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会議番号:3207 開催期間 2012年12月07日- 12月14日
皆さん、こんにちは。田村大輔です。 現在、小児医療から離れ、公衆衛生の立場からインフルエンザ治療のガイドラインや、ウイルスの薬剤耐性変異の同定、そして新薬の開発を行っております。 日本ではノロウィルスが流行しているようですが、そちらの説明もしながら、今回はインフルエンザワクチン接種について議論していきたいと思います。 今年、すでにワクチン接種を行った方や、ワクチン接種を迷っている方がいらっしゃると思います。今回の議論では、主観的な意見は控えてなるべく世界的に認められている論文を議論の情報源としていきます。 そもそもなぜ、ワクチン接種を行うのでしょうか?ワクチン接種は、病原体の感染を防ぐ、もしくは重症化を防ぐ唯一の方法だからです。 インフルエンザの最も大きな課題は、健康な人であればさほど問題にならない症状や合併症が、高齢者や基礎疾患のある方では死に直面するということです。そしてインフルエンザは他の感染症と違い、他人への感染力が非常に強く、学校などの集団生活がウイルスの感染伝播に大きな役割を果たすこと、そして短期間に爆発的に流行するため、医療機関にとって非常に大きなインパクトを持つことなど、さまざまな特徴があります。 インフルエンザの診断と治療は毎年格段に進歩し、最近では数分で検査結果がわかり、内服薬や吸入薬、そして点滴による抗ウイルス薬治療も当日から可能です。この薬剤効果は高く、治療により2日程度で解熱し、全身状態も著しく改善します。しかし、抗ウイルス薬治療はインフルエンザに感染した後の対応であり、治療に関わらず、家族内に感染があれば広がってしまうことや、重症化、そして合併症を起こす可能性もあります。 現在までに証明されている有効な予防法はワクチン接種です。日本では集団生活を送る学童が集団で免疫を獲得することが感染拡大の抑制に重要である、という考えから、世界に先駆けて1970年代から学童集団接種を行ってきました。 しかし1994年から、集団接種による効果は不十分との見解で、中止されました。 2001年、世界的な科学誌(New England Journal of Medicine)で、日本の学童集団接種は高齢者の超過死亡率(※)を低下させていた、つまり学童の集団免疫は高齢者のインフルエンザ感染による死亡を防いでいたと報告され、改めて学童集団接種への有効性が報告されました。皮肉なことに、国を挙げて集団接種を行い、その後中止したため、日本全体の科学データが蓄積された結果でした。 その後、日本の学童集団接種の有効性を別の角度で解析したデータや、後発的に相次いで報告されたワクチン接種の有効性を証明するデータから、高齢者へのワクチン接種のみならず、乳幼児から学童を中心としたワクチン接種は、インフルエンザの感染拡大防止に有効との結論で、ワクチン接種を積極的に行っている国が増えています。 そこで皆さんにお聞きします。毎年、積極的にインフルエンザワクチン接種を受けていますか?YESの方、NOの方、ともに理由も教えてください。 ※インフルエンザ超過死亡率とは インフルエンザが流行したことにより、直接もしくは間接的に死亡した推定値です。つまり仮にワクチン接種により100%感染を防げるとした場合、ワクチン接種によって回避できたであろう死亡者数を意味します。【田村議長 過去の円卓会議より】・マイコプラズマ肺炎、ご存知ですか?・子どもの健康。震災の影響、気になりますか? ・お子さんの予防接種、積極的に受けていますか?
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