イー・ウーマン（ewoman）

ニュースにひきずられないように（かっこー・東京都・34）

頭ではひとくくりにしないようにしよう、悪いイメージを持たないようにしようと思っていても、どうしても「なんか怖い」という印象をぬぐえずにいます。２歳と５歳の息子たちがニュースを流し聞いていると、単純に怖い、と印象づけてしまうのだろうと思うので、夫婦でニュースに対してフラットな立場で意見交換をするよう心がけています。世界の様々な抗争はなにもイスラムだけではないということと、ニュースから得られる印象だけにひきずられないようになりたいです。

知らないから、怖いのかも……（トンソク・千葉県・37）

過激派の印象が強いからか、私も悪いというか、怖いイメージです。良いイメージではない。その原因は、「知らない」のだと思います。現在の報道、学生時代に習ったこと位しか知らない。もし、ムスリムと接することがあったとしても、どうすればいいかわからない。イスラム教に限らず、他の宗教に対しても、同じかもしれない。これを機に、宗教に関して、中立な視点から勉強したいと思いました。報道を無防備に信じるだけではなく、自分の頭でも考えないといけないなと痛感します。

大切にしていることを認める（ひじゃう・海外・その他・37）

私はイスラム教徒です。結婚を機に改宗しました。現在、インドネシアに住んでいます。こちらにいると、改宗のことや日本の宗教についてよく尋ねられます。そんなとき、彼らは必ず前置きします。「（あなたが大切にしているであろう日本の宗教のことについて、まだ何も知らずに）ごめんなさい。でも、知りたいので教えてね」と。たとえイスラム教のことが解せなかったとしても、彼らのように尋ねることから、私は始めたいと思います。

敬虔さは人それぞれなのが悩み所（おひさまようこ・東京都・35）

自分の生活圏内にイスラム教の人、というか自分の宗教を表に出している人がそもそもいないので、今後のために質問です。ご自身の信じる宗教へのコミット具合について尋ねるのはNGなのでしょうか。サボっているとか不謹慎とかそういう指摘をしたいわけではもちろんないのですが、そのように受け取られずに相手の宗教を尊重するコミュニケーションの取り方がわかりません。

illridewithyou（umesyd・海外・その他・46）

Sydney在住です。住んでいる地域にアラビアン、マセドニアンが多く子ども達の友だちもイスラム教が多いです。12月のシドニーの立てこもり事件の際、この所為でイスラム教の子ども達が学校でいじめられたらかわいそうだなと思っていた所、Facebookで白い目で見られる事を恐れて外出できないイスラム教女性に「私が一緒に歩いてあげるよ。」と声をあげるillridewithyou運動が始まり、私も名乗りを上げました。

ムスリムの友人がいます（ikeko.optim・愛知県・46）

確かにニュースを見ていると怖い、危険というイメージがあります。ただ、私にはヨルダンやサウジアラビア、インドなどのイスラム教の友人がいます。彼らを家に招いて食事をするときは、豚肉は出しませんし、アルコールは飲みません。そういう気遣いは楽しく時間を過ごすために、当然しますね。宗教や習慣・文化の違いについては、タブーというよりはむしろ積極的にディスカッションしています。胸襟を開いて語り合うこと。彼らもそれを喜んでいます。

わからない話はしない（Ｔｏｈｋｏ・東京都・45）

消極的かもしれませんが、特にビジネスの場においては「極力宗教に関する話はしない」ようにしています。食事の規制とか、押さえておかないとかえって失礼になる部分は気を付けますが。自分自身は特段の宗教を信仰していないので、特定の神を信じるという考え方を根本からは理解できないように感じています。だったら、単なる好奇心でそこに踏み込まないことも、礼節の一つではと考えます。

「イスラム教＝」の視点で見ない（ゆりえってぃ・22）

イスラム教で同じ地域出身の人の中にも、多様性があると感じています。例えば大学でイスラム教を信じるマレーシアからの留学生の友人が何名かいますが、それぞれ性格も、趣味も、授業への姿勢も違っています。さらに先日その友人達がイスラム教のイードルフィトル（断食明け祭）に招いてくれました。習慣を教えてもらったりする中で私は彼女達をとても社交的に感じました。今後も同じ宗教・地域出身の人々にもダイバーシティがあることを意識して生活していきたいです。

