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会議番号:3682 開催期間 2022年05月13日- 05月20日
みなさんからたくさんの投稿をいただき、本当にどうもありがとうございました。 「さまざまな多様性を抱えたまま大きくなれる柔軟性を養う」(Mioさん)などと、難民受け入れがもたらす前向きな側面のご指摘もいただきました。これは、難民だけでなく外国人/移民受け入れ全体に当てはまる側面のようにも思えました。 また一方、YESのご意見の方からもNOのご意見の方からも、日本社会に受け入れ基盤ができていないという不安の声が聞かれました。例えばYESの方からは、「日本社会の側の度量を想像しますと、手放しで賛成とも正直言えません」(costasさん)。NOの方も「受け入れる基盤ができていなさ過ぎ」(DiamondBarさん)など。こちらも難民だけでなく外国人/移民受け入れ全体に当てはまる議論のように思えました。 つまり、日本社会には外国人/移民受け入れの基盤ができていないという現状認識が多くのみなさんにあるようです。そのうえで、難民(=紛争、迫害、暴力などから故郷を追われた人たち)を助けるという人助けについて、YES(広げる)というご意見と、基盤がない中では現状維持あるいは狭める(NO)というご意見に分かれたところが興味深いと思いました。 ここですこし議論を整理したいと思います。今回は、外国人/移民全体の受け入れの議論ではなく、その一部ではあるものの「紛争、迫害、暴力などから故郷を追われた難民」に限った議論をしていきたいと思います。国連は、「『難民』と『移民』という言葉は一般的に、同義で用いられることが多くなっていますが、この2つには重大な違いがあります」と指摘します。 移民と難民はどう違うのでしょうか? 移民は、外国に移り住んだ人(=定住地を変えた人)全般を指します。その理由は問いません。3か月以上にわたる移住を短期的移住、1年以上にわたる場合に長期的移住等とよぶことがあります。 一方、移民のなかでも、難民は、自らの希望・自発性ではなく、紛争や迫害などによって、故郷からの移動を「強いられる」人びとです。それだからこそ、難民受け入れは、人道的受け入れであり、国際的責任とされています。 それでは、日本は、難民保護の国際的責任を果たしているといえるのでしょうか? 入管庁より3日前、2021年の難民認定数等が発表されました。難民認定者数は74人で、近年と比べ認定数は増えたものの、認定数及び認定率(0.7%)ともに、諸外国と比べ非常に低い状況が続いています。難民認定をしなかったもののそのほかの枠組みで受け入れられた人を全部足し合わせても674人。この数も近年と比べれば増えているのですが、世界に約8000万人の難民がいることを考えると、あまりに少ないといわざるをえません。 ウクライナ難民にせよ、シリア難民にせよ、難民になる10年前から「自分は難民になるだろう」と予測していた人はほぼいないのではないでしょうか。戦争や混乱などは、いつだれに起こるかわかりません。日本の人びとが戦争に苦しんでいたのは約80年前。日本に住む私たちも未来永劫平和の中に暮らせるという保証はありません。 そうした現実を前にして、第二次大戦後の難民問題、特に難民の基本的人権保障に対する意識の高まりを受けて、難民問題の解決のためには、国際的な協調と団結が非常に大切であるとして1951年に採択されたのが、難民の保護(難民受入れ)を定めた「難民条約」で、日本も加盟しています。 日本では、少子高齢化にともなう人手不足を背景に、外国人労働者の受け入れを拡大する方針をとっており、2021年現在、日本にいる外国人の数は約280万人で、コロナ禍にもかかわらず過去最高水準をほぼ保っています。日本社会の人手不足の解消のために多くの外国人/移民を受け入れているのに、人道的受け入れは674人… これでいいのでしょうか? 以上の通り移民と難民の違いを踏まえたうえで、ウクライナ難民のように、戦争などで故郷を離れることを強いられた難民の受け入れを広げるのが良いでしょうか? YESでもNOでも、社会を変えることとセットであると考える場合には、どう変えるということもあわせて教えてください。 また、受け入れ数について、最新の数(世界の難民8000万人、日本の難民認定等674人)を踏まえて、日本の難民受け入れは何人くらいにしてほしいかについてお考えがあれば、そこもあわせて教えてください。 *イー・ウーマン編集担当より 投稿のルール「I statement」(「〜べき」は使わないなど)を守り、「国民は」「普通は」などではなく、「私」を主語として、自分の考えを投稿してください。 掲載する投稿には、編集にて「私は」を入れさせていただく場合もありますのでご了承ください。
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