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会議番号:3673 開催期間 2022年02月11日- 02月19日
「2045年にはシンギュラリティが起こる」 アメリカの未来学者レイ・カーツワイルが、2005年の著作で指摘しました。 シンギュラリティとは「特異点」、すなわち人類の知性を超越する人工知能が誕生することを指しています。それ以後の人類は、それまでとはまるで違った世界に突入する変換点になるという意味です。 関連本も多く出版され、「2045年問題」として大きな注目を集めたことは、皆さんもご存じの通りです。blueberry53さんが「映画の世界ではAIと戦っている」とご指摘の通り、(ターミネーターがいい例ですかね)シンギュラリティ以降、人間がAIに支配される時代が来るのでは心配する声が、著名な物理学者などからも上がりました。 1980年代のファミコン用ソフトのよちよち歩きの時代から、2017年に時の名人を圧倒的な力で凌駕するまで、将棋AIの30年の歴史を、同じ時代を生きる目撃者として興味深く眺めてきました。(それを語り始めると、とてもスペースが足りないので、やめておきます(笑)) 実はそれ以降の5年足らずの間にも、ディープラーニング(深層学習)などの手法でさらなる改良が加えられ、今、この瞬間も加速度的に強くなり続けているのです。最も強かったソフトに対して、数年後には9割以上の勝率を誇るといった具合に、人間を打ち負かしてからも、その進化にまったく歯止めがかかりません。 そう考えると、カーツワイルの言うことも一理あるのかなぁ~と感じたりもします。 一方でシンギュラリティなんて絶対に起きない、「ノストラダムスの予言」と同じだと断言する専門家も多くいます。 「人間に勝つ将棋ソフトを作ってみない?なんか面白そうだし」とAIが思いつくのだろうか。AIを強化して成長させる手法を、AI自身が編み出していく…。 そこは、あたかも意識や感情、そして人格までもが備わっているように見えるAIがいる世界です。(いわゆる汎用型の人工知能) しかしそのハードルは限りなく高く、否定的な方々がおっしゃる通り、とてもじゃないけど簡単に実現できるもんじゃないよなぁ~とも感じます。 あくまでも「将棋」という特定のゲームの勝ち負けで人類を超えるのは、人間よりも早く計算が出来るというコンピュータの特性の延長線に過ぎないと。 そういう意味では、Jerrybさんがおっしゃる通り、まだまだ「ツールとして人間と共存していく」ということなのでしょう。 「将棋が強い」ってどういう意味だろう… AIが人間を超えてしまったときから、新たに突きつけられた命題です。 人類最強の最有力候補は、間違いなく藤井聡太さんでしょう。 一方で、「世界コンピュータ将棋選手権」というAI同士で強さを競う大会も存在しています。ここでの戦いは、人間同士の指す将棋のレベルを、もう圧倒的に超えてしまいました。強いAI同士の戦いを眺めていると、圧倒的な力強さに暴力性すら感じます。人間が感じる美的センスからはほど遠い泥仕合、そこにはグロテスクなものすら漂います。 朝顔 咲さんがご指摘の通り、まさしく「人間の拘り、矜持、美学は永遠に」という気持ちになります。 人間がAIより弱いからといって、藤井聡太さんが活躍する価値が減ったと感じる人は誰もいませんよね。 将棋界の顔ともいえる時の名人が、AIに完膚なきまでに叩きのめされたときに、他のプロ棋士たちは、どう思ったでしょう? 将棋を職業とすること自体がAIに脅かされている、少なからずそう感じた棋士も多かったはずです。パフィンドーナッツさんがおっしゃる通り、「多くの仕事が取って代わられる」のも、AIのもう一つの真実です。 確かに、レッスンプロとして将棋を指しながら教えるという仕事の何割かは、AIに取って代わられるかもしれません。暇なときに、いつでも相手をしてくれるのですから。 トーナメントプロとして食べていける棋士の数には限りがありますし、他の職業と兼ねるセミプロのような形が増えるのかもしれません。AIの登場で、将棋界そのものが、変容を迫られる可能性は十分あります。 藤井聡太さんのような存在が、何年かに一人生み出されて、そのきらめく才能が世間の耳目を集めるためには、やはり将棋界が魅力的で、たくさんの才能が集い、切磋琢磨する必要があります。才能は磨かれて、初めて光り輝くのです。そして裾野が広ければ広いだけ、山は高くなります。 いま将棋は、「人間とAIの共存というテーマの壮大な実験場」です。 地球交響曲さんがおっしゃる通り、藤井聡太五冠にもAIや脳科学の研究に参加して、ぜひ未来につなげてほしいと思いますし、yukodeluxeさんがご指摘の「AIが人間の能力を開花させる」という一番の好例になっています。将棋界がAIと共に生きるモデルを他の分野に先駆けて、いち早く見せてくれる。藤井さんの登場で、将棋というゲームがこれまでとは違う輝きを放っています。 それだけに、ますます将棋から、そして藤井さんから目が離せません。 多くのご投稿、本当にありがとうございました、全部のご意見を紹介出来なかったことを、この場を借りてお詫びいたします。 藤井聡太さんと将棋ブームで始まった議論は、「脳内将棋盤」を通って、人工知能=AI時代の社会というテーマにまで広げてしまいました。 でも単純に、藤井聡太のすごい将棋を、活躍をもっと見たい、そんな自分もいます(笑)。
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