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会議番号:3673 開催期間 2022年02月11日- 02月19日
プロ棋士には全員、特殊な能力が備わっています。それは「脳内将棋盤」というもので、目の前に将棋盤と駒がなくても、頭の中で同じように、いつでもどこでも、将棋について考えることが出来るのです(運転しているときは、非常に危ないので、絶対思い浮かべないようにしているそうです)。目の前にある将棋盤があるときと、ほとんど変わらないほど明瞭でクリアだというのですから、やはり、ものすごい能力です。 対局でよく目をつぶって考えているのを見かけますが、あれは「脳内将棋盤」を使って考えているのです。 この「脳内将棋盤」は、これだけで脳科学の論文が一本かけそうなくらい面白いテーマです。ある棋士はカラー映像で実際の駒と将棋盤、さらに周りに人もいたりするくらいリアルだそうです。別の棋士は白黒映像で駒も「王将」や「飛車」が「王」や「飛」(一文字駒といってテレビ中継などでよく使われます)と少し記号化が進んでいるケースですね。直前に見た盤と駒がそのままという棋士も多いようです。ちなみに羽生善治さんは、四分割した将棋盤の画像が、ものすごい勢いでカチャカチャと入れ替わるそうです。人によって千差万別、本当に興味深い研究になりそうです。 そこで藤井聡太さんですが…、お待たせしました、真打ちさん、unagiさん。 結論から言うと、彼にはこの「脳内将棋盤」がないというのです。 将棋の指し手を記録する際は、先手から見て右から何番目、奥から何番目ということで、それぞれのマス目に符号が振ってあって、そこに進む駒の名をつけて表現します。例えば「7六歩」「6五桂」と言った具合です。 藤井さんは思考の際、「脳内将棋盤」ではなくて、この符号が脳の中をものすごいスピードで飛び交う。だから映像としての「脳内将棋盤」はないというのです。 この話を聞いた他のプロ棋士は、こぞって信じられない、そもそも何を言っているのかさっぱりわからないと困惑します。将棋に関しては「天才の中の天才」という他のプロ棋士たちも、藤井さんについては、どうやら想像をはるかに超えているようです。幼い頃からの訓練の結果、将棋に関しては脳の中で、高度な抽象化、記号化が起こっているのでしょうか? 画像ではなくてテキストの方が軽くて、確かに計算速度も速くなるという理屈はなんとなく想像がつくのですが…コンピュータじゃなくて脳の話ですからね。数字と記号が飛び交う思考というのは、まったく理解できない世界の話です。 だから、藤井さんはガンダムで言うところの「ニュータイプ」(科学の進歩などに合わせて、人間が新たな能力を獲得した、超能力者みたいなもんです)ではないかと、私は本気で疑っています。 もし、とてつもないスピードの思考と読みが、この抽象化、記号化によって支えられているのだとしたら、明らかに一人だけ別のステージに到達しています。そう考えると、彼だけが突出して強いのも理解できます。他の棋士が束になってもかなわない、そんな状況しばらく続くのかもしれません。 もう一つ、藤井さんの強さを語る上で避けられないのが、AIによる研究です。 ご存じの通り、いまから5年前に、プロ棋士vsAIというイベントには終止符が打たれました。もうどれだけ頑張っても、人間がAIに勝つことはないという結論が出てしまったからです。 blueberry53さん、すみません、将棋という特定の分野では、もう人間がAIに追いつくことは…残念ながら、なさそうです。実は将棋界でも、この事実をうまく受け止められない人が大勢いました。 人間にしか出来ないと思われていた「思考」は「計算」とはやはり違うようです。人類が生み出した中でもかなり高度なゲームの一つ「将棋」という分野で、機械の足下にも及ばない。私も当時、なんとも形容しがたい、もの悲しい気持ちになったことを覚えています。 Shoshoさんの「他の分野でも、同様のことが言える」というご指摘、本当に鋭いです。まったく同感です。 すでに経済や投資の分野では、AIは幅広く導入されていて、いまこの瞬間も、激しく売り買いをしていることでしょう。十数年後には、自動運転の車が、そこいら中を走り回っているかもしれません。 kame212さんはAI関連のお仕事とのことですから、ぜひそういった観点からもぜひ、さらにご投稿ください。例えば政治。政策決定にAIが導入され、それを政治家という人間がどう使っていくのか? SFの世界と思うかもしれませんが、そういった時代は、すぐそこまで来ています。 AIの困ったところは、決定の過程はブラックボックスということです。そんな暗中模索の中で、その優れた能力をどう生かすのか。 そこで、藤井さんは、どのようにしてAIを使いこなし、実力向上に役立てているのかということが気になります。 AIは、なぜその手が良いと結論づけたのかを、教えてくれません。結果と形勢判断の数字が示されるだけです。だから一緒になって考え、その過程を感じ取り、少なくとも現時点でこの世で最も強いAIの思考方法を理解しようと膨大な時間を研究に充てています。使いこなすには、この方法論しかないのかもしれません。 (余談ですが、彼の符号による思考は、AIと共通しているのかもしれません…) 将棋界は今、AIと人間の共存というテーマの壮大な実験場になっています。 将棋で起きている革命は、今後すべての分野において起きていきます。 だから、藤井さんや他の棋士たちとAIの関係から目が離せません。 そこで、最後の投げかけです。今、様々な分野に導入されているAIについて、あなたはどのような未来を描いていますか? 「藤井聡太さん、活躍。将棋への関心は高まりましたか?」へのYES、NOとあわせて、AIと人間の共存について考えていること、心配なことなどをお寄せください。 これまでも、AIに関連する投稿はすでにいくつかいただきましたが、ぜひ、そういった観点から、あらためて投稿をお待ちしています。
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