イー・ウーマン（ewoman）

数を受け入ることの意味（DiamondBar・東京都・53）

3年前に「ヒューマンフロー」という難民キャンプを取材したドキュメンタリー映画を見ました。世界中の難民キャンプを取材して映したものです。結局難民を受け入れているヨーロッパの国々も、そのエリアは鉄条網に囲まれ外国のような扱いにして、自由に出入りできないようにしています。祖国が帰れる状況になるまでの避難所という感じでした。劣悪な環境に悲しくなりましたが、それでも命を救うという意味では何千人、何万人という人を受け入れる意味はあるんだと思います。

現実には対応を迫られるのでは（blueberry53・大阪府・65）

台湾有事の議論が、最近、よく聞かれますが、もし、実際に発生した場合は、難民は、万単位で日本に来るのではないでしょうか。その時のことを真剣に考えるならば、受け入れ枠の話より、受け入れ態勢の話をする方が有意義ではないかと思います。私は、ウクライナなど遠方では難民受け入れの議論に紛争近隣国の難民受け入れに対する支援を含める方が良いとは思っていますが、現実は、それ以上に差し迫っているとも思います。

変わるきっかけに（おがわ・東京都・59）

困難に面している人を助けるのは、国際社会の一員として当然のことだと思うので、Yesとしました。ただ、皆さんもおっしゃっているように、現在、国の仕組みも世間の心理も整っておらず、受け入れ人数を劇的に増やすのはなかなか難しいと思います。そのような中、今回ウクライナ避難民の方々の受け入れにスピードが必要とされ、社会でも注目をされていることをきっかけに、体制、世論が変わっていくことを期待します。

受け入れにはコンセンサスが必要（シンゴパパ・静岡県・55）

受け入れには賛成ですが、コンセンサスが必要という意味でYESを選択しました。困った人を助けるのは当然だし、 日本の国力からすれば、受け入れを増やすことは可能だと考えます。ただし、国内でもワーキングプアや子どもの貧困が15％を上回るような状況で、受け入れには課題も伴いますので、受け入れる限りは、決して差別や中傷の対象にしないこと、影響含めて受け入れることが必要だと考えます。

困っている時には助け合い（えこりん・神奈川県・46）

困っている人を助けない民族は、自分たちが困った時も助けてもらえないことを意味すると、私は思います。日本だけは未来永劫平和だと言い切れないのに・・・。私は、日本人は日本人しか受け入れない体質があるように感じます。以前日本語ボランティアをしていましたが、10年以上日本で暮らす外国籍の方が、日本人の友人を作るのは諦めたと話していて、とても悲しかったです。同じ人間同志、心を広く持ちたいと思っています。

潜む課題の具現化（真打ち・栃木県・52）

日本は、労働力としての外国人受入れで経済が支えられて来た側面がある。こうした経緯と人道的支援は、私は根幹では繋がっていると考えるが、実態としては法整備と環境整備のバランスが要で、日本での暮らしが新たなストレスを生む懸念も大きい。特に、言語や文化の違いによるストレスは、法整備だけで埋まらぬ課題も多く、日本人の理解や協力で初めて成立すると考える。長期化を想定した就労ビザ取得への進展も、背景に潜む課題を同時進行で考える必要があると、私は思う。

選択肢はあったほうがいい（Ｔｏｈｋｏ・東京都・52）

受け入れを積極的に広げたいかは正直微妙に感じます。日本は島国だったり、ほとんど日本語での文化なので、難民の側としても日本に来たいかという疑問もあるからです。ただ、現在の日本の制度は受け入れに厳しすぎると思うので、もっと受け入れられるようにして、選択肢を持たせることが重要と感じます。

国民の準備ができていない（パフィンドーナッツ・埼玉県・53）

移民と難民の違いはありますが、いずれの場合も現在の日本では受け入れ体制が出来ていないこともあり、現状維持でよいと思っています。国際社会における責任という話も出てきますが、別の方法で貢献できるのではないでしょうか。

日本の難民受け入れ。広げて欲しいですか？という質問に対し、たくさんの投稿をいただき、ありがとうございました。YESの方もNOの方も多くが、外国人を受け入れる体制の整備の必要性について言及されており、とても有意義な議論だと思いました。たとえば、YESの方で「受け入れ枠の話より、受け入れ態勢の話をする方が有意義では」（blueberry53さん）、NOの方で「移民と難民、いずれの場合も受け入れ体制が出来ていない」（パフィンドーナッツさん）などのご意見をいただきました。
 
外国人労働者（＝移民）受け入れについては、受け入れ体制の整備がほとんどない現状のまま、多数を受け入れる政策に舵が切られ、すでに280万人の外国人が日本に在留しています。多くのみなさんが指摘されるとおり、体制の整備（＝日本社会も変わること）が急務です。今からでも遅くないので、この場で行われているような議論を経て具体的な体制の整備が必要だと思います。
 
YESの方々も、受け入れ人数については意見が様々でした。「何千人、何万人という人を受け入れる意味はある」（DiamondBarさん）「台湾有事なら、万単位で日本に来る。」（blueberry53さん）「受け入れ人数を劇的に増やすのはなかなか難しい」（おがわさん）などです。
 
私自身の考えはというと、移民たちの中でも難民は、紛争、迫害、暴力などから故郷を追われた特別な人たちですから、人道上、門戸を閉ざすものではないと思います。そもそも、日本国内で難民認定申請した難民を認めることは日本政府の法的義務となっています。避難国にいる難民を日本に移動させて保護する「第三国定住」については、日本政府の法的義務ではなく裁量ではありますが、年間60人を上限とするという現在の制度は、全世界で8000万人も難民・避難民になっており、うち約10万人を世界各国が第三国定住の形で迎え入れているなかで、世界第三位の経済大国としてあまりに少なく、国際的な人道的責任を適正に分担しているとはいえないと思います。段階的に、日本の国力にみあった受け入れの規模・質を目指してほしいと思います。もちろん受け入れ体制整備も急務です。
 
また、今回の議論は、ウクライナから逃れた人々を２か月超で900人近く受け入れたことが、日本の過去に照らせば画期的だということから始まりました。難民受け入れに対して厳しい政策をとってきた日本の中で例外的な存在のウクライナの人びと。しかし実はそんなウクライナの人びとに対してさえ、戦争から逃れた人は「難民」に該当するとは限らないとして、日本政府は入管法上の「難民」として扱わず、法律上とくに定義のない「避難民」と呼んでいるという現実もあります。
 
そこで、最後の質問です。今回の議論では、YES、NO、どちらの方も、受け入れ体制を課題とする声が多く届いています。そこで、より多くの難民を日本に受け入れるために、どんな体制・制度が必要だと思いますか？　
そして、戦争から逃れてきた人々（ウクライナの人びと含む）も「難民」として法的に保護するのが良いか、それとも今の日本政府のように「難民」には該当しないと思いますか？
「日本の難民受け入れ。広げて欲しいですか？」という問いにYes, Noでお答えの上で、ご意見をお寄せください。
 

  ＊イー・ウーマン編集担当より
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• 2022.05.18
• 土井香苗 国際人権NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」（HRW）日本代表、ニューヨーク州弁護士