働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
会議番号:3464 開催期間 2017年10月13日- 10月20日
議長の安藤です。「あなたの職場に、イクボスはいますか?」をテーマにした円卓会議もいよいよ最終日です。 働き方改革のブレーキになっている「残業代を稼ぐために長時間労働してしまう問題」を鑑み、「残業がなくても生活でき、時間内で仕事を終えるために会社や個人ができること」を前回投げかけましたところ、回答をいただきました。ありがとうございます。 投稿をみてみましょう。 実際に自社の働き方改革プロジェクト活動をされているsbayさんは、「どうして変わらないといけないのか=whyを、経営層、管理職、若手など、相手の立場に立って、共感できるポイントを探りながら発信し続ける」と。そうすると実践者が増え彼らが残業社員より成果を出し、評価が逆転するのでは?と言われます。 そうですね、ファザーリング・ジャパンのイクボス推進でも「whyつまり何故いまイクボスが必要なのか?」という情報発信を繰り返し行い、同時に実際にやって成果を出している上司のお手本、イクボスのロールモデルを可視化してきました。 レバレッジ効果が高かった事例としては、「社内でこれまで一番に残業時間が長かった管理職をターゲットにして意識と働き方を変えた」場合、周囲からは「あの仕事一筋だった〇〇部長が変わったのか?!しかも今の方がイキイキして輝いている。だったら自分もやってみようかな」と評価され、周囲の社員も変化していった例です。ぜひsbayさんの会社でもその作戦をやってみてください。 投げかけに対するそれ以外の取り組み案としては、 「組織として優先順位を明確に示し、皆が共有」(ぺりさん) 「残業代なしでの生活設計、「残業NO!」の雰囲気づくり」(なかじさん) などもありました。先ず意識改革こそが大事だということですね。しかしここが一番難しいと言う企業は多い。でもそのときこそがイクボスの出番なのです。 そうです。意識改革の働きかけと同時にやらねばならないのが「業務改善」です。前回は会議の運営について話しましたが、長文メールやccメールがやたら多いのも問題。イクボスはここにメスを入れます。 私もかつて企業の管理職だった頃に、やはり余りにもメール処理に時間がかかり過ぎていたのでチームでルールを決めました。 「メールの返事は3行で、書く時間は1分で」 「5行以上かかりそうなものはオンタイムに電話して済ます」 「10行以上かかりそうな面倒な案件は1週間以内に面談する」 です。これで劇的にメール処理時間が変わりました。 「報連相を減らす」(DiamondBarさん) これも大事。私の場合は「ホウレンソウより、シュンギク」でやっていました。シュンギクとは「瞬間的に訊く」。気になる案件があれば「報連相を待つ」より、先に部下に直接訊いた方が仕事は早く進むからです。これもぜひお試しあれ。 「収入を減らさず残業をなくす方法」として上がってきた案。評価システムの改善について投稿がありました。 「時間あたりの生産性を評価、給与に反映させるシステムを導入」(ナカサワさん) これ本当に大事です。短時間で成果を挙げた人が評価され給与が上がる。生産性向上の大原則ですね。営業など数字で評価が判明する部署は当然取り入れてほしい人事施策でしょう。ただ管理部門など成果が見えづらい仕事・部署については何をもって生産性を測るか。ここは以前から続く課題です。 行政サービスについての言及もありました。 「子育て・教育・介護、ローン各種の分野で、減額(残業代)相当分の行政や金融サービスが付与される仕組み」(真打ちさん) つまり、残業をしなかった人が税制面や金融面で優遇され、それによって生活コストがかからないから残業しなくても良い、という案ですね。確かにこれはカンフル剤になる気がします。現在、進んでいる企業では働き方改革によって減った残業代(浮いた人件費)をボーナスに加算したり、または予め基本給に上乗せしている企業があります。またその分を社員のセミナー参加コストに充てるなど、人材育成の資源として浮いた残業代を使う企業も現れています。そうすれば、社員の側も納得して効率の良い働き方を目指すのではないでしょうか。 そのほか家庭・男女の役割のあり方についてもありました。 「残業代がなくても生活ができるには、夫と妻の両方が働くことが前提。そのためには子育ても家事もしっかり分担する。また会社としては企業内託児所があると良い」 というご意見。これはいわゆる「女性活躍」にとっても重要な視点だし、妻にも稼得責任が生じることで、男性が一人で稼がなくてもよい状況が生まれ、残業代を稼ぐための残業が減ることでしょう。それに父親だったら期間限定の子育てを楽しめますね。母親だって子育てしながらやりたい仕事ができる。そんな理想的な社会になっていきます。 はい、今回の円卓会議はこれで終了です。YES NOの結果はご覧の通り、まだイクボスはそんなに多くないという結果でしたが、最初申し上げた通りこれは「伸びしろがある」と捉え、諦めずにイクボスを増やして行く方向でやっていきましょう。 でも今回の議論を俯瞰してみれば、「イクボスの必要性」は3年前よりは格段に伝わってきたかと感じました。あともう少しかと思います。ただしイクボスの登場を待つだけでなく、私たち一人一人が、より良い人生のために働き方と生き方を変えていく努力を日々行うことが大事です。そういう人が増えればイクボスは当たり前になり、最終的にイクボスという言葉自体がなくなっていくと私は考えます。この度はどうもありがとうございました!★安藤議長が登壇した「第15回 国際女性ビジネス会議」「Working Mothers & Working Fathers ~働くパパと一緒に社会を動かす」もお読みください!
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