どうしてこれまでの日本の映画人が何度も挑戦しようとしてできなかったことを、松井監督はできたのか?」と質問したときの、彼の答えは以下のようなものでした。 「それは、Hisakoが常にHisakoのままだったから。それだけのことだよ。これまでの監督たちは皆JAPANを背負って、『アメリカと勝負する!』という意気込みで来たけど、Hisakoはいつも彼女個人のままで、自分の映画のビジョンと情熱を僕たちに語り続けてくれたからね。彼女には、解ってもらえる筈だという僕たちへの信頼があって、いつもopen mindだったから、とても理解しやすかった」 最後に、なんだか自慢話めいた話になってしまいましたが、結局、自分や自国の魅力をアピールするために必要なものは、私たち個人個人の「意識の持ち方」にかかっている、ということなのですね。 今回私が投げかけた「日本が世界に誇れるものはありますか?」という、とても答えにくい質問に、たくさんの方が真摯に向き合ってご意見をお寄せくださいました。4日目に頂いたご意見は、YESもNOも含め、いずれも私が今回の質問で喚起したかった答えと期せずして一致していて、大変嬉しく、締めくくりに相応しい内容になりました。 YESとお答えになったTulipさんの「先入観と偏見から自由になる」、メヌエットさんの「必要なのは自信」、レスペクトさんの「深い理解と説明能力」、そして、黒船さんの「通じ合いたいという思いが強力なツール」とのご意見ばかりか、NOと回答されながらも、yumminさんの「個々の意識のありよう」とのご意見も、いずれの中にも、私の思いと共通のものがありました。 今回の会議で、私たちの国にはさまざまな魅力や美点、世界に誇ることのできるものがあることを再認識することができました。あとはそれを伝えるスキルを磨くこと、そして、少しの勇気ではないでしょうか?
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