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会議番号:3071 開催期間 2010年12月13日- 12月20日
都議会で青少年健全育成条例が改正され、漫画の性表現規制が来年7月から実施されます。規制賛成派は「ヤッター」反対派は「ガッカリ」かもしれませんが、「これにて一件落着」では困ります。子どもにとって何が大事か、という議論や行動が、「過激な性表現」が取り締まられる現場で、より突っ込んで行われることが必要ではないでしょうか。 性の表現は、何が「過激」か、判断する人それぞれです。多数決で決めれば、若き日の石原都知事が書いた「太陽の季節」も、過激認定されたのではないでしょうか。当時、多くの人が「若者はあんなものだろう」、と思ったら、太陽の季節は新鮮な驚きを与えることはなかったでしょう。風俗は時代で変わる。過激が先端ということもあるのです。 だからといって、今の「過激な性表現」が、次の時代の「普通」になる、ということではありません。「子どもに見せたくない」ものは、たくさんあります。 では、大人なら見ていいのか? 大人にとっては「芸術」や「楽しみ」だが、子どもにとっては「有害」、という基準は誰が決めるのか。大人でも、子どもでも、知識や感性は人それぞれ、一律に決めていいのか、という論議もあります。 「性」を親子で語り合う、というのは、言うほど簡単なことではありません。「学校でやれ」といわれても先生もしんどい。そんななかで情報はどんどん入ってくる。どうすればいいのか。「誰か決めてー」と他人任せにしたくなりますが、「役所に決めてもらおう」というのは、安易過ぎるのではないでしょうか。 「目に付かなくすればいい」と言っても、好奇心が強い子どもは、秘密にされればますます見たくなります。規制は特効薬にはならない。「じゃあ放置していいのか」「何もしないわけにはいかないじゃないか」と危機感をつのらす人は少なくありませんが、条例をいじった程度で、子どもをとりまく性の情報環境が変わるとは思えません。 条例改正・販売規制は、悩む大人社会がたどり着いた、一つの方策です。これが有効か、副作用が強すぎるか、もっといいやり方があるのか、やりながら考えるしかないでしょう。 表現の自由は、子ども健全育成と同様、社会にとって大事な価値です。気に入らない意見が出ると「喧嘩腰」になるのは、避けたいですね。 こんなことで、大人が非難しあっているのは、残念なことです。
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