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会議番号:3187 開催期間 2012年08月31日- 09月07日
ご意見、とても興味深く拝見しました。みなさんからいただいた「長期の在宅勤務のメリット・デメリット」を項目にまとめつつ、弊社における「8月社員全員在宅勤務」での対策と結果をご紹介します。 【メリット】(1)子育て期は、子どもの都合に合わせて仕事時間を調整できる オフィスに通勤する場合でも、「自己管理をする」管理職と、「管理される」従業員が存在しますよね。在宅勤務だからといって、社員全員を「自由」にするのは、会社としてリスクがあります。今回の「8月社員全員在宅勤務」では「通常と同様の時間管理をする」ことを前提に実施しました。 弊社では、通常のオフィス勤務、在宅勤務にかかわらず、在席管理システム「Fチェア」(自社開発)で社員の時間管理をしています。自分が「仕事をしている」とした時間は、上司がPCの画面をときどきチェックできるようになっています。これにより、全社員が、在宅でも「働く緊張感」「働くモチベーション」を維持することができます。ただし、私用等で離席することも可能です。抜けた時間分は、その日の別の時間にカバーします。これにより、「子どものお迎え」等で、気を使わずに(!)離席することができました。長期の在宅勤務においては、「時間管理」と「モチベーション維持」が重要です。 (2)通勤費等のコスト、通勤のための移動の社員の労力を削減できる 今年の夏は特に暑く「満員電車」で大変な思いをされた方も多いと思います。実際、社員から「通勤による体への負担軽減」「通勤時間の活用」について、よかったという意見が多くありました。 ちなみに今回の8月の「通勤費」は、既定通り支給しています。しかし、「在宅勤務」が主要な働き方になれば、「出社時のみ実費支給」となるので、会社としてのコスト削減は確実に実現できますね。 (3)無駄な会議や待ち時間を削減できる 在宅勤務になったからといって、会議がゼロになるわけではありません。実際、弊社では、在宅勤務中でも「Web会議」を使って随時打ち合わせをしています。とはいえ、必要最小限の開催ですみます。 「○○待ち」時間で家事が出来る、というご意見がありましたが、弊社の在宅勤務の場合、前述の在席管理システムがあるので、他に業務がない場合は「離席して家事」が可能です。 次に【デメリット】をみてみましょう。(1)直接会って話せないと、チームワークに支障が出る 「チームでの業務コミュニケーション」をどう実現するかが、長期の在宅勤務の最も大きなポイントとなります。ところが、弊社の「8月社員全員在宅勤務」では、この点はほとんど問題になりませんでした。理由は、日頃からネット上で「チームでの業務コミュニケーション」をとることを実施していたからです。具体的には、「Pro.メール」(自社開発)という、チームで仕事をするためのメールを使って、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)を実施しています。 (2)公私の区別や自己管理ができないと、業務効率が低下する どんなに優秀な社員でも、自宅でひとりの状況でも自己管理ができるとは限りません。 弊社で「Fチェア」を導入した当初、社員から「監視されているようでイヤだ」という意見もありました。最近では、「在宅でも仕事をちゃんとしていることを伝えることができて安心」という声もあります。 (3)長期の在宅勤務の場合自宅での経費や雇用条件が心配 すでに在宅勤務を実施している企業の対応はさまざまですが、月数千円の「在宅光熱費」を支払うところもあります。弊社では、社員に自宅で毎日電気使用料を計測してもらった結果から最大でも5kW/1日とし、kW価格×営業日数で算出し「在宅勤務経費」2000円を支給することにしました。 雇用条件についてですが、原則として、在宅勤務を理由に給与を下げてはいけないことになっており、今回の「8月社員全員在宅勤務」では、給与は同じです。しかし、出社する社員と在宅勤務者では、通勤の負荷や、担当できる業務の違いがあるのは事実です。長期に渡る、あるいは、在宅勤務採用の場合、「フレックス賃金制度」を採用し、「働き方」を手当化することで、社員が柔軟に働ける賃金体制を実施しています。 (4)自宅に業務のための環境がないと、在宅勤務は難しい 実は、弊社の今回の試みで大きく課題になったのは「自宅での執務環境」でした。「セキュリティ」については、事前に問題点を把握し、「リモートアクセス」や「仮想デスクトップ」といった、社員のパソコンにデータを残さない対策を実施しました。業務に必要な資料についても、サーバー上で共有し、業務進行上の環境は整えていました。 しかし、実際に、通常出勤している社員が在宅勤務をすると、「ネットが遅くてストレスになる」「生活音(来客のインターホンの音、ペットの鳴き声等)が気になり、電話対応がしにくい」といった、執務環境における問題点が出てきました。長期に渡った在宅勤務を実施する場合、会社として、社員の自宅における執務環境の確認と整備の実施の必要性を、強く感じました。 (5)担当業務によっては、会社でないとできない仕事がある 今回の試みで「社員全員」にこだわったのは、「非常時に向けた予行演習」という目的があったからです。このため、自宅で実施しにくい、電話対応・郵便や宅配関連・書類押印などの物理的業務を担当する社員までも、在宅勤務を強制しました。 案の定、そういう社員は「在宅勤務時の業務効率は65%程度」との報告がきています。しかし、逆の視点でいえば「65%」できたのはすごいことかもしれません。 「私の仕事は在宅勤務ではできない」と決めてしまうと、場所に縛られない柔軟な働き方(テレワーク)をすることができません。「非常時でもこうすれば〇%できる」という体制づくりが重要であることを再認識しました。 さて、上記のようなさまざまな課題と戦った結果、「在宅勤務時の業務効率」はどうなったでしょうか。 社員の申告を集計した結果、ワイズスタッフは「92%」、テレワークマジメントは「120%」、両社合わせて「101%」となりました。おそらく「最小限の社員のみ出社」とすれば、「110%以上」の業務効率となるでしょう。大変ではありますが、会社と社員が努力すれば、在宅勤務でも、業務効率をアップさせることができるのです! さて、いよいよ次は、最終回。今回の「業務効率」に関する報告に対するみなさんのご意見を紹介しつつ、「節電」の最終結果をご報告したいと思っています。 最後の問いかけです。みなさんのご自宅は、1日中仕事ができる環境は整っていますか? 机、椅子、照明、生活音……。整っている方はその状況を、難しいという方は、その理由を教えてください。
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