働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
会議番号:3682 開催期間 2022年05月13日- 05月20日
最後の質問「どんな体制・制度が必要?」「ウクライナからの避難者も難民として法的に保護するのがよい?」という問いかけについても多くの投稿をいただき、本当にありがとうございました。それぞれに、うんうんとうなずいてしまいました。そして、こうした議論がしっかり行われてこなかった日本(特に国会や官庁)に、焦りを感じるばかりです。 さて、YESの投稿の中には「例えば政府予算のODAの一部を難民受入れの予算に」(レッズさん)「見切り発車でも「同じ人として助ける」という覚悟があれば課題は解決していける」(えこりんさん)など。NOの投稿では、「政府には国際世論に飲みこまれる形でなく、しっかりとした議論をしていってほしい」(2kishir0さん)など。 「ウクライナの避難者も(法的保護のない避難民ではなく)難民として法的に保護するのがよい?」という問いに対しては、たとえば、YESの投稿の中には「私には日本の態度が、お金になるインバウンドと技能実習生は受入れ、お金にならない難民は受入れない、というように見えます。人道上の観点から、私は難民受入れを希望します。」(レッズさん)などのご意見をいただきました。鋭いご指摘です。 私の考えはといいますと、レッズさんと同様、日本政府は、ウクライナから逃れてきた人々を、難民保護の枠外として扱い「避難民」とよぶ姿勢を改め、「難民」として法的に保護してほしいと思います。 どのように?という点からいうと、戦争・紛争等で故郷を逃れた人も難民であると明確化する法改正が最も望ましいのではと思っています。 yn58さんもおっしゃっているように、先月、複数のメディアが、日本政府が、ウクライナから逃れた人びとを保護するために「準難民」という枠組みを新設するため、2021年の通常国会で廃案になった入管法改正案を、夏の参院選後の臨時国会に再提出する検討に入った、と報じています。また、「準難民」の部分のみ切り離して提出する案も出ているとも報じられています。 まず、2021年入管法改正案には多くの人権上の問題があります。また、「補完的保護対象者」の範囲は限定的で、ウクライナ避難民は該当せず、戦争や紛争からの避難民は救済されないと指摘されています。 そこで、戦争・紛争から逃れてきた人々を保護することをしっかり明確化し、より広い範囲の人びとを保護する法律改正・導入が必要だと思います。そうした他国の例では、アフリカ統一機構(OAU)(1969年)、ラテンアメリカ諸国のカタルヘナ宣言(1984年)、EU(2004)などが参考になります。 また、「どんな体制・制度が必要?」という質問に対しても、YESの投稿「入管行政を透明化・正常化し、①出身地域・言語ごとに既存のコミュニティがあれば橋渡しなど」(costasさん)など、たくさんの建設的ご意見をいただきました。難民を含む外国人受け入れには、実に様々な施策が必要だと思います。そして、外国人労働者についてはすでに多くの受け入れを始めている日本ですから、体制作りはまったなしだと思います。 必要な多くの施策の中でも私が強調したい施策の一つが、イー・ウーマンでの2年前の議論「人種差別を実感したこと、ありますか?」でも提案した人種差別禁止法の導入です。 外国人だから、肌の色が違うから、などの理由で差別されるという経験は、人を深く傷つけます。人種、民族、宗教、国籍などが異なるより多くの人たちと一緒に社会を生きる未来に向けて、「人種差別禁止法」は最低限必要な重要施策だと思います。しかもお金もほとんどかからない施策ですから、すぐに始められます。 1週間、ありがとうございました。戦争が終わる兆しはなくウクライナから逃れてくる人々が引き続き増えると見込まれますし、秋には「準難民」制度導入に向けた国会議論も始まると報道されています。よりよい難民保護に向けて、みなさんも関心を持ち続けてくださればうれしいです。
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