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会議番号:3454 開催期間 2017年09月01日- 01月12日
北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイル発射や核実験に対し、「今は対話ではなく制裁を強化すべき」と繰り返す日本には、日本人拉致問題という個別の重要課題があります。しかし、残念ながら拉致問題でも2006年以来、圧力を段階的に強化してきたにもかかわらず、問題解決の見通しはたっていません。 この手詰まり感は、核・ミサイル問題でも同様です。「これまで解決しなかった方法をまだ押し通すのは賢くない」との<harukasworld>さんの指摘は、口には出しませんが米国や日本の当局者も抱いている情勢評価です。 ではどうしたら良いのか。<レッズ>さんは「平和を前提にした対話」を指摘しましたが、日朝間には2002年の首脳会談でまとめた「日朝平壌宣言」があります。この宣言に立ち返り対話を模索することを考えても良いかもしれません。それが「あまりにも影響力が少ない」と<ゆみ子>さんが指摘した日本の外交力を鍛え直す契機になるのではないでしょうか? <DiamondBar>さんは「水面下での対話ルート」の必要性を指摘しましたが、これは相手が出すメッセージを読み違えず、正確に“政治的翻訳”をするためにも不可欠でしょう。現在の北朝鮮が1941年の日本と重なるとの<レッズ>さんや<Jerryb>さんの指摘はごもっともです。北朝鮮には当時の日本のような領土拡張の野心はありませんが、退路を断たれた国の出方を考える上で重要な視点だと思います。 北朝鮮の目的は、米国との戦略的共存です。<blueberry53>さんが指摘するように、「アメリカとの平和協定を通じた在韓米軍の脅威の除去」と「朝鮮半島の統一の野望」の二段構えのアプローチとみられます。これを担保する為に、米国と仲良く手をつなぐような関係までは望んでおらず、最低限手を出させない盾の役割としての核兵器とその運搬手段である大陸間弾道ミサイル(ICBM)を獲得しようとしているのです。 その意味で韓国の取り組みが鍵の一つとなるのですが、昨年秋に表面化した朴槿恵前大統領(現在は被告)の政界スキャンダルで韓国の政治外交が機能不全に陥った後遺症は未だにくすぶっています。北朝鮮と対峙する当事者でありながら、緊迫の度を増す状況で影響力を喪失してしまった存在感の希薄さを、韓国メディアは「韓国PASSING」と自嘲気味に表現しています。 しかし、これは日本にも当てはまるのではないでしょうか。北朝鮮の弾道ミサイル発射や核実験に対し、「国際社会と協調して圧力を加える」と日本政府は毎回強調していますが、危機的局面を転換させるだけの外交力を発揮できないのが実情です。<こはく>さんが指摘するように「外交ができない日本よりは、残念ながらはるかに頼りになる」米国の対応を気にしながら動く、という受け身の姿勢から脱皮する時期を迎えていると思います。 明日9月9日(土)は北朝鮮の建国記念日です。この節目に北朝鮮は昨年、5回目の核実験を行いました。今年は日本列島越えのICBM試射もあり得るとして日米韓は警戒しています。日本列島越えといっても、日本を越える段階では、国際宇宙ステーションよりはるか上の宇宙空間で弾道の弧を描いている状態なので、迎撃できる高度にはないとみられます。日米韓は、衛星画像などをもとに詳細に分析していますが、あまり情報を出し過ぎると、自前の衛星を保有していない北朝鮮にデータを無料提供してしまうことにもなります。情報戦も同時に展開しているのです。 しかし、<mr-mama>さんが指摘するように「太平洋戦争では情報操作が行われ、市民の発言権が奪われ」た教訓を忘れず、この情報戦が、憲法改正へと政治利用されないよう注視することも重要でしょう。 日替わりのような情勢はまだまだ続きます。その中での1週間、お付き合い頂きありがとうございました。
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