多宗教との共存（Linden・海外・その他・39）

職場にイスラム教徒はいないがキリスト教、ユダヤ教の人達と毎日仕事をし、暮らしている。パリのテロ以前から耳にするのは、理解したり受け入れられない、と周囲がネガティブに話すイスラム教徒達のこと。ムスリムが多いスイスで私は各宗教、習慣を尊重し共存していくことが今後さらに大切だと思います。彼らを見て、おかしいとか、距離を置いたり、批判することは簡単ですが「知らない」で終らせず、少しイスラム教について、ヨーロッパで彼らがどう暮らしているのか等知ることが必要だと思います。

一方的な見方が気になります（カイトリン・東京都・52）

学校で習う歴史も、ニュースの文脈も、欧米からの一面的な文脈が気になります。イスラム圏がかつて世界最先端の技術や文化を持っていた事は一般的に認知度が低いと思いますし。東南アジアから中東まで実際に行った感想は、日常の中で宗教が意識され、真面目。外国人には、中東は窮屈、風景も異国度が高い。学生時代フランスでの印象は、中東の人は女性をナンパするする人が多い。一方で引っ込み思案な友人もいたので、「一括り」にすることは危ないといつも思っています。

欧米の見方とは一線を画す（リンダ山本・海外・その他・54）

イスラム国や新聞社を襲撃など一部過激派の行動はひどいですが、イスラム教自体は悪いとは思いません。今回の事件により、言論の自由を守るというよりもイスラム教を冒涜してもいいという展開になり、無理解が広がってしまうことを恐れています。欧州では、キリスト教社会の価値観だけが唯一正しいと考え、他宗教や文化に興味がない人がまだ多いです。こういう時こそ、イスラムにわだかまりのない日本が、欧米メディアと一線を画した中立の意見を出して、和解に貢献できればいいと思います。

同じイスラムでも（cindyshrta・東京都・62）

中東のイスラムと、マレーシアやインドネシアのイスラム教は全く異なります。アジアのイスラム教の国では、役人や大学教授に女性が沢山います。経営学系の大学ではほとんどが女性教授です。女性が抑圧されている雰囲気は一切ありません。インドでの仏教と日本での仏教のあり方を同等に扱うことは難しいですよね。宗教は国や環境によって、こうも違うのだと理解することが求められると思います。同じ宗教かどうかよりは、同じ世界で（国ではなく）生きているかどうかではないでしょうか。

通り一遍のイスラム教のイメージでなく、少し深く考えようとすると、どこから手をつけていいか分からないという人も見られます。
（おひさまようこ）さんのように、どうコミュニケーションをとったらいいか迷う人もいます。
（Ｔｏｈｋｏ）さんのように、ビジネスの場では極力宗教の話はしないようにするという立場をとる人もいます。
 
おそらくビジネスにおいては、イスラム教に限らず宗教問題が重要になる職種は、今のところ比較的少ないでしょう。
しかし仮に家族ぐるみの付き合いとなると、相手がイスラム教徒であれば、基本的な戒律などはある程度心得ておいた方がいいです。
 
実際にイスラム教徒の友人を持っているような人は、イスラム教といえばテロというような短絡的な考えをする人はいないようです。
（ゆりえってぃ）さんはイスラム教としてひとくくりにして考えないということを言っておられます。
これは考えてみればごく当たり前のことです。日本人といっても考え方はさまざまです。日本人であっても宗教的信念に基づくテロをした例があります。オウム真理教による松本サリン事件、地下鉄サリン事件はまだ記憶にあるでしょう。
 
日本人のイスラム教のイメージが画一的になりがちなのは、大きく二つの理由があります。一つは身の周りにイスラム教徒が少ないので、マスメディアの情報をうのみにしてしまう場合が多いこと。もう一つは日本が近代化以降、欧米の視点を通してのイスラム教のイメージに大きく影響を受けたことです。
 
（リンダ山本）さんは「イスラムにわだかまりのない日本が、欧米メディアと一線を画した中立の意見を出して、和解に貢献できればいいと思います」という意見です。
これはとても大事な視点だと思います。

日本なりの意見を作っていくにはどういうことをすればいいでしょうか。あなた自身ができること、していること、周囲に求めることを教えてください。海外在住の方も多くご意見を寄せていただいているようなので、具体的な提言があればぜひお聞かせください。


★井上議長の過去の円卓会議より
・外国人観光客増加。多様な宗教の習慣、理解していますか？
・「信じる宗教がある」のは、良いイメージですか？
・外国人とのつきあい、宗教について意識しますか？

• 2015.01.21
• 井上順孝 國學院大學名誉教授