働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
会議番号:3705 開催期間 2023年01月27日- 02月03日
こんにちは、田澤由利です。YESとNOの攻防は、まだまだテレワークに課題があることの証明ですね。さて突然ですが、以下の3つの暮らし方をする「羊(ひつじ)」。どれが一番幸せだと思いますか? 【A】 基本は羊舎で仲間と一緒に生活。牧草地では紐でつながれている羊【B】 夜は羊舎ですが、日中は柵に囲まれた牧草地で仲間と過ごしている羊【C】 広い牧草地で、自由に過ごしている羊。羊舎に戻る、戻らないも自由です 自分の好きな場所で自分のペースで暮らす、という意味では、【C】の羊が、一番幸せでしょうか。でも、私は異なる意見です。広くて柵の無い牧草地では、怖い狼が羊を狙っているかもしれません。 一方、【A】のようにガチガチに管理すると、羊にストレスが溜まります。私には、【B】のように、狼から守るための柵に囲まれつつ、柵の中では、仲間と一緒に自由に暮らす羊が幸せに見えるのです。 この話を「働き方」に置き換えてみましょう。【A】は、これまでの日本の働き方。決まった時間に会社に行き、時間を管理されながら仕事をします。【C】は、働く場所も時間も自分で決めることができますが、その分、成果を出さなくてはいけません。「自由」と共に、「自己管理」と「自己責任」も求められます。 もちろん【C】の自由な働き方を否定するわけではありません。ただ、「2:6:2の法則」のように、すべての人が自律している組織は少ないです。【B】のように、安心・安全な環境(柵)の中で柔軟に働き、仲間と一緒に成果を出すことができれば、理想ですね。 ※ 「2:6:2の法則」…組織は、意欲的に働く上位20%、普通に働く中位60%、怠け者の20%に分かれる傾向がある では、みなさんからいただいたコメントを一緒に考えていきましょう。 ◎テレワークだとモチベーションが上がり、働く時間や効率は場所が変わっても成果は必要というn.danさん その通りだと思います。しかし、出勤者は「目の前で、一生懸命働いている(ように見える)」ため、上司にバイアスがかかるケースが少なくありません。この場合、テレワークで姿が見えない部下には、オフィス勤務以上に「成果」を求める傾向があります。おっしゃるように、本来はオフィスであっても在宅勤務であっても、またサテライトオフィスであっても、「成果」をフェアに評価すべきですね。 ◎自分が評価してほしいのは成果の量と質。テレワーク時の評価は成果のみと考えているJerrybさん プロ集団がオンラインで連絡を取り合い、効率良く仕事を進めることができるのは間違いありません。そして、企業が求めるものは「成果の量と質」というのも同意です。マネジメントをせずとも成果を出してくれる【C】のような社員は、ありがたいですね。 ただ、「2:6:2の法則」の考え方をすると、社員全員が「プロ」であるとは限りません。残り8割の人に、「テレワークだと時間やプロセスを管理できないので、成果だけ出してね」とすると、チームとしての動きも鈍くなり、会社全体の「生産性」が低下してしまいます。 コロナ禍で、突然、社員の多くが在宅勤務をして、チームのコミュニケーションもとれなくなり、部下のマネジメントができなくなった結果、会社全体の生産性が低下した。私は、今、「出社」に戻る企業の原因はここにあるように思うのです。 ◎結果だけでなく効率化のための創意工夫など、プロセスも評価してほしいというDiamondBarさん ◎モチベーションを高めるマネジメントで、生産性と成果を評価してほしいというmarco302さん ◎テレワークの環境には個人差があるため共通点を基準に、成果で評価して欲しいという真打ちさん ●コミュニケーションと成果に対する評価に加え、フィードバックが欲しいという、2kishir0さん ●テレワークでのミーティングなど、効率を評価してほしいという、unagiさん さすが、イーウーマン・ピアのみなさん。「成果で評価してほしい」とおっしゃりつつも、それだけでは不十分。「プロセス」「生産性」「モチベーション」「コミュニケーション」「効率」など、YES NOにかかわらず、とても重要な意見をいただきました。 初日に、「テレワークを推し進める企業」と「出社に戻る企業」の二極化が起こっているという話をさせていただきました。実は、前者のような押し進める企業の中には、「テレワークは、プロセスや時間は管理しにくい。テレワークでは成果のみを評価しよう」という傾向があるのも否定できません。 最初の羊の話に戻りましょう。イーウーマン・ピアのみなさんには、【C】の働き方が適している方がたくさんいらっしゃるのだと思います。ただし、単に「自由」だけを求めるのではなく「自律」できる方々だからこそ、評価に対して「成果」以外のものをしっかり主張いただき、さすがと思います。 とはいえ、これまで【A】のような環境で働いてきた日本の多くの社員が、「テレワークだから」という理由で、突然【C】の働き方に移行するのは難しいでしょう。今回のように企業全体の生産性が低下し、「出社に戻る」という残念な判断をされることになります。 また、働く側も、テレワークだと、ついつい長時間の仕事をしてしまいがちです。2DAYでちゅまさんからコメントいただいたように、オフィスでの「周りの目」は、自律を助ける役目をしていたのではないでしょうか。同様にabbyiさんのようにテレワークだと「気持ちの切り替え」も難しくなることもあるでしょう。 これらの課題を解決するために、バーチャルオフィスや、業務の見える化ツール、サテライトオフィスなど、新しい環境づくりが始まっています。 企業は、「テレワークだから社員の自律に任せる」と安易な方向に行くのではなく、ポストコロナ時代に適したコミュニケーションやマネジメント環境、働く人が安心・安全かつ、柔軟に働ける「柵」を整えることが、これからの時代を生き抜くポイントになります。 また働く人も、「自分にはテレワークは必要ない」「週に数回テレワークできれば楽」といった考え方ではなく、「どこで働いても、生産性を高める」ことを意識し、その効果を見せていくことが重要です。 今回のようなパンデミックがまた発生しないとは誰も言えません。あなたが、怪我や病気にならない保証もありません。ましてや親の介護が気になる方も少なくないでしょう。私たちの未来のウェルビーイングのために、テレワークでも生産性を落とさないことを働く立場が主張していきましょう。一週間、ありがとうございました。★田澤議長の過去の円卓会議より・コロナ後も、テレワーク希望ですか?・コロナ禍のテレワーク、うまくいっていますか?・新型肺炎。在宅勤務できていますか?
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