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会議番号:3593 開催期間 2020年05月08日- 05月15日
YESの方が86%、NOが14%と、本日もYESの割合が増加しました。自粛中オンラインで多数と長時間接することについて、DiamondBarさんからは、通常の会話以上に集中力を使っている、疲労感が増している、ひるねさんからは、会話の空気感、ペースがつかみにくい、というご意見をいただきましたが、皆さんは概して心の安定を保てているようですね。 ビデオ会議の代表的なソフトとしてZoomビデオコミュニケーションズがあります。以前から普及していたアメリカでは「ズーム疲れ(Zoom fatigue)」という言葉も使われているようです。今回の新型コロナでのSTAY HOMEをきっかけに、日本でも使われるようになるかもしれません。ここでは「ビデオ会議疲れ」としておきましょう。 「ビデオ会議疲れ」の本体は「脳の(負担からくる)疲労感」と言えます。対面での会話では、話をしていない時にも、脳はいろいろな情報をキャッチしています。皆さんも雑談をしながら、相手に話しにくいことをいつ切り出すかのタイミングを見計らった経験はあると思います。これは相手の表情の変化、細かい体の動き、眼球の動き、手に汗をかいている、呼吸が粗くなった、コーヒーのにおいがする、などの多くの情報をもとに、会話を進めているからです。このような脳の活動は、自分が相手に何を伝えようとしているのか、また相手はどんな反応を期待しているかの見通しを把握するうえで必要なことです。少人数の会話だけでなく、講義のように多数を相手にしていても、興味があるのか、内容がわからないのか、など全体の様子を自然に読み取りながら進めていくことができました。 一方、ビデオ会議では、言葉というよりは音声に対して常に強い注意を向けることが要求されます。画面上では、小さな四角形の中に多くの人が押し込められていると、顔だけしか映らないこともあり、その人の体の仕草やボディランゲージを観察する機会は失われます。一方、相手に対しても、普段よりも感情を大げさに表さないと情報が伝わりにくくなります。脳が今まで選択的にキャッチしていた情報を、バーチャルな空間ではつかみにくくなり、すべてに持続的に注意を続けることになります。それゆえ、ビデオ会議疲れは、情報過多に陥る脳の疲れ、と考えることもできるのではないでしょうか。 対面でのやりとりに困難を抱える一部の発達障害の人にとっては恩恵となることもあるでしょう。一方「空気を読む」、「忖度する」ことが難しくなり、コミュニケーションの均質化に近づくのかもしれません。しかしながら、ビデオ会議はコミュニケーション方法の根本的な変化です。代替的な手段から主流に変わっていくかもしれませんが、脳への影響については慎重に検討していく必要があると考えています。 電子カルテが導入された時、診察をする側がキーボードに気をとられて、対面のコミュニケーションができなくなるという心配もありました。しかし、電子カルテでは対面というコミュニケーションの方法自体は変わっていません。オンライン診療は、診療の均質化や急ぎの対応には有効な方法ですが、高い専門性の維持や個々のニーズに合わせることは容易ではないと思います。 昨日39県で緊急事態宣言が解除されました。COVID-19により、social distancingという感染拡大を防ぐ方法が強調されています。しかしこれはフィジカルディスタンスであり、人間が進化の過程で獲得してきた社会スキルを手放すことではありません。心のつながりを程よく保っていくことが、困難を乗り超えていくためには不可欠と感じています。1週間ありがとうございました。★古荘議長の過去の円卓会議より・あなたは「自己肯定感」高いですか?・子どもの自殺、防ぐことができますか?・病気か個人の問題か、迷うことはありますか?★古荘議長の近著をご紹介します ・6月上旬発売予定 『空気を読みすぎる子どもたち』講談社こころライブラリー→ご予約はこちらから ・発売中!『自己肯定感で子どもが伸びる12歳までの心と脳の育て方』
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