働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
会議番号:3703 開催期間 2023年01月13日- 01月20日
「底辺からの賃上げ」を果たすにはどうすればいいか? 投稿には賃金を抑え込むさまざまな「足枷(あしかせ)」が指摘されています。ゆりえってぃさんは「原燃料費や人件費といったコスト上昇分を取引価格に反映できていない」ことを問題にしました。公取が指摘した「取引先による優越的地位の濫用」。立場の弱い企業の、さらに立場の弱い従業員に皺寄せが及ぶ力関係が賃上げを阻む、という仕組みです。 nekosaurusさんは「国民皆保険」を挙げました。だれもが安心して医療を受けられる長寿国日本の支が、制度を維持するため診療報酬を抑え「医師以外は、概ね低賃金」という現実を生む。「忠実に誠意をもってやればやるほど、賃金は労働に見合わなくなる」と指摘しました。「いっそ皆保険制度を止めて」は暴論に思う人もいるでしょう。ことの本質を考えるには全てをゼロから見直す態度は大事です。 blueberry53さんの「食べ物さえあれば何とか」は、賃上げのさらに奥にある「食料安全保障」に目を向けています。政治に必要なのはこうした長期的視点です。 「自己資本からの転嫁を」(やっちゃん24さん)「内部留保を賃金に」(いぬいるかさん)は、企業に溜まっている利潤を分配に充てる現実的な提案です。 どの方策も政治のリーダーシップが欠かせません。「物価上昇を上回る賃上げを」と首相が繰り返し主張するのは大事で、渋かった経済界も「賃上げは企業の責務」と言うようになりました。労働組合の連合は「5%の賃上げ」を掲げています。 しかし「5%目標では低すぎる」と私は思います。日銀は2022年度の物価上昇を3%と見ています。ですから「5%賃上げならオッケー」というわけでしょうが、物価上昇は「3%程度」と思いますか? 12月の消費者物価は4%上昇です。これから電気やガス代も上がり、物価を押し上げるでしょう。食品などは一斉値上げで、体感物価は5%をはるかに超えています。しかも「5%賃上げ」には「定期昇給」(平均で1.5%程度)が含まれています。定昇は「物価上昇の埋め合わせ」ではありません。しかも、これまでずっと賃金は低く抑え込まれ、日本は先進国で「賃金が安い国」になっている。 「5%満額回答」でも、物価を上回る賃上げか疑わしい。目標が5%なら妥結水準は更に低くなりがちです。海外で稼ぐ大企業がこの数字では、中小企業はどうなのか。連合の掲げる「5%」は明らかに控えめの数字です。 首相・経団連会長・連合会長らの「顔が立つ賃上げ」で終わってしまうことがないよう見守っていきたいと思います。 目先の「賃上げ率」は、大事ですが、もっと大事なのは、非正規と正規の差別をなくすこと、「同一労働同一賃金」を実現することではないでしょうか。儲かっている企業だろうと赤字企業だろうと、同じ労働なら同額の賃金が支払われる仕組みがあってこそ従業員の暮らしは保証されます。そのためには、企業ごとに賃金交渉をするのではなく、会社の枠を超えて、横断的に連携することが必要です。いぬいるかさんが指摘した「労働時間の短縮」も課題です。いますぐにできないことでも、目指す方向を常に意識することが未来につながります。 この1週間、みなさんといっしょに「賃上げ」を考えてみました。競争社会で暮らす私たちにとって給料は大きな関心事ですが、不公平が潜む厄介な問題でもあります。賃上げ交渉はこれから本番を迎えますが、社会を考える生きた素材として見ると、また興味深いものになるでしょう。今回、お付き合いいただき、さまざまな気づきをいただきました。ありがとうございます。★山田議長の過去の円卓会議より・経済制裁は、平和的手段だと思いますか?・政治の「奢り歪み」は過去のこと?・ファミリーヒストリーと戦争。家族で話したことありますか?
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