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会議番号:3731 開催期間 2023年12月08日- 12月15日
金正恩総書記がしばしば強調する「アジアの新冷戦構図」については、多くの方が否定的な見解でした。筆者もそう思います。blueberry53さんは「新冷戦の構図は北朝鮮のアピールであって、現実とはかけ離れていると思います。中国は、アメリカ等と対立しつつも経済面では協力を求めざるを得ません」と指摘しましたが、まさに中国の動きが新冷戦に向かうかどうかの鍵となります。 習近平国家主席は米国と対立しつつも協力ができる分野を模索しており、米国を敵に回そうとは考えていません。競争的共存路線ですね。先に行われたアジア太平洋経済協力会議(APEC)での米中首脳会談がまさにそうでした。中国としては、ロシア・北朝鮮との関係は重視しつつも、大陸チームに入り込んで米国と対決しようとは考えていません。非常に微妙で難しい舵取りを迫られているといえるでしょう。ひるねさんも指摘するように経済が低迷しつつある中国は「国際的な経済圏で力を発揮したい習近平にとって日米韓に対しては現状の牽制レベルでとどめたいはず。北朝鮮の輪に加わることは、メリットが少ないのではないかと思います」ということでしょう。 unagiさんは「不動産バブルが崩壊し、国内に多々問題を抱える中国も、西側に対する防波堤としての北朝鮮の存在は必要なのかも知れませんが、共同戦線を張りたいとは考えていないと思います。新冷戦という構図は北朝鮮のみの願望なのでは。」と指摘しましたが、まさにその通りだと思います。特にunagiさんは、中ロ北朝鮮の合同軍事演習など軍事面での結束について「中露が戦艦を出し日本周辺にて共同演習をしている様ですが、このスタンスに北朝鮮が仲間入りして日本に圧力をかける力はない様に思います」と懐疑的でしたが、実際に中ロ北朝鮮の合同軍事演習を実現するのは難しいと思います。中国が消極的だからです。やはり、米国の視線が気になるのでしょう。 実は、金正恩総書記は後継者として登場した2010年、北朝鮮は胡錦濤前政権時代の中国に合同軍事演習の打診をしていたことがあります。当時、中国は自ら議長国となっていた6カ国協議の再開を模索していたため、北朝鮮との合同軍事演習は米国をむやみに刺激するだけで、6カ国協議再開にも役立たないと判断し、北朝鮮の打診をスルーしました。北朝鮮問題で米国をむやみに刺激したくないとの意向は現在も同様と思われます。仮に中ロ北朝鮮が軍隊を動員して何かやるとすれば、低レベルの海難救助訓練程度にとどめる可能性があります。そもそも、北朝鮮に中ロと同レベルの海軍資産があるかどうかも不透明で、まともに合同軍事演習をやれば恥をかくことになるかもしれません。 DiamondBarさんrは「ロシアも中国も今後数十年で人口が減っていき、生産力も購買力も減退していきます。だからこそ、これまでの影響力を維持しようと、同盟を組んでアメリカに対立するのは自然な流れに思えます。北朝鮮が矢面に立ってくれれば、ロシアや中国にとっても都合がいいかと思います。」と指摘しましたが、人口減少はロシア、中国に限ったことではありません。日本や韓国も少子化対策が至急の課題となっています。ただ、北朝鮮が矢面に立つという考え方は、対米関係を考えると特に中国に根強いと思います。 北朝鮮だけが望んでいるような「新冷戦」の構図ですが、真打ちさんは「北朝鮮とロシアの計画では、制裁を受けている双方で通じる部分が大きく、悪い絆が日増しに強くなっている印象を受ける。中国が加わる展開ともなれば、対岸の火事では済まぬ影響を、日本が受ける懸念もあるのでは」としながら「大陸勢力と海洋勢力という発想は、対決ではなく協力という平和的視点で捉えねば」と指摘しましたが、まさに対決ではなく共存の発想が必要でしょう。 北朝鮮の「新冷戦の構図」アピールは独り相撲となりかねない側面が色濃いように思われます。日米韓は北朝鮮への圧力強化で一致していますが、圧力だけでは北朝鮮は動きません。対話を模索する必要があり、対話の仲介ができる可能性のあるのが中国です。日米韓は中国をうまく動かすような立ち回りを考えるべきでしょう。 皆さん、この1週間お付き合いいただきありがとうございました。★磐村議長の過去の円卓会議より ・北朝鮮の動向、注視していますか?・悪化する日韓関係、出口は見えますか?・北朝鮮の弾道ミサイル発射、脅威を感じていますか?
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