働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
会議番号:3354 開催期間 2015年07月17日- 07月24日
日本に取り入れたいフィンランド流子育て支援とは?の問いかけに様々なご意見が集まりました。中でも目立っていたのは3年の育児休暇、教育の無償化、ネウボラ、残業しない文化でしょうか。3年の育児休暇は、フィンランド人にとってもやはり大きなブランクではあります。しかし、3年は法律で決められた権利なので、休む側は安心して休み、職場の同僚は自然なこととして受け止めます。また復帰の際には、初日からすぐにフルに戦力として働けるとは周りも思っていないので、温かく見守り、必要であれば、トレーニングなど学びの機会を設けるというスタンスをとっています。復帰後の社員は、通常やる気に溢れ、仕事熱心ですので、そのやる気を職場にもたらし、生かすことも大切ですね。 復帰後、大変なのは子どもが具合悪くなった時でしょうか。フィンランドでは両親のどちらかが4日間の介護休暇をとることが認められているので、家で看病することが多いです。また、フレックスや在宅勤務といった柔軟な働き方を利用する人も。フィンランド全体では約3割が何らかの在宅勤務をしています。 フィンランドの職場であまり残業がないのは、法律や強い労働組合(会社別ではなく産業別)のおかげだと思います。給料も年俸制をとっていて、効率が重要視され、残業はよっぽどの理由がないと認められません。逆に、成果を出していれば、場所や拘束時間にとらわれないので、多様な働き方が可能となっています。これが子育てにも良い効果をもたらしていると思います。 シングルマザーに関するご意見も多かったですが、フィンランドは今結婚するカップルの半分は離婚すると言われ、籍を入れない事実婚や再婚も増え、当然ひとり親も多くいます。フィンランドでは別れる際に共同親権を選択することが多いので、別れても近くに住んで、子どもの親としての義務は共同で果たそうとします。また、ひとり親に限らず生涯学習や職業訓練の機会がフィンランドでは多く設けられています。ただ、いろいろな支援があっても、まだまだひとり親は時間的に忙しく大変なことも事実です。 こういった家族の形や生き方が多様化していても、フィンランド人は格差を嫌い、チャンスは全ての人に平等であるべき、という価値観を強く持っています。教育の無償化、手厚い子育て支援というのは、その表れでもあるのです。 フィンランドの人口はわずか540万人。北海道の人口とほぼ同じです。今の競争社会でフィンランドが生き残っていくには、一人ひとりが健康に暮らし、能力を最大限にすることが求められます。国民は国の重要な資源で、1人も無駄にはできません。妊娠期から支え、社会全体で育てていくことが、将来の節税や増税にも繋がります。教育や子育てへの投資が、将来、国を支えるのです。 そのためには、痛みもあります。日本の消費税にあたる税率は24%。所得税も高いです。もちろん子どものいない人たちが皆満足しているわけではないですが、自身も子ども時代、学生時代にその恩恵をたっぷり受けてきたので、その代償を払うことは義務だと考えている人が多いと思います。 ある研究者によると、日本とフィンランドの税率を同じくした場合、子育て支援にかけるお金は、日本を1とするとフィンランドは2になるそうです。そこで、引き続き皆さんにお聞きします。日本でも社会全体で子育てを支えていくには、より具体的にどうすればいいと思いますか?★ミッコ・コイヴマー議長の著書をご紹介します。『フィンランド流イクメンMIKKOの世界一しあわせな子育て』(かまくら春秋社)★ミッコ・コイヴマー議長は第20回国際女性ビジネス会議(7/26開催)に登壇されます。
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