働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
会議番号:3479 開催期間 2018年02月02日- 02月09日
本日も多くの投票、投稿をいただきました。szkmtkさんから「他者から指摘する難しさ」について意見をいただきました。昨日のコメントで、私は診断する際、①変調がある、②情報を把握活用できない、③日常生活に支障がある、を確認すると述べました。たとえば、おしゃべりがすぎる、一人を好んでいても、感覚過敏の傾向、などがあっても、これらの様子が見られない時は、診断は慎重にしなければなりません。 ASDやADHDについては、近年「変調」に関しての報告が多くなされるようになりました。遺伝情報、脳画像、脳機能検査、病理所見などさまざまです。しかしながら、大半の当事者の人に共通で当てはまる所見はまだわかっていません。「情報を把握活用できない」要因も、産まれもった脳の特性なのか、家庭や生活環境によるものなのかは簡単に区別できません。幼稚園に入園するまでほとんど他者と関わる機会のない子どもや、早期からケイタイやネットに接していると、さながらASDやADHDのある子どもの特性と類似した言動をとることもよくあります。 生活に支障を来しているのかも重要です。ただし、本人は困った様子をみせないこともあります。その場合は周囲の人1人だけ(たとえば母親、担任)への影響でなく、多くの人を巻き込んだ状況では、「生活に支障がある」と判断することもできます。ADHDにおいても家庭、学校両方からの情報をもとに診断することになっています。 JKstyleさんは学校でみたビデオでチェックリストを知りやってみた、月のしずくさんは、自身が考えたASDやADHDの人の一般特性、さっちんさっちんさん、ナカサワさんは、診断された人の様子から、Penguinさんから海外の情報をいただきました。ASD、ADHDは症状にも多様性があります。さらに診断の重なりもあります。ADHDの人はほとんど学習障害(LD)を合併するという報告、小児期にASDとADHDが併存する、受診する医療機関によって診断がまちまちである、という人も多くいます。 チェックリストだけ、診断を受けた周囲の人の特徴からだけで、ASD、ADHDなど発達障害を普遍的に理解することはできません。周囲の人からの丁寧な聞き取りと、本人の言動を観察することが重要です。周囲の人からの情報をもとに、的確に判断するスキルが診断する側に求められます。 発達障害はこの2つと学習障害だけではありません。ASDの人の他の発達障害の重なりを模式図で示しました。発達障害は、行動面や学習面の問題を中心にとらえられていますが、見落とされている大きな症状として、コミュニケーション、協調運動の問題があります。診断分類では、コミュニケーション症群、運動症群になります。前者の代表は吃音(きつおん)です。後者では細かい協調運動に困難をかかえる発達性協調運動障害(DCD)、意ならずとも余計な運動が生じるチック症などがあります。 明日は、これらの発達障害のタイプも含めてお話しする予定です。発達障害の多様性を、「チェックリスト」やネット検索などでは容易に評価できないことがお分かりいただけたのではないでしょうか。これまで「自分は発達障害かも」と思ったことがある方(YES)も、そうでない方(NO)も、チック症や吃音、DCDなども含めて、引き続きご意見や疑問などをお待ちしています。 注)発達障害それぞれのタイプに複数の用語が用いられる場合があります。ASDは広汎性発達障害(PDD)、ADHDの訳語が注意欠陥多動性障害や注意欠如多動症などです。精神医学ではASDという用語を用いた場合は、アスペルガーや自閉症などとタイプに分けないことになっています。用語についての詳細は書籍等を参照してください。★古荘議長の著書もお読みください『発達障害とはなにか 誤解をとく』(朝日選書)★古荘議長の過去の円卓会議より・発達障害の『障害』という診断名、違和感ありますか?・病気か個人の問題か、迷うことはありますか?・家族に障害者がいることは不幸だと思いますか?
イー・ウーマン
表参道カレッジ
eshop
©2014 ewoman, Inc.