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会議番号:3472 開催期間 2017年11月24日- 12月08日
たくさんの投票・投稿をいただき、ありがとうございます。 たろだいさんやkimirieさんが実際に行っているホルモン剤の使用は、更年期症状の原因に直接対処するために女性ホルモンを補う根本的な治療法です。女性ホルモンの補い方として、①飲み薬 ②貼り薬(パッチ)③塗り薬(ジェル)などがあります。私の外来では、簡便性から飲み薬を選択されている方が約半数と最も多いですが、それぞれのメリット・デメリットなどを考慮して、ご自分に一番適したものを医師と相談して決めると良いでしょう。貼り薬や塗り薬は、直接皮膚から吸収されますので、肝臓で代謝を受けにくく、胃腸の調子に左右されずに体内に吸収されるというメリットがあります。そのため、肥満症等があり血栓症のリスクが高い方などには貼り薬や塗り薬をお勧めします。皮膚が弱い方に貼り薬や、アルコールでかぶれやすい方に塗り薬はお勧めできません。 また、何らかの理由で子宮を摘出後の方は、卵胞ホルモン(エストロゲン)の補充だけで問題ありませんが、子宮がある方は、卵胞ホルモンは子宮内膜を増殖させるという好ましくない作用があるため、その増殖を抑える目的で黄体ホルモンを併用して使用します。 この卵胞ホルモンと黄体ホルモンを併用したホルモン補充療法のやり方には、①定期的に月経のような出血を起こす方法(間欠法)と、②月経のような出血を起こさない方法(持続法)があります。どちらの方法が適しているかは、医師とよく相談して、より出血コントロールをしやすい方法を選択されると良いと思います。持続法を選択しても、開始当初は不正出血が起こることはよくありますが、出血の量や期間などを主治医に伝え、ホルモン補充療法が原因となるものか、あるいは他の原因があるのか、確認すると安心です。 いのくちさんの症状のように頻回に起こる発汗、ホットフラッシュとも呼ばれますが、こうした症状やのぼせなどは、ホルモン補充療法で比較的早く軽減します。 ホルモン補充療法は、乳がんの治療中や既往、静脈血栓塞栓症・心筋梗塞・脳卒中の既往など使用禁忌の疾患がありますので、医師にご相談ください。ホルモン剤が使用できない場合は、対症療法として、漢方薬、抗うつ薬、睡眠薬などその症状に応じた薬を用います。 Kitazakuraさんは、エクオール産生菌と呼ばれる腸内細菌の有無を検査し、産生菌が少ない、あるいは持っていないので、サプリメント(エクオール含有食品)を摂取しているという対処法をご紹介いただきました。この点について少し説明をさせていただきます。 大豆イソフラボンに含まれるダイゼインが腸内細菌によって代謝されて生み出される成分であるエクオールが、エストロゲンに似た構造をしているため、エストロゲン受容体に結合しやすく、エストロゲン様の働きが期待できます。エクオールを生み出すためには、エクオール産生菌と呼ばれる腸内細菌が必要不可欠で、日本人ではエクオールをつくれる人の割合が約50%(中高年女性)、約20%(若年女性)といわれています。エクオール産生菌を持たない人では、大豆イソフラボンを摂取してもエクオールに代謝されることなく、女性ホルモン様の作用を期待することができません。そのため、kitazakuraさんは、サプリメント(エクオール含有食品)を摂取し、このエクオールを補うことで快適に過ごされているようです。 エクオールを役立てるには、1日あたり10mgの摂取が目安となることがわかっています。エクオール産生菌を持っているようであれば、豆腐2/3丁、納豆1パック、豆乳200gなどがエクオール10mgを作るのに必要な目安量です。Michaelさんは、納豆と高野豆腐をたくさん食べることでのぼせが劇的に減ったとの体験を投稿いただきましたが、おそらくエクオール産生菌をお持ちで、エクオールの作用で体調が改善したのではないかと推察されます。 エクオール産生菌がいるかいないかの確認は、尿検査で可能です。市販の検査キットで確認できますので、大豆製品を摂取した上で翌朝の尿を採取して提出してください。 ホルモンを補う方法以外の対処法としては、アロマの活用、ヨガ、鍼治療(marco302さん)や筋トレ(marco302さん、NOBUさん)などの方法を教えていただきました。これらの方法は、1日目にも示した更年期障害の成因の一つである「精神心理的因子」に対するアプローチで、症状を悪化させる条件を減らす効果が期待されます。にしひがしさんが言うように「バランスよく食事をとり、週末は遊び、楽しむことで、精神的なストレスを発散すること」やMichaelさんのように「お気軽能天気に」を心掛けることが重要であると思います。 また、更年期症状は個人差があるので、おがわさんやあきんぼさんのように「何の症状もないま経過」する方もいます。自覚症状は何もなくても、閉経後、女性ホルモンの助けがなくなると、骨密度の低下や脂質代謝異常など症状を感じにくい身体の内面での変化は生じてきますので、人間ドックや健康診断、骨粗しょう症検診など、閉経前以上に身体のチェックはしっかり行っていくこと、体を動かすこと(おがわさん)が大切です。 産後うつを経験されたりりあむさんは、更年期になったときの精神的な面での変化を心配されていますが、月経不順になり始めた頃に一度、婦人科医に相談されると良いと思います。ホルモンの急激な減少が原因となるものであれば、ホルモン補充療法などの方法もありますし、更年期症状も人それぞれ。今からあまり心配せずに、今回のみなさんの投稿もぜひ参考にしてみてください。 現在の投票では、更年期について学んでいる方は約60%。 更年期を上手く乗り切るには、「更年期における心身機能の変化の理解」や「対処法」を学んでおくことが大切です。最近は女性管理職に更年期世代が多くなってきていることや女性の健康管理を推進する立場から、企業でも女性向け健康セミナーを開催し、更年期に対する理解を深める対策をしているところもあります。更年期について学ぶ機会をどのように増やしていったらよいでしょうか。良いアイディアや取り組みなどがあれば、教えてください。 また更年期について学んでいない方は、3日目までの円卓会議で理解が深まったこと、あるいは、疑問、もっと知りたいことがありましたら、教えてください。 みなさんの投稿をお待ちしております。★鈴木美香議長の過去の円卓会議より・女性ホルモンについて、学んでいますか?・過去1年。乳がん検診受けましたか?・体調管理に漢方を使ったことがありますか?
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