働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
会議番号:3508 開催期間 2018年08月24日- 08月31日
職場での女性差別をなくすために、どのような取り組みが有効だと思いますか? 最後の問いかけに、実に建設的なご意見をたくさん頂きました。 まずは、会社の仕組みを変えるべきという提言です。「滅私奉公的な働き方ができないと評価されない仕組みだと、女性は上の役職を受けられない」(noriaiさん)、「年功序列の体質、雇用形態による大きな賃金格差も問題の根っこは同じ」(imagadaijiさん)といった声が上がりました。 お二人が指摘するように、年功序列、終身雇用といった日本企業の雇用の仕組みは、「夫は仕事、妻は家庭」という性別役割分業を前提とするものです。税制、社会保障制度を見ても、配偶者控除、国民年金の第三号被保険者など、女性が働かないほうが得するような仕組みがいまだに続いています。男性片働きモデルの上に構築された働き方、社会の仕組みが残っているわけです。共働きの世帯数が片働き世帯を上回って約20年、これでは実態に合わないのは明らかです。 今回の議論の発端となった、東京医科大学の入試で行われた女性差別も、「育児で離職する女性医師が多い」「24時間勤務を求められる医局で女性は働きにくい」といった理由による入試抑制でした。従来の働き方を変えることなく、これに合わない女性を排除しようというものです。この構図は、まさに今の日本の縮図です。今回の一件を機に、医師の働き方改革、さらには日本全国で職場の働き方改革を加速するべきでしょう。これが、女性差別をなくしていくことにつながるはずです。 入試、採用など入口での差別については「性別不明として選考する、選考基準を明確にする」と提案してくれたのは、おれんじ78さん。会議2日目のコメントで述べたように、男女雇用機会均等法の97年改正(99年施行)で、募集、採用、そして配置・昇進などすべての項目で女性差別は禁止されました。さらに2006年の改正(07年施行)では「間接差別」も禁止となりました。①募集・採用で身長、体重や体力要件を課す、②総合職の採用で全国転勤を要件とする、③昇進の際に転勤経験を要件とする、というものです。しかし、制度の運用のなかで見えにくい「間接差別」が今なお行われているのが実態です。 こうした現状に対して、日本の間接差別についての法規制は先進国の中でも遅れていると指摘するのは、山口一男シカゴ大教授です。2014年8月29日付け日本経済新聞で、山口教授は米国の間接差別を禁じる「80%ルール」を紹介しています。米国では資格の同等な男女で女性の採用率や昇進率が男性の80%に満たない場合、企業の制度が格差を生んだと判断する「80%ルール」を確立しているといいます。ルール違反の場合、企業が正当な理由を提示できなければ、提訴された場合に損害賠償責任が生じます。 日本でもこうした間接差別に関する規制強化について、議論を進める必要があるのではないでしょうか。 さて会社の仕組みを変える、法制度を見直すといった大きな話をしてきましたが、これには時間がかかります。今日から自分ひとりで始められることは何でしょう。 たとえば、前回議論したアンコンシャス・バイアス対策。綾〇〇〇さんがいうように「自分自身、男女の役割分担を固定的に考えてしまっている」ために、仕事も家庭もの二重労働になっている、あるいは家庭や職場のバイアスに悩まされている、という人も少なくないでしょう。 Cheerさんの提言には、思わず「なるほど」と呟いてしまいました。「バイアスは、原理的にはバイアスに反する現象を多く示せば書き換えられていきます」ときっぱり。NOを表明することが王道だとして、そのためのコツを2つ紹介してくれました。お作法を踏まえて表明すること、同志との連携といった消耗対策を講じること。多くの困難を乗り越えてきた方なのでしょう。大人のアドバイスが心に響きます。 「まずは意見の言える管理職になろう」と呼びかけるcheetanさんのコメントにも感銘を受けました。「女じゃなくて責任者を出せ」と言われる会社でふんばり、ようやく管理職になったといいます。 今回「女性差別を経験したことがありますか?」という問いかけに、YESと答えた人は82%。8割を超える人が男性応援団も味方につけて、経験をバネに社会を変えようと動き始めると、大きなうねりになるはずです。★野村議長の過去の円卓会議より・フェイクニュースにだまされない自信、ありますか?・定年を意識したことがありますか?
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