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会議番号:3764 開催期間 2024年11月08日- 12月20日
「日本は独立国とは思えない」という言葉を石破茂さんから聞いたことがあります。勉強会の講師にお招きし、戦後の日米関係に話が及んだ時でした。言い過ぎたと思ったのでしょうか「こういうことを言うから私はアメリカに嫌われるのかな」と笑って話題をかえました。首相になるとは思われていなかった6月のことです。 「日米同盟を不公平なままではなく、独立国同士のあるべき姿の同盟に正すこと」(えこりんさん)は石破さんも同感だと思います。総裁選で掲げた「日米地位協定の改正」には、「対等」への思いが滲んでいます。今は「日米同盟重視」を盛んに強調していますが、本音を口にするのは、得策ではないからでしょう。 「外交は譲歩しながら、双方で落ち着きどころを模索する誠実さが求められる」と真打ちさんは指摘します。トランプがこうした姿勢を取ってくれればいいのですが、当選後の閣僚人事を見ると、「力による平和」を主張する顔ぶれが目立ちます。国務長官になるマルコ・ルビオ氏、大統領の安全保障担当補佐官に決まったマイケル・ウォルツ氏などは反中強硬派です。 日本は今やアメリカにとって対中国の最前線。政権に入ったイーロン・マスク氏は「政府経費3兆ドル削減」を叫んでいます。軍事費を抑制しつつ中国を牽制するなら、日本に負担増が回ってくることは容易に想像できます。米国製兵器を爆買いし、軍事予算倍増を約束した日本が、さらに防衛予算を上積みすることは国益に適っているのか。交渉の成り行きによっては「ジャパン・ファーストを」(n.danさん)という声が噴き出すでしょう。 バイデン・岸田会談では、大統領が首相の肩を抱き、満面の笑顔で「同盟はかつてない高みに」などと喜びあいました。その裏でバイデンは「私がフミオを説得して防衛費増額を約束させた」と有権者に明かしています。アメリカといい関係を作ったのは首相岸田にとって「成果」でしょうが、「ジャパン・ファースト」だったかは、甚だ疑問です。 日米の力関係はアメリカが圧倒的に有利です。安全保障で日本の後ろ盾になっているだけでなく、日本に人脈や情報網を張り巡らせています。米国と関係が悪くなると政権は短命に終わる、などと言われるほど影響力を持っています。野党と対峙し、自民党内でライバルと競い合う首相にとって、アメリカと安定した関係は、政権維持に欠かせない条件です。 与党は過半数割れ、党内に基盤がない石破首相が、アメリカを相手にタフな姿勢をどこまで貫けるか。本音は「自立志向」でも、足元が弱ければ対等に渡り合うことはむずかしいでしょう。 唯一の可能性は、相手がトランプということです。「自国第一」を隠さず、理不尽な圧力が見えやすい。日米関係の現実が、分かりやすく人々にさらされるのではないでしょうか。 「望ましい日米関係は、異なる立場・国益であっても、対話し、すり合わせし、落しどころを整合できる関係です」とシンゴパパさんは言います。こうした関係になるには、外圧に対し与野党を問わず、真っ当な「ジャパン・ファースト」で結束できるか、勝負どころはここにあります。 真の友好は「互いにリスペクトできる対等な関係」から生まれる。「都合いい相手」と見下ろしたり、上目使いの「へつらう関係」から信頼はうまれない。トランプの登場は、かつて日本が仰ぎ見たアメリカが変質した現れであり、新しい日米関係へと変わる起点になるかもしれません。 この1週間「トランプ大統領の再登場は、日米関係を好転させると思いますか?」への投票や、ご意見、ありがとうございました。世界は、戦争や難民、貧困拡大など問題だらけです。私たちはどう関わってゆけばいいのか。そうしたことを考えるにもアメリカとの関係は大事です。「独立」に疑問符を投げかける首相は、トランプとどう向き合うのか。目が離せません。★山田議長の過去の円卓会議より・政治倫理審査会、成果が出ると思いますか?・政治の「奢り歪み」は過去のこと?・米大統領選。「トランプ再選」、あると思いますか?(2020年2月実施)
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