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会議番号:3682 開催期間 2022年05月13日- 05月20日
国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ(本部ニューヨーク)の日本代表、土井香苗です。 ロシアによるウクライナ侵攻が始まったのが2022年2月24日。これに対し、岸田文雄首相は約1週間後の3月2日、ウクライナから逃れた人々の受け入れを表明しました。その後、2か月超で900人近い方々が、日本に逃れてきているといわれています(5月8日時点)。 日本がこれまで、難民受け入れに極めて厳しい政策をとっており、「難民鎖国」と揶揄されることさえあることに照らせば、画期的といえると思います。 そこで、これを機会に問いかけます。日本の難民受け入れ。広げて欲しいですか? ここで難民をとりまく世界の状況、そして日本の状況を簡単におさらいしたいと思います。 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の統計によれば2019年時点で、紛争、迫害、暴力などにより故郷を追われた人の数は、約8000万人。全人類の約1%に当たります。残念ながら、この数十年間で増加傾向にあります。 それでは、約8000万人のうち、日本に避難している人はどのくらいでしょうか?UNHCRによると約0.04%ということです。日本は世界のGDPの5.7%(2021年)をしめる世界第三の経済大国ですが、経済力と比べると単純計算で国力の150分の1しか受け入れていないことになります。 さらにはそのなかで、政府が難民として認定した人の数では、世界の約0.01%(全世界で認定された難民約45万人、日本政府が認定した難民は44人)にすぎません。日本が難民鎖国と揶揄される所以です。 法務省が毎年、受け入れた難民等の統計を発表しています。政府が認定した難民に加えて、より広い意味で人助けとして受け入れた人の数を足し上げても、2019年合計123人、2020年合計107人ととても少ないことがわかります。 2021年現在、日本にいる外国人の数は約280万人とのことですから、日本政府が人助けとして人道的に受け入れた人の数が在留外国人の中でも極端に少ないことがわかります。 一方で、難民などを日本より寛大に受け入れてきた歴史を持つ欧州各国などで、難民反対を掲げる右派政党が議席を伸ばすなどの現象が起きていることも事実です。16年にわたる長期政権を維持したドイツのメルケル首相が2018年に引退表明に追い込まれるきっかけとなったのも、シリア内戦による難民危機で100万人以上の難民受け入れを決めたメルケル首相に対する反難民の世論だったといわれています。 「鎖国」とまでいわれてきた日本ですが、今後どうすれば良いのか? 紛争、迫害、暴力などから故郷を追われた人たち(=難民※)の受け入れを広げるのが良いでしょうか? 広げて欲しいと思う方はYES、現状維持あるいは狭めて欲しいと思う方はNOに投票し、そう考える理由を教えてください。広げて欲しいと思う方は、どのくらい広げて欲しいかについてお考えがあれば、そこもあわせて教えてください。 ※「難民」の用語について 日本政府は、入管法上の「難民」の解釈に従って、戦災から逃れてきたウクライナから逃れてきた人びとは入管法上の「難民」の定義に該当しない可能性があるとして避難民という言葉を使っています。しかし、今回の論稿では、より一般的な意味合いとしての「難民」、そして、UNHCRの示すより広い「難民」の定義に従って「難民」の用語を使っていきます。 UNHCRによると、「今日、『難民』とは、政治的な迫害のほか、武力紛争や人権侵害などを逃れるために、国境を越えて他国に庇護を求めた人々を指すようになっています」としています。 *イー・ウーマン編集担当より 投稿のルール「I statement」(「〜べき」は使わないなど)を守り、「国民は」「普通は」などではなく、「私」を主語として、自分の考えを投稿してください。 掲載する投稿には、編集にて「私は」を入れさせていただく場合もありますのでご了承ください。
